第4回 Phase2 ふたつのナビゲーションタイプを使い分ける - 思考するWebディレクション | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第4回 Phase2 ふたつのナビゲーションタイプを使い分ける - 思考するWebディレクション

2024.4.19 FRI

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Phase 2 ふたつのナビゲーションタイプを使い分ける

「マイルストーンタイプ」は
「世話焼きな」誘導

Webサイトにおけるナビゲーションは、「マイルストーンタイプ」と「マトリックスタイプ」の2種類に分けられる。どちらのタイプを選択するかでユーザーの動きにも影響を及ぼすので、よく理解してもらいたい部分だ。

マイルストーンタイプのナビゲーションをひと言で説明するなら、「世話焼きな」誘導である。ユーザーに対して、「最初はこれ」、「次はこれ」、「最後にこれ」といった流れですべて橋渡しをして、段階を踏みながら誘導していく点が特徴だ【4】。これは、サイトにはじめて訪れた新規ユーザーを、初期状態から導いていくマーケティングの手法としてよく用いられる。実在のアトラクションを例にとると、水族館や動物園、遊園地のお化け屋敷などのような「順路に沿った案内」や、テレビ通販番組のような「時間軸を利用した誘導」がマイルストーンの代表的なものだ。余談だが、水族館のいちばん最後にお土産ショップを用意して購買に結びつける販売手法は、マイルストーンタイプのナビゲーションを最大限活用したマーケティングの象徴的なものである。


「マトリックスタイプ」は
「俯瞰マップ」のこと

マトリックスタイプのナビゲーションとは、すでに行動力を持っているようなターゲットユーザー、すなわちリピーターなどに対して用いられる。情報全体を「俯瞰(ふかん)で見渡せるマップ」のようなナビゲーションである【5】。ユーザーにいち早く情報の場所を知らせて、余計なプロセスを介さず、スピーディに誘導していく点が特徴である。現実にたとえるなら、デパートのフロアガイドやレストランの一覧メニューなどがマトリックスタイプの代表的なものにあたる。

マイルストーンタイプとマトリックスタイプのふたつのナビゲーションタイプには、状況を見極めた使い分けが必要だ。ユーザーがそのときどういう状態にあり、次にどのような情報を与えるべきかという切り口で考えれば有効に機能する。たとえば、検索エンジンから入ってくるユーザーに対しては、ファーストコンタクト段階ではマイルストーンタイプの誘導、二度目以降のリピート段階では、マトリックスタイプの誘導を用いるなどして、臨機応変な使い分けをしていけばよい【6】。

また、最近の通販サイトなどでは、偶然のアクセス(不確定なターゲットユーザー)に対して、マトリックスタイプのナビゲーションで誘導する手法が使われている。以降はメールマガジンなどのピンポイントで攻めるDMツールを使い、マイルストーンタイプのナビゲーションでリピートにつなげていくマーケティングも多く見られる。ブログやSNSで何気なく得た情報からいつの間にかECサイトへと誘導され、たまたま衝動買いしたことがきっかけで、二度目以降の利用へとつながっていく一連の流れを実際に経験した人も多いかと思う。これは、偶然起こったものではなく、Webサイト側が偶然のユーザーをターゲットと想定して仕掛けたマーケティングなのである。


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【4】マイルストーンタイプのナビゲーション。一方向に直線で流れることから「リニア型」ともいわれる


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【5】マトリックスタイプのナビゲーション。全体を見渡せることから「グリッド型」ともいわれる


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【6】マイルストーンタイプとマトリックスタイプのナビゲーションを使い分けたマーケティング


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