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気になるフォント、 知りたいフォント。

2020.01.09 Thu2021.09.03 Fri

書籍『ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子』

取材・文:山口優

『ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子』文庫/1997年(本記事掲載の新カバー版の発売は2019年)/KADOKAWA
●Designer:鈴木久美
●Illustrator:おぎわら朋弥

今回は文庫『ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子』(新カバー版)の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。

丸ゴシック体をベースに優しく柔らかな雰囲気で

車椅子がないと動けない人形のようなジョゼと管理人の恒夫の不思議にエロティックな関係を描いた表題作を含む、名作9篇を収録した短篇集『ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子』。2020年にアニメ映画化作品が公開されるのを前にカバーデザインもリニューアルされた。

表紙カバーでは、さまざまな愛と別れが描かれている作品の世界観や現代の女性読者を意識し、物語性を感じさせるパステル調の装画や丸みのあるタイトル文字を使って、柔らかで優しい雰囲気が演出されている。

Font.01「筑紫A丸ゴシック M」
女性的な曲線を持つ丸ゴシック体を加工

「作品タイトル」部分
筑紫A丸ゴシック M

メインタイトルの文字は、装画に合わせて柔らかな雰囲気を出すため、女性的で温かなフォルムが印象的な「筑紫A丸ゴシック M」(フォントワークス)がチョイスされた。作品が短篇集であることを意識し、画線の交差部分で文字のエレメントを細かく切り分けるなどの工夫もされている。

Font.02「筑紫A丸ゴシック M」「Tarzana Wide OT Regular」
タイトルに合わせて優しい印象の書体に

「著者名」部分
筑紫A丸ゴシック M
Tarzana Wide OT Regular

著者名や出版社名部分の文字は、メインタイトルに合わせて「筑紫A丸ゴシック M」(フォントワークス)が選択された。装画の柔らかで優しい雰囲気を表現し、表紙カバー全体に統一感を持たせるのが狙い。

著者名の欧文表記部分は、オーソドックスながら文字のテール部分などに独特のアクセントのあるサンセリフ体「Tarzana Wide OT Regular」(Emigre)。タイトルなどに使用されている丸ゴシック体と相性がよく、優しい雰囲気を持ちながら個性的な書体が選択された。

読込中...

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