今回は書籍『よかれと思ってやったのに ――男たちの「失敗学」入門』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
個性的な丸ゴシック体でポップで身近な印象に
恋バナ収集を軸に活動するユニット「桃山商事」の代表を務める著者が、これまで受けてきた恋愛相談をもとに男性のタイプや問題点を分析した書籍の表紙カバー。手に取った人が当事者意識を持って身近に感じられるよう、書籍内では言及されている男性のタイプが描きおこしのイラストで可視化されている。同時にポップなフォントやビビッドな色使いなどで、できるだけ読者に批判的な印象を与えないような配慮も。
Font.01「トンネル 太線(Wideline)」
極太の丸ゴシック体でポップかつ親しみやすく
メインタイトルの文字は、画線と画線の重なり部分に切れ目のある立体的な丸ゴシック体「トンネル 太線(Wideline)」(モリサワ)。書籍を手に取った人の目を引きつつも、できるだけネガティブな印象にならないように、ポップでインパクトのある書体が選択された。
Font.02「秀英にじみ丸ゴシック」
クラシックで落ち着いた印象の丸ゴシック体に
サブタイトル部分の文字は、伝統的な活字書体のデザインを引き継ぎ、インクのにじみや墨だまりを再現した丸ゴシック体「秀英にじみ丸ゴシック」(モリサワ)。メインタイトルとの相性やメリハリを意識して、フトコロの締まった落ち着いた印象の書体が選択されている。
Font.03「秀英にじみ丸ゴシック」
タイトルに合わせた丸ゴシック体で統一感を
イラストの横に添えられた男性のタイプを説明する青色の文字は、サブタイトルと同じ「秀英にじみ丸ゴシック」(モリサワ)が選択された。主張しすぎずほのぼのとした雰囲気の丸ゴシック体を使うことで、表紙カバーのポップで親しみやすい印象が補強されつつ、目に付くポイントも増えている。
2019.08.16 Fri2021.09.04 Sat