プロのフォント使いを実例から解く
気になるフォント、
知りたいフォント。
デザインの構成において、最も重要な要素の一つ「フォント」。本コーナーでは、無数の選択肢から導き出されるプロのフォント使いを、素敵な実例ベースで紹介していきます。(記事一覧はこちら)
今回取り上げるのは、商品パッケージ『海苔たっぷりすうぷ わさび』です。
2019年7月18日 取材・文 山口 優
『海苔たっぷりすうぷ わさび』パッケージ/2019/ポッカサッポロフード&ビバレッジ(URL)
●Creative Director+Art Director:佐原暢[ポッカサッポロフード&ビバレッジ]
●Art Director:矢口洋[デザインメイト]
●Designer:鈴木哲[デザインメイト]
力強い筆文字で明快かつ骨太な印象に
シンプルで奥深い和風だしを使い、海苔素材本来のおいしさを引き出した「海苔たっぷりすうぷ」のパッケージ。鰹だし風味とわさび風味の2種類がラインアップされている。パッケージは、筆文字や暖簾のビジュアルで和のトーンを出しつつ、メインターゲットの男性に強く訴求するため明快かつ骨太な印象でデザインされている。
使用フォント1(商品ロゴ)
「隷書101」
隷書体にニュアンスをつけ
ダイナミックな筆致に

隷書101
商品名の「海苔たっぷり」部分の文字は、どっしりとした落ち着きのある骨格が特徴的な「隷書101」(モリサワ)がベース。和風スープであることを表現するため、筆の印象の強い書体が選択された。またメインターゲットの男性に対する訴求力を高めるため、文字を太らせたり、刷毛の質感を加味してハライやハネを強調したり、ドロップシャドウを施したりして、ダイナミックさを強める工夫がされている。
使用フォント2(商品シリーズ名)
「秀英初号明朝 撰 H」
クラシカルな明朝体で
和の趣を出す

秀英初号明朝 撰 H
シリーズ名「わさび風味スープ」部分の文字は、伝統的な活字のデザインを受け継いだ明朝体「秀英初号明朝 撰 H」(モリサワ)。メインの商品名と同様に、和の趣を出すため、骨太で流れるような筆致の書体が選択されている。
使用フォント3(キャッチコピー)
「DFP行楷書 W5」
美しい毛筆系書体で
全体に統一感を出す

DFP行楷書 W5
商品の特徴を表すキャッチコピー部分は、行書と楷書を調和させた毛筆系書体「DFP行楷書 W5」(ダイナコムウェア)。商品名・シリーズ名との相性や全体の統一感を意識し、筆の印象が強い書体が選択されている。