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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2018.10.09 Tue

iPhone SEユーザーだけどiPhone Xs Max買ってみた(後編)

ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ 
iPhone SEユーザーだけどiPhone Xs Max買ってみた(後編)~Apple「iPhone Xs Max」レビュー
2018年10月09日
TEXT:山口真弘(ITライター)

4インチとコンパクトな「iPhone SE」の長年のユーザーである筆者が、6.5インチの大画面モデル「iPhone Xs Max」を使ってみたレビューの前編では、両製品を併用することを前提にさまざまな使い方をチェックしましたが、なかにはやはり、併用が少々難しそうな点もいくつかあります。今回の後編では、それらの問題点を中心に見ていきます。

この両製品を併用するにあたり、なにより戸惑いが大きいのは、ホーム画面の操作方法です。iPhone Xs Maxは物理ホームボタンがなく、ホーム画面にまつわる操作方法はiPhone X以前のモデルとは異なっています。そのため、iPhone Xs Maxをしばらく使った後にiPhone SEを使うと、操作方法の違いに戸惑うというわけです。

なかでも、コントロールセンターの表示(画面の右上から下にスワイプ)や、通知センターの表示(画面の左上から下にスワイプ)に関しては、従来の操作方法と頭の中で混乱することが多く、コントロールセンターを表示しようとしてホーム画面に戻ってしまうこともしばしばです。これは昨年iPhone Xが登場した時点ですでにそうだったわけですが、完全な乗り換えならまだしも、併用するのは感覚的に難しいというのが、率直な感想です。
コントロールセンターは画面右上から下にスワイプすることで表示されます。ちなみに以前は「画面下から上へのスワイプ」でした

コントロールセンターは画面右上から下にスワイプすることで表示されます。ちなみに以前は「画面下から上へのスワイプ」でした

通知センターは画面左上から下にスワイプすることで表示されます。ちなみに以前は「画面上(左右問わず)から下へのスワイプ」でした

通知センターは画面左上から下にスワイプすることで表示されます。ちなみに以前は「画面上(左右問わず)から下へのスワイプ」でした

これとは逆に、意外と誤操作を起こしにくいのが、ホーム画面への戻り方です。iPhone SEの場合は「ホームボタンを押す」、iPhone Xs Maxは「画面最下部の細長いバー(ホームインジケータ)を上にスワイプする」と、操作方法はまったく異なるのですが、ホームボタンがあるかないかで直感的に判断できるため、こちらは意外にも戸惑いがなく、間違えようがありません。前述のコントロールセンターなどの表示が、見た目が同じにもかかわらず操作方法がまったく異なるせいで間違えやすいのとは対照的です。
画面最下部の細長いバー(ホームインジケータ)を上にスワイプするとホーム画面へと戻ります。ホームボタンがない故の操作方法です

画面最下部の細長いバー(ホームインジケータ)を上にスワイプするとホーム画面へと戻ります。ホームボタンがない故の操作方法です

iPhone SEのホームボタンは存在感があるため、iPhone Xs Maxをしばらく使ったあとも操作方法を間違えることはまずありません

iPhone SEのホームボタンは存在感があるため、iPhone Xs Maxをしばらく使ったあとも操作方法を間違えることはまずありません

併用が難しいと感じる、もうひとつのポイントはカメラです。もともとiPhone SEのカメラは、これまでのiPhone 8と比べても世代も古く、iPhone Xs Maxを一度使ってしまうと、色合いやディティールの差は歴然です。

これに加えてiPhone Xs Maxには、撮影後に背景のぼかし具合を調整できるポートレートモードも搭載されています。これは非デュアルレンズのiPhone SEでは使うことができないだけに、両製品の差を感じがちです。

もちろんiPhone SEには、外出先ですぐ取り出せる機動力の高さという優位性はあるのですが、こと画質と表現力だけで評価するならば、iPhone Xs Maxを使わない手はありません。iPhone Xs Maxをメインにし、iPhone SEはメモ用途に特化して使い続ける手もありますが、両製品を併用していて徐々にiPhone SEを使わなくなってくるとすれば、このあたりがきっかけになるのかなという気がします。
ポートレートモードでは撮影後に被写界深度を自由に変更できます。これは背後の2体にもある程度ピントが合っています

ポートレートモードでは撮影後に被写界深度を自由に変更できます。これは背後の2体にもある程度ピントが合っています

被写界深度を浅くした状態。背後の2体はもちろん、手前の1体の足元付近まで、ぼけていることが分かります

被写界深度を浅くした状態。背後の2体はもちろん、手前の1体の足元付近まで、ぼけていることが分かります

スピーカーおよびイヤホンまわりについても、両製品の違いを感じやすいポイントです。スピーカーについては、iPhone SEと同様、Lightningコネクタの隣に搭載されており、iPad Proのように本体の上下左右4箇所についているわけではないのですが、スピーカーを指で塞ぐと音がまったく聞こえなくなるiPhone SEと異なり、iPhone Xs Maxではボディ全体から音が出るような響き方をするため、イヤホンなどを使わなくとも十分にリッチな音を聴けます。特に動画鑑賞ではその違いを感じがちです。

また、有線イヤホンを使っている人にとっては、イヤホンジャックが存在しないiPhone Xs Maxでは、市販のイヤホンが使えないのがネックになるでしょう。パッケージに付属するLightningコネクタ接続のイヤホンを使う手もありますが、個人的にはこれを機に、Bluetoothのワイヤレスイヤホンへと乗り換えたほうがよいのではないかと思います。

最近は、Apple純正のAirPods以外にも、本連載で過去に紹介した「iQbuds」や「MS-TW2」のような、汎用性の高いBluetoothイヤホンが多数販売されています。これらは完全ワイヤレスゆえ、歩きながら使っても衣類とケーブルがこすれる音もしないなど、快適な環境が手に入ります。iPhone SEでも問題なく使えますので、この機会に試してみてもよいのではないでしょうか。
スピーカーの配置は両者ともに違いはありませんが、iPhone Xs Maxはイヤホンジャックを搭載していません

スピーカーの配置は両者ともに違いはありませんが、iPhone Xs Maxはイヤホンジャックを搭載していません

iPhone Xs Max付属のイヤホン。Lightiningコネクタに接続して利用します。ちなみにこれ自体はiPhone SEでも問題なく使えます

iPhone Xs Max付属のイヤホン。Lightiningコネクタに接続して利用します。ちなみにこれ自体はiPhone SEでも問題なく使えます

「MS-TW2」(左)や「iQbuds」(右)などの完全ワイヤレスイヤホンは、iPhone Xs Maxのようにイヤホンジャックのないスマホでの利用にぴったりです

「MS-TW2」(左)や「iQbuds」(右)などの完全ワイヤレスイヤホンは、iPhone Xs Maxのようにイヤホンジャックのないスマホでの利用にぴったりです

といった具合に、併用がやや難しいポイントはいくつもあるわけですが、もっとも解決しにくいのはこうした機能にまつわる部分ではなく、「持ち方」なのかもしれません。

前回、iPhone Xs Maxはウェブの閲覧に適していると書きましたが、では現在、筆者がウェブを見る時につねにiPhone Xs Maxを使っているかというと、実はそうではありません。特に、就寝前に、仰向けに寝転がった状態でウェブを見る用途では、ほぼ100%、iPhone SEを使っています。情報量の多さでは本製品の方が圧倒的にもかかわらず、なぜそうなるのでしょうか。

理由は、そもそもiPhone Xs Maxが、仰向けに寝転がった状態での片手の操作にまったく適していないためです。iPhone SEは仰向けに寝転がったままでも、いくつかの持ち方を駆使して、片手でのタッチ操作が可能です。しかしiPhone Xs Maxは、ベゼルレスの全画面スクリーンであることが災いして、仰向けに寝転がって片手で使うのは至難の業です。

これが電子書籍のように、同じ位置を繰り返しスワイプする程度ならまだ何とかなりますが、Webブラウジングのように上下にスクロールをしつつ、ページのあちこちに散りばめられたリンクをタップして、さらにBackボタンを使って戻るといった複雑な操作を、寝転がって仰向けになったまま片手で行うのは、iPhone Xs Maxではまずもって不可能です。
iPhone SEは仰向けになって使う場合も、通常の持ち方を基本に対応できます。この持ち方では親指で上下スクロールが行なえます

iPhone SEは仰向けになって使う場合も、通常の持ち方を基本に対応できます。この持ち方では親指で上下スクロールが行なえます

筆者がよく行う持ち方がこれで、4本の指で本体を挟み、親指で操作します。上下ベゼルに一定の幅があるからこそできる持ち方です

筆者がよく行う持ち方がこれで、4本の指で本体を挟み、親指で操作します。上下ベゼルに一定の幅があるからこそできる持ち方です

iPhone Xs Maxでは、通常の持ち方のまま仰向けになると、握るのが精一杯です

iPhone Xs Maxでは、通常の持ち方のまま仰向けになると、握るのが精一杯です

ベゼルレスゆえ先程のiPhone SEの握り方では画面に直接触れてしまい操作できません

ベゼルレスゆえ先程のiPhone SEの握り方では画面に直接触れてしまい操作できません

左右スワイプ程度であれば、上部をわしづかみにして親指で操作できなくもありません

左右スワイプ程度であれば、上部をわしづかみにして親指で操作できなくもありません

これについては、片手持ちを可能にするためのリングなどのオプションを使えば解決する可能性はありますが、その場合にもうひとつネックになるのは、iPhone SEの約2倍となる重量です。これについてはどうしようもなく、やはり就寝時に寝転がって使う場合は、たとえ画面が小さくても軽量なiPhone SE……という選択になりがちです。

これはおそらくiPhone SEに限ったことではなく、ほかの4.7インチのiPhoneや、その他Androidスマホと比較する場合でも、「寝転がっての片手持ち」という条件が付く限り、iPhone Xs Maxでは無理という結論にならざるを得ないのではないかなと思います。
iPhone Xs Maxも、普通に持つぶんにはまったく問題なく、片手での操作もいくつかの機能を使えば十分に可能ではあるのですが、難しいところです

iPhone Xs Maxも、普通に持つぶんにはまったく問題なく、片手での操作もいくつかの機能を使えば十分に可能ではあるのですが、難しいところです

以上ざっと見てきましたが、筆者がiPhone SEとiPhone Xs Maxの併用を始めてからの約2週間、iPhone Xs Maxが圧倒的優勢かと言うとそうではなく、逆にiPhone SEの優れたところをあらためて認識することも多くあります。

完全にiPhone Xs Max一辺倒となったのは動画鑑賞とカメラで、Webブラウジングについては前述のように普段はiPhone Xs Maxで、寝転がって使う場合はiPhone SEといった棲み分けです。「もう元には戻れない」機能はもちろんあるのですが、意外と棲み分けはできてしまうというのが、現時点での筆者の結論です。

本稿の前編でも書きましたが、この両製品はコンセプトが違いすぎるだけに、完全に乗り換えるのではなく、併用するには適した組み合わせです。購入にあたっての判断の基準としては「動画鑑賞またはカメラ機能を重視している」「Webブラウジングで広い画面を使いたい」などの条件に当てはまることが、高い満足度を得るために欠かせないと言えそうです。

このほか、筆者の主用途ではないため取り上げませんでしたが、CPUパワーを活かしたゲームへの対応のほか、iPhone SEにはない防水防塵機能、ワイヤレス充電への対応なども、使い続けているとメリットを感じるポイントかもしれません。現在iPhone Xs Maxに興味を持っている人は、こうした点を基準に判断するとよいのではないかと思います。

逆に、併用ではなく乗り換えを前提にするのであれば、iPhone Xs Maxではなく、ひとまわり小さいスタンダードモデルの「iPhone Xs」か、近日発売される「iPhone XR」が主な候補になるはずです。とくにカメラ機能については、iPhone XsはiPhone Xs Maxと同等ということで、カメラ機能に魅力を感じるけれども、iPhone Xs Maxはサイズ的にちょっと抵抗があるという人は、有力な候補になるのではないでしょうか。
iPhone SEユーザーには馴染みにくいカメラ部分の突起は、市販の保護ケース(右)を装着することで段差をなくす方法が効果的です

iPhone SEユーザーには馴染みにくいカメラ部分の突起は、市販の保護ケース(右)を装着することで段差をなくす方法が効果的です

iPhone 6s(左)とiPhone SE(右)のサイズ比較。iPhone Xs Maxを見たあとでは、サイズの差がないことに逆に驚かされます

iPhone 6s(左)とiPhone SE(右)のサイズ比較。iPhone Xs Maxを見たあとでは、サイズの差がないことに逆に驚かされます

製品名:iPhone Xs Max
実売価格:112,800円(64GB、税別)
発売元:Apple
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
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