今回はお菓子『釜揚げチップス 塩とわさび味』のパッケージの使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
カリッとした食感を骨太かつポップな書体で表現
カリカリっとした堅めの食感と、安曇野産わさびのツンとした爽やかな辛さが特徴の夏季限定釜揚げチップス『釜揚げチップス 塩とわさび味』のパッケージ。大胆に配置されたわさびのビジュアルや、白と黄緑色を基調とした配色、どっしりとした骨格の商品ロゴなどで、釜揚げチップスの堅さや、わさびの清涼感、期間限定商品ならではのプレミアム感などが表現されている。
Font.01「DSきりぎりす」
商品の世界観に合わせたポップでかわいい書体に
シリーズ名の「釜揚げチップス」やパッケージ右下のキャッチ「塩とわさび味」部分の文字は、切り文字のような独特のフォルムを持つ「DSきりぎりす」(デザインシグナル)。そのポップでかわいらしい表情が、ポテトチップスを食べるシーンや世界観にぴったりのイメージだったため選択された。
Font.02「Abadi MT Condensed Extra Bold」
骨太なサンセリフ体で歯ごたえや食感を表現
商品ロゴの欧文は、幾何学的な中にも人間味があるフォルムが特徴的な「Abadi」フォントファミリーが選択された。そのうち「KAMAAGE」部分は釜揚げチップスの歯ごたえある堅さやカリッとした食感を意識して、ポップな極太のコンデンス書体「Abadi MT Condensed Extra Bold」(FontFont)に。
Font.03「Abadi MT Condensed Light」
細めの書体でロゴ周りをスッキリと
商品ロゴのうち「CHIPS」部分の文字は、「KAMAAGE」に使用した書体よりもウェイトの細い「Abadi MT Condensed Light」(FontFont)。文字の太さにメリハリをつけることでロゴ周りの印象をスッキリさせるのが狙い。
Font.04「本明朝-BII 新がな」
可読性が高く誠実な印象の明朝体
生産地を紹介する文言「安曇野産わさび使用」部分の文字は、流麗な曲線とシャープな直線が調和した明朝体「本明朝-BII 新がな」(タイプバンク)。商品の味を補足する文言であるため、可読性が高く誠実な印象の書体が選択された。
Font.05「UD新ゴ R」
特定原材料の表記に合わせ見やすいUD書体に
パッケージ下部の注意書き部分は、個々の文字の分かりやすさを重視した「UD新ゴ R」(モリサワ)。アレルギーに関する情報を表示する親切表示に使用されている書体とそろえることで、見る人に情報が伝わりやすくする工夫がされている。
2019.08.22 Thu2021.09.04 Sat