デザインを考える前に、発想を変える。「人」の行動パターンから描くクリエイティブディレクターの視点はブラウザやコンテンツサイズを超えた発想法でもある。デザインの対象は画像でもコンテンツでもなく、「人」への影響力という原点に立ち返った手法で、目的を明確化させて、ブレない「世界観」をデザインしてみよう。
人の新しい行動パターンをクリエイティブする(2) |
仕様書ともいうべきシナリオつくり
クリエイティブディレクターの仕事は一言でいうと、「市場の行動パターンをつくる仕事」。対象が“人”である以上、Webブラウザの中のデザインだけでなく、誘導経路や閲覧時の意識においても“ペルソナ”を立てながらシナリオ化していくのもクリエイティブディレクターの発想方法の特徴である。
むろんこれらはデザイナーの能力としても、ぜひもち合わせておいたほうがよい。どこのロケーションで、どんなシチュエーションで、どんな人間に、どんな影響を与えることが目的なのかが明確になれば、ミッションは明確である。ビジュアルやキーワード、メッセージがここで登場してくるのである。デザイナーは、ハッピーエンドに向けてたどり着くためのナビゲーションサインをデザインするのである[3]。
[3] ハッピーエンドへと導くナビゲーション=シナリオをデザインする
これならば表現手法は比較的自由であるといえるだろう。なぜならば、与えられたのはミッションだけであり、どのようにそれを達成するかのシナリオにはテンプレートなどないのだから。
デザインの発想をする際のスタンスは、クライアントと顧客との直感的な接点を演出するコンサルタント、いや、もっとわかりやすくいうと、成功体験のシナリオライターと考えることでデザイナーはより創造的な発想を増やすことができるはずである。
人の新しい行動パターンをクリエイティブする(1)──「人」とデザインとの接し方を分析する
人の新しい行動パターンをクリエイティブする(2)──仕様書ともいうべきシナリオつくり
デザイナーにも求められるインタビュー能力(1)──レイアウトデザインの制作は目的ではない
デザイナーにも求められるインタビュー能力(2)──デザインの目的を明確にする仕掛けと変化
ペルソナを主人公にストーリーを描く(1)──ミニストーリーをたくさんつくること
ペルソナを主人公にストーリーを描く(2)──歩かせ方も工夫する
求められているものは世界観(1)──“デザイン”から“世界観”へ
求められているものは世界観(2)──インタラクティブ=シナリオ×デザイン×技術