デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第3回「探検ドリランド」(1/2) | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第3回「探検ドリランド」(1/2)

2020.10.28 WED

デザイン・クリエイティブ目線で語る

ソーシャルアプリ制作の裏側

第3回 グリー株式会社「探検ドリランド」(1/2)


2011年7月31日から大幅なリニューアルを行い、多くのユーザーを獲得している「探検ドリランド」。カードゲームの先駆けともいえる「探検ドリランド」は、スマートフォン化が進む中でどのように企画・運営されているのだろうか。グリーでのゲーム開発・制作の裏側をシニアマネージャーの千田朋晴氏、アートディレクターのタナカウサギ氏、デザイナーの高泰俊氏に、ソーシャルゲームづくりのやりがいやデザインへのこだわりをうかがった。

探検ドリランド 「探検ドリランド」とは

ハンターカードを使って、財宝を発掘したり、モンスターとバトルしながら探検を行い、キングモンスターを倒して次のステージを目指すカードゲーム。ゲームを原作としたテレビアニメ(テレビ東京系列6局ネット 毎週土曜日夜11時30分より)やコミック(ジャンプスクエアおよびジャンプSQ.19)など、メディアミックスで展開されていることにも注目が集まっている。また、ゲームは日本語版だけでなく、米国や欧州向けの英語版も提供されている。
URL http://product.gree.net/jp/ja/apps/98/


 Interview 1/2 

ゲーム内の1イベントから
新しく生まれ変わった探検ドリランド


「探検ドリランド」の制作チーム。デザイナーの高氏(左)、アートディレクターのタナカ氏(中)、プロデューサーの千田氏(右)
「探検ドリランド」の制作チーム。デザイナーの高氏(左)、アートディレクターのタナカ氏(中)、シニアマネージャーの千田氏(右)
「探検ドリランド」は、もともと同じ名前のゲーム内の1イベントが進化し、新しいゲームとして生まれ変わったという歴史をもつ。ゲーム内で、さまざまなイベントを仕掛けていく中で、「トレジャーハンター」というハンターカードを使ったイベントを行ったことが、現在の『探検ドリランド』のはじまりだ。

「イベントを行う場合は、しっかりとKPI(Key Performance Indicators)を設定し、そのイベントの効果を判断しています。悪いところがあれば改善し、よい部分はKPIを上げ切って集中投下することがグリーのやり方です」と千田氏は説明する。さまざまなイベントを仕掛けながら、どのようなイベントがユーザーに喜ばれるかを判断し、試行錯誤していく中でカードモデルのゲームに注力してきたというのだ。「当時は、現在ほどカードモデルのゲームは多くありませんでしたが、ミニゲームのひとつとしてトレジャーハンターのイベントを期間限定で行い、それを改善していくことで、現在の探検ドリランドができあがっていきました」(千田氏)

千田氏は、「探検ドリランド」以外の他のゲームや、新規プロダクトの立ち上げなど、いくつかのカードモデルのゲームを担当しているという。その中で、特に注意している点をうかがうと「カードの価値のコントロールをしっかりと行うこと」という答えが返ってきた。「カードのレアリティ設定やクリエイティブのつくり方には、こだわっています。上級でレアなカードがそれだとハッキリとわかるように、キャラクターのクリエイテイブだけでなく、カード枠やデザイン、背景にいたるまで、ノーマルカードとレアカードにはっきり違いを付けています。また、ゲーム内での使われ方やパラメーターの設定などもきちんと行って、お客様に良いものは良いものとして伝わるようにしていますね」(千田氏)

千田 朋晴氏
グリー株式会社
メディア事業本部
Japan第1スタジオ 第3企画グループ
シニアマネージャー
千田 朋晴氏
では、さまざまなゲームや企画を統括するうえで、メンバー間の意思疎通などをどのように行っているのだろうか。「プロダクトごとに目指すことをハッキリとさせ、施策やイベントのKPIをしっかりと定めてスタートさせているので、大枠はズレないと思っています。まず、企画のメイン担当者を決定し、メイン担当者は会議中に議論される内容を調整したり、メンバーの合意形成を図りながら企画を進めていきます。プロダクトの担当メンバーはひんぱんに会議を行っているので、ズレがあってもその都度修正できます。スピードを最大に上げつつ、精度の高い施策が行えることがグリーの強みですね」と千田氏は説明する。

「探検ドリランド」では、定期的に「キング祭り」というイベントが開催されている。過去に出てきたキングモンスターがオールスターで出てくるイベントで、ユーザーの反応が非常によいイベントのひとつだ。このようなイベント施策も、チームで企画し、KPIを定めて実行し、数値を分析していくことで改善や改修を行うというような、PDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)をスピードを上げて回していく体制が整っていることで、よりよいイベントとなっているといってもよいだろう。


GREE Platformで
米国や欧州にも配信


毎月1日0時に「新ハンター」9体がガチャに登場。目玉となる最高レアリティのSSレア3体は特に人気が高い
毎月1日0時に「新ハンター」9体がガチャに登場。目玉となる最高レアリティのSSレア3体は特に人気が高い(クリックで拡大)
「探検ドリランド」のもうひとつの特徴といえば、ゲームの世界観やストーリーを原作にテレビアニメや漫画が生まれていることだ。また、グリーでは、プラットフォームを統一することで最大169カ国(2012年7月末日現在)にソーシャルゲームを配信できるGREE Platformを2012年5月から提供しているが、いち早く「探検ドリランド」もこのGREE Platformを使って米国や欧州に配信されているという。

「英語版の探検ドリランドを制作するにあたっては、単純に英語にするだけでなく、ネイティブの社員がチェックし、表現やニュアンスを伝えるようにすることに苦労しましたね」と千田氏は話す。一方で、デザイン面に関しては大幅な変更を行っていないという。「デフォルメされた日本的なキャラクターなので、海外での反応は気になっていました。E3(Electronic Entertainment Expo)などのイベントで意見を聞くと、かわいいと好評で、世界に対しても価値を伝えられるクリエイティブであると感じたため、細かな調整は行っても大幅なデザイン変更は行っていません」と話す千田氏。



鈴木 恵美子氏
チーム全体で施策を考え、数値をベースに分析することでよりよいゲームを目指すことがグリーのゲーム作りの基本




前職では、トレーディングカードゲームの企画や制作にかかわっていたという千田氏に、グリーに転職してから仕事のやり方が変わってきたかについてもうかがうと「スピード感が違う」と答えてくれた。「前職でも、カードの企画、制作、場合によっては営業やイベントにいたるまで、トータルで見る必要がありました。現在も、企画・分析や制作を統括的に見ているので、同じような感覚で仕事ができているし、違和感はありません。しかし、検討から実行までのスピードがものすごく早いと感じています。グリーには、さまざまな業界からそれぞれ得意なスキルを持って入ってきている人が多く、またそれぞれの強みを活かせる場があるとも思います。やりたいことがあってグリーに入社し、実際にやりたいことができている人も多いのではないでしょうか」(千田氏)

(取材・文・撮影:野本幹彦)

>>> 後編に続く


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