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月曜。素材探しも、デザイナーの重要な作業のひとつ。

2024.4.24 WED

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1年生デザイナーの1週間



1年生になったら~ 1年生になったら~♪ ということで、デザイナーという職業に憧れる読者のみなさんに先駆けて、一足早くデザイナーになった先輩デザイナーの1週間を追いかけるのが、このコーナーです。夢を現実にした新人デザイナーの仕事と生活ぶりは実際どのような感じなのでしょうか? 毎月第3週に、その曜日の出来事を毎日更新でお届けします!


今月の1年生デザイナー

小川恵子さん(ブックウォール)

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〔プロフィール〕

広島出身の35歳。子どもの頃から絵が好きで、中学生までは絵に没頭する日々だった小川さん。実は、本を読む楽しさに目覚めたのは高校生になってからだとか。高校卒業後は日本大学の国際関係学部に進み、絵にもデザインにも縁のない学生生活を過ごす。大学生になって初めて、好きなコトを仕事にしないと、きっと自分は長続きしないだろうということに思い当たる。そんなとき、偶然、本屋で見かけた文庫本が彼女の運命を決めた。安西水丸さんデザインの『中国行きのスロウ・ボート』(村上春樹著)だ。それを見た時に、カチッとバズルが組み合わさるように、自分のやりたいことが目の前に現れた感じがしたという。最初に就職したのは、主に雑誌のエディトリアルデザインを手がける事務所。そこでデザインのイロハを叩きこまれる。4年ほど勤めたのち、もっと見聞を広めたくなって退社。フリーランスとしてデザイン雑誌の編集を手伝いながら、次の道を探ることに。ある時、取材で会ったのをきっかけに、アートディレクターの青木康子さん(PANGAEA Inc.)のもとで働くことに。言い尽くせないほど多くのことを学ぶ。PANGAEA Inc.での経験は得難いものだったが、同時にもともとやりたかったブックデザインに、専門的にたずさわりたいという気持ちが徐々に強くなってくる。ブックウォールに入社したのは、2010年のこと。キャリアから考えれば、既に“1年生デザイナー”とは言えない小川さんだが、「修行中のブックデザイナー」として、今回は企画に登場してもらった。そんな、デザイナーとしてのキャリアを着実に築く、小川さんの一週間をお届けします!


ブックウォールとは?

ブックデザイナー・松 昭教氏が率いるデザイン事務所。2009年5月に「松 昭教デザイン事務所」から、社名を「ブックウォール(bookwall)」に変更するとともに、法人化を果たす。主に書籍を中心にしたデザイン業務を行なっている。ちなみに、社名の「bookwall」とは、自分たちが築き上げた本の壁(デザイン)を、自ら乗り越えて常に新しく成長していけるようなデザイン事務所になればと発展的な願いを込めて命名したそうだ。

http://bookwall.jp/



月曜。素材探しも、デザイナーの重要な作業のひとつ。



8:30 起床

今日は少し早く、目が覚めました。さっそく支度。


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突然イラストが登場してびっくりした方もいらっしゃるかもしれません。実は、今回の記事にあわせて、あまり代わり映えのしない私の自宅での様子をイラストレーターの夫、風間勇人(http://www14.ocn.ne.jp/~kazama/)に描いてもらうことになりました。というわけで、いつもの「1年生デザイナーの1週間」と少々雰囲気が違うかもしれませんが、写真とイラストを交えて私の日常を綴っていきたいと思います。



9:10 会社へ向けて出発

家を出る時間が、いつもより15分早くて気分爽快! 月曜の朝ということもあり、気分が上がります。



9:30 電車遅延

せっかく早く家を出られたのに、なんと中央線が15分遅れるという事態……とほほ。中央線沿線に引っ越して1年ほどですが、もはや電車が遅れることに慣れっこになってます。



10:20 会社到着

ブックウォールは下北沢から歩いて7分ほどの場所にあります。レンガ造りの、ちょっと雰囲気のある物件に入っています。この佇まいが好きと言ってくださるお客様も多いです。


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▲ブックウォールはこの建物の中にあります


10:30 掃除

月曜日の朝は、みんなで掃除をするというのが決まり。これで一週間が始まります。



11:00 コーヒーを飲みながら、メール確認&返信

掃除も終わってひと息、コーヒーを飲みながら、メール確認&返信などを行います。週初めということで、このくらいの時間から朝の便の宅急便や郵便が続々と届き始めますので、手際よく対応していきます。



11:15 デザイン・フォーマット作成開始

さて、今日は漫画エッセイのフォーマット作成からスタートします。きたみりゅうじさんの『三十路スゴロク』(幻冬舎)という書籍です。漫画もテキストも充実したものなので、どちらも読みやすいように漫画の配置に気を配りながら、スッキリ見えるような大きさにしてみました。


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▲緻密にネームが書き込まれた漫画を、読みやすいように配置していきます


12:57 フォーマット完了

ひとまずフォーマットがまとまったので、松さんに見てもらうことに。OKをもらったので、さっそく先方に送ります。



13:30 お昼休憩へ

ブックウォールでは、各自、自分の作業のキリがよいときに1時間お昼休みを取ることになっています。今日は銀行、郵便局などへ行ったあと、本屋を少しまわって帰ってきました。今日のお昼ごはんは、夫が作ってくれた肉じゃが弁当をいただきます。


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▲夫が作ってくれた肉じゃが弁当


14:30 ストックフォトで写真探し

今度はストックフォトから、写真を探す作業に入ります。樋口有介さんの『猿の悲しみ』(中央公論新社)のカバーで使用する予定の写真です。あらかじめ、ゲラは読ませてもらっているため、その内容に沿ったものと、そうではなくても読者のイマジネーションを喚起するようなインパクトのあるものなど、いろいろな角度から画像を選んでいきます。ストックフォトのサイトはアマナやゲッティ・イメージズ、アフロなどの有名どころから、国内外の小さなところまでいろいろと探していきます。ジャンルによって得意・不得意もあるので多くのサイトに目を通すようにしています。



17:30  写真探し終了

70枚程度の写真候補を選び出しました。松さんから、まずは多くの写真を選ぶように言われています。それらを傾向別に選り分けて、松さんへ渡します。



17:30 松さんからレクチャー

次に取り掛かる書籍と、そのデザインの方向性について、松さんから説明を受けました。ブックウォールでは、基本的にクライアントさんとの打ち合わせは松さんが行い、仕事のすべてを把握しています。私と、同僚の岡本さんは、松さんから説明を受け、分担してデザインを受け持ちます。そして松さんのチェックを経て、最終的にクライアントさんへと提出します。松さんの作る文字は独自性があって書店でも目立ち、ブックウォールに入る前から凄いなぁと思っていたので、文字作りや文字の調整などについて松さんから直接、具体的に教えてもらえるのがとても勉強になっています。



17:45  近所のコンビニへ

ずっと座っていたら、身体が固まってきてしまいました……。散歩がてら、近所のコンビニへ買い出しに。



18:00 デザイン作業

外を歩いてきて、ちょっとリフレッシュ。今度は、小野田博一さんの『13歳からの論理的な話し方のトレーニング』(PHP研究所)のカバー周りのデザインに取り掛かります。これは小野田さんの人気シリーズの6冊目となるもので、カバーに使用するイラストやデザインの方向性は今までの雰囲気を踏襲しつつ、少しリニューアルしてほしいとのこと。従来の分かりやすく楽しいイメージは残しつつも、目新しさも感じられるようにデザインを考えていきます。傾向としては、子どもっぽくなり過ぎないように注意してみました。



23:15 デザイン作業完了

松さんにOKをもらって、先方にデザイン案を送りました。今日の作業はここまで!



23:30 退社

星野源のラジオ番組『ラジペディア』(J-WAVE)をiPodで聴きながら、帰宅。ちょうど今週には3rdシングル『夢の外へ』が発売されるとのこと! 楽しみです♪



24:40 帰宅

帰宅したら、実家から荷物が届いていました。同封されていた新聞をよく見てみると、それは……以前デザインを担当させていただいた見延典子さんの『敗れざる幕末』(徳間書店)を取り上げた記事でした。実は『敗れざる幕末』は私の地元・広島の福山藩にいた人のお話だったので、以前、地元に住む本好きの叔父に送ってあげていました。その後、本が中国新聞に取り上げられたのを見つけてくれて、記事とコピーを同封してくれたようです。それにしてもコピーが大量で笑ってしまいました。おじちゃんありがとう。


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▲実家からの荷物に、新聞記事がたくさん……


ところで、どんなに遅くても、晩ごはんは家で食べるようにしています。今日は夫が作ってくれたカレーをいただきます。こんな風に、平日の夜はだいたい帰りが遅いので、家で仕事をしている夫が料理をつくってくれています。ありがたい! 食べ終わったら洗い物をして、ゴミ捨てなど。くたびれて、すぐに寝てしまう……。


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26:00 就寝



illustrated by Hayato Kazama

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