マグネット内蔵でこんなに変わる、進化したイマドキのクリップボード~キングジム「マグフラップ」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
書類を挟み、テーブルのない場所での筆記や立ったままでの筆記を可能にするクリップボードは、ビジネスシーンでは欠かせないアイテムです。
何十年にもわたって同じ形状のものが販売されていることからも分かるように、製品としてはすでに完成されており、それほど進化の余地がないように見えますが、実際にはプラスアルファの工夫を凝らした製品が、各社からいくつも発売されています。
その中で、2018年に発売された、機能性の高いマグネット内蔵クリップボードが、今回紹介するキングジムの「マグフラップ」です。
ひとつは、本体下部にマグネットのフラップが付いていることです。これにより、書類の上部だけでなく下部も挟むことができますので、風が強い屋外などでも、書類がめくれることがありません。またクリップボードをバッグの中に入れる時も、書類の端が折れる心配もありません。
このフラップは、背面に回して吸着させておくこともできるので、書類の下のほうに書き込みをする時にも邪魔になりません。その場合もマグネットで吸着できるのが、よく考えられた構造だなと感じます。
何枚にも及ぶ書類に書き込みをする時、上のほうのページをめくって裏側にぐるりと半周させ、手で押さえながら書くことがありますが、本製品ならば裏側に回した書類を固定できますので、手で押さえ続けなくて済み、またテーブルの上に置いても、書類が元に戻ることがありません。
ちなみに上部のクリップは、A4の横幅をほぼカバーする横長のサイズ(メーカーは「全長クリップカバー」と呼んでいます)なので、中央部分だけを押さえる一般的なクリップボードの綴じ具と違い、跡が残りにくく、また左右の端がめくれにくいのも利点です。
キャビネットやロッカー、スチールデスクなどのスチール面に貼り付ければ、保管場所をわざわざ用意しなくて済みますし、ちょっとした掲示板のような使い方も可能になります。
また、スチール製のブックスタンドなどと組み合わせれば、PCへの書類入力用に使うデータホルダーのような使い方も可能かもしれません。4箇所のマグネットがすべて吸着できないと不安定になる点は注意する必要がありますが、いずれにせよ内蔵のマグネットが多彩な使い方を可能にしているのが特徴です。
「なるほど、まだまだ進化の余地があるものだなあ」と感心させられるこの製品、実際に使ってみて唯一気になったのは、一般的なクリップボードのように、紙と一緒にペンを挟むのが難しいことでしょうか。この点についてのみ、自前で何らかの工夫をする必要がありそうです。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2019.08.06 Tue