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サイト構築&運用 5-02
WordPressを利用したサイト構築(前編)
前述の通り、CMSは、非常に多くの種類がある。ここでは、数あるCMSの中でも、最近特に成長しており、利用者数の多いCMSである「WordPress」について、いくつかの事例を交えて解説しよう。
制作・文/星野邦敏(株式会社コミュニティコム代表取締役)
CMS内におけるWordPressのシェア
現在、WordPress【01】は世界トップ100万サイトのうち、約15%で使われているオープンソースCMSだ。CMSの中でも約54%がWordPressを採用している【02】。数多くあるCMSの中で過半数以上のサイトが採用しているCMSがWordPressであることになり、その特徴に注目する必要があるだろう。WordPressは世界だけでなく、日本での利用サイト数の増加も著しい。【03】は日本におけるGoogleトレンドの検索動向だ。キーワード検索回数なので、導入数と一概には比例しないが、かつて日本において頻繁に導入されていたXOOPSやMovable Typeよりも、関心が増していることがわかるだろう。
WordPressは、インターネット上の情報だけでなく、実際の勉強会やカンファレンスなども盛んだ。つい最近では、世界各地で180 回以上開催されている「WordCamp」が、2011年11月27日に、東京の楽天タワー2 号館で行われた。
「WordCamp Tokyo 2011」(http://2011.tokyo.wordcamp.org/)は、800人以上の来場、懇親会も300人以上の参加、という盛況であった。WordPressを使う制作業者だけでなく、ブログなどで利用している個人ユーザーも多く参加しているのがWordPressイベントの特徴だ。
WordPressのイベントとしては、世界規模で開催されている「WordCamp」、日本の地域コミュニティとして「WordBench」が有名だ。
多くは参加費無料なので、もしWordPressに興味のある人は一度足を運んでみるとよいだろう。このようなリアルのイベントでは、多くの WordPressでの制作者やユーザーと知り合えるだけでなく、WordPressの技術に関して詳しいスピーカーの話を聴けるメリットもある。
【01】WordPress日本語サイト(http://ja.wordpress.org/)
【02】Market share trends for content management systems
http://w3techs.com/technologies/history_overview/content_management
【03】
WordPressでの制作事例
WordPressと聞くと単なるブログツールという認識を持たれている方も多いかもしれない。しかしながら、WordPressはCMSであるため、コンテンツに集中したいというニーズのあるどのようなサイトでも作ることができる。具体的には、WordPressでは、サイトのデザインを「テーマ」で、機能追加は「プラグイン」で行い、文章や画像などのコンテンツは管理画面から入力を行う。つまり、サイトデザイン、機能と、コンテンツ入力とを分けて考えることができるため、企業サイトやニュースサイト、コミュニティサイトなどの制作も、コンテンツ部分のみに注力できスピード感を持って制作することができる。
公開されている日本の代表的なWordPressサイト事例は、【04】にまとまっているので、興味のある人は一度見てみるとよいだろう。
企業サイトとしては、中小企業のコーポレートサイトだけでなく、上場企業のコーポレートサイトもWordPressで制作されている事例が多く見られるようになってきた。レシピ投稿サイトなどを展開するクックパッド(株)【05】、ソフトウェアのダウンロード販売などを展開する(株)ベクター(http://ir.vector.co.jp/)をはじめ、多くのコーポレートサイトがWordPressで構築されている。
また、昭和女子大学(http://swu.ac.jp/)や浦和大学(http://www.urawa.ac.jp/)のような大学サイト、さいたまスーパーアリーナ(http://www.saitama-arena.co.jp/)のような商業施設の公式サイトも、WordPressで構築されている。さらにWebマガジンサイトとしての制作事例も増えている。小学館が展開している美的.com(http://www.biteki.com/)や、扶桑社が展開している日刊SPA!(http://nikkan-spa.jp/)なども、WordPressでの構築事例だ。
3.11の東日本大震災の時には、スピーディな情報公開にもWordPressは貢献している。たとえば、助けあいジャパン【06】などはWordPressで作られている。震災後、いち早く正確な情報発信が求められた際に、WordPressはサイトの迅速な立ち上げを可能にし、コンテンツの入力に集中できるCMSとして活用された。
【04】WordPressを使ったサイトの事例 (http://wpdocs.sourceforge.jp/利用者:Nao/WordPress_を使ったサイト)
【05】クックパッド(株)のコーポレートサイト(http://info.cookpad.com/)
【06】助けあいジャパン(http://tasukeaijapan.jp/)
(中編1に続く)
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【本記事について】
2012年1月28日発売のweb creators特別号「Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! HTML5・CSS3によるコーディングから、次々と生まれてくる新しいソーシャルサービス、Webアプリケーション、スマートフォンやタブレット端末への対応など、いまWeb制作で話題になっているトピックを網羅した内容になっています。
※本記事はweb creators特別号『Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。