「iPadをサブディスプレイ化」をより快適にするタブレットクリップ~上海問屋「DN-915127」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
iPadを新しいモデルに買い替えたあと、以前使っていた古いモデルが放置状態になっている人は少なくないのではないでしょうか。古いと言ってもいざという時に代替機として使えそうだし、これまで使ってきて愛着もあるので中古で売るのも忍びない……こうしてズルズルと時間だけが経過していくというのは、よくある話です。
こうした場合の活用法としておすすめなのが、iPadをノートPCのサブディスプレイとして使う用途です。これらを実現するためのアプリやデバイスは「Duet Display」や「Luna Display」など多数存在していますが(ここでは導入手順は紹介しませんので興味のある方はググってください)、これらを使う際にあるとたいへん重宝するのが、タブレットをノートPCの画面の横に並べて取り付けるクリップです。
これがあれば、ノートPCのディスプレイとタブレットを、並べた状態のまま固定できます。直接連結させることから、ディスプレイの傾き具合を変えてもつねに同じ角度を維持できるのも、タブレットスタンドを使う場合と比べてメリットと言えます。
サードウェーブが「上海問屋」ブランドで販売しているタブレットクリップ「DN-915127」は、まさにそんなニーズに応えてくれる製品です。同種のタブレットクリップはネットで検索するといくつか見つかりますが、本製品は構造を簡略化する代わりに、税別599円という低価格を実現しているのが特徴です。
メーカーによると耐荷重は約470gということで、7.9インチのiPad miniシリーズはどのモデルも対応、9.7インチのiPadであれば第4世代(650g)以前はアウト、iPad Air(469g)以降であればセーフ、ということで、だいたいの感覚がお分かりいただけるのではないでしょうか。もちろんAndroidタブレットやWindowsタブレットでも、重量および厚み(12mm以下)が適合していれば利用できます。
クリップの高さは約89mmとそこそこあるのですが、さすがに10インチ前後のサイズのタブレットを固定するとなると、取り付け位置によってはタイピングのたびに下部がユラユラと揺れることもしばしばです(ノートPCのヒンジの硬さも影響するでしょう)。気になるようなら2個セットで購入し、タブレットの上部と下部をそれぞれしっかり固定したほうがよいかもしれません。このあたりは取り付けるタブレットのサイズや、ノートPCのディスプレイの高さによっても変わります。
というのも本製品は、ひんぱんな着脱にあまり向かないからです。本製品はひとつのネジでノートPCとタブレットの両方をまとめて締め付ける構造上、ノートPC側を挟んだままタブレット側だけを緩めて外す、といったことができません。ネジを緩めると、両方同時に外れてしまいます。
そのため、一旦取り付けたら長期間取り外さなくて済む用途には向きますが、ひんぱんに着脱を繰り返す用途だと、使い勝手がいまいちよくありません。ふだん単体で使っている最新のタブレットを使わない時だけサブディスプレイとして使う用途であれば、本製品ではなく、ノートPCとタブレットを別々のネジで固定できる製品を探したほうがよいでしょう。
そうした意味からも、タブレットでもベゼルが細い側、特にiPad ProやiPad mini 4の長辺側に取り付けるにはあまり向いていません。取り付けるのであれば、iPadであればベゼル幅が太い短辺側か、あるいはベゼルが太い、型式の古いタブレットのほうが向いています。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2018.10.16 Tue