コロナ禍の今だからこそ見直したい、自宅にインクジェット複合機を置くメリットとは?~ブラザー工業「DCP-J987N」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
テレワークの普及に伴い、あらためて脚光を浴びつつあるIT機器のひとつに、プリンタがあります。
近年はスマホやタブレットの普及により「印刷して持ち歩く」というニーズが減ったこと、またコンビニプリントの普及もあり、プリンタの影はやや薄くなっていました。しかしテレワークの普及で、外出することなく自宅内で作業を完結させるために、プリンタがあらためてクローズアップされているというわけです。
そんなプリンタは、近年はスキャナやコピー機能が付属した、いわゆる複合機が占める割合が増えてきています。いま自宅作業用にプリンタを購入するのであれば、書類のコピーやスキャンもまとめて行える、インクジェットタイプの複合機をチョイスしたほうが、何かと重宝することでしょう。
そんなインクジェット複合機は最近はいちだんと低価格化が進み、2万円前後の予算でも十分な機能を持った製品を入手できます。今回はそのひとつ、ブラザーのエントリーモデル「DCP-J987N」を例に、インクジェット複合機の利点と選び方について紹介します。
理由はいくつかあります。まずひとつは動作音が全体的に静かなことです。プリンタが発する音は、休止状態から復帰して使えるようになるまでの音と、印刷を行っている時の印刷ヘッダーが移動する音、大きくこの2つに分けられますが、一般的に運転音が静かとされる製品でも、前者はかなり騒々しいこともしばしばです。
その点でブラザーの製品は、平均的に動作音が静かで、周りの部屋に響きにくい特徴を備えています。家族が静まった夜中に作業を行うことが多い人、また壁が薄いアパートなどに住んでいる人にとっては、最適解と言えるでしょう。
タッチパネルで操作が行えることも特徴です。最近のインクジェット複合機の多くは本体に液晶画面を備え、スキャンやコピーなどの操作を本体側で行えますが、タッチ対応は主に上位グレードのモデルに限られています。本製品はエントリークラスの製品でありながらタッチに対応しており、直感的な操作が行えます。
全体的におとなしいデザインなのもポイントです。他社の製品では、プリンタはインテリアの一部と言わんばかりに、派手な色合いだったり、あるいは表面が光沢調の製品が少なくありません。本製品はやや事務用品的なデザインではありますが、過度に主張することもなく、部屋との調和も取れています。
用紙はA4とハガキの2種類を前面トレイにセットし、切り替えて利用できるほか、厚紙や封筒に印刷したい場合は、背面からの手差しにも対応します。またこのクラスの製品は、自動両面印刷に対応する製品とそうでない製品がありますが、本製品は問題なく対応しているのもプラスです。
またオートシートフィーダを折りたたむことで、天板を完全にフラットにできるのも特徴です。オートシートフィーダはなにかとホコリが溜まりやすく、露出したままだと汚れが目立ちがちですが、本製品は使わない時は内側を向けて収納しておけますので、そうした心配もありません。
ちなみにスキャナ機能では、保存先としてPCのほか、本体のカードスロットに挿したメモリカードを選ぶこともできます。操作は本体のタッチパネルで行なえますので、作業も捗ります。このほか読み取ったデータをクラウドに直接アップロードすることも可能です。
価格も、単機能のインクジェットプリンタが5~6万円はした20年前とは異なり、現在は今回紹介したようなインクジェット複合機が、2万円前後で手に入ります。一般的にはビジネスユースや年賀状作成が主用途に挙げられますが、確定申告における書類の出力も増えるこれからの時期に合わせて購入するのも、タイミングとしては悪くありません。
なお、今回紹介した製品はインクがカートリッジ式ですが、最近のインクジェットプリンタのトレンドとして、大容量のインクタンクが挙げられます。海外の普及ぶりに比べると日本でのシェアはまだ低めですが、メーカーによってはこうした大容量インクタンクモデルに注力している場合もありますので、それらも併せて検討するとよいかもしれません。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2021.02.16 Tue