今回は『板チョコアイス』のパッケージの使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
ソリッドな文字で歯ごたえのある板チョコを表現
バニラアイスをチョコレートでコーティングし、板チョコのような外観に仕上げたロングセラーのアイスクリーム『板チョコアイス』。製品全体の約45%がチョコレートで、パキッとした歯ごたえと滑らかな口どけという相反する食感を実現しているのが大きな特徴。
パッケージでは、その板チョコアイスの硬さや厚さ、おいしさが、商品陳列時にもひと目で分かるよう、ソリッドでスタンダード感のあるロゴや商品特徴を表すビジュアル、印象に強く残る配色などで表現された。配色に関してはシリーズ展開も考慮され、フレーバーごとに異なる基本色が選択されている。本製品の場合はミルクチョコレートをイメージさせる赤がチョイスされた。
Font.01「オリジナル」
ローマン体をベースに 可読性を意識し作り起こす
商品ロゴのうち「板チョコ」部分の文字は、欧文書体のローマン体をイメージして作り起こされたオリジナルのもの。可読性や見た目の印象を考慮してローマン体につきもののセリフを省き、キレのよいデザインに仕上げられている。
下図は完成ロゴとそのプロトタイプ。当初は板チョコの歯ごたえや商品のスタンダードさを表現するため、すべてが直線で構成されたロゴが考案されていた。しかし、硬さが勝ちすぎていたため、最終的には丸みを持たせて、よりスタンダード感のあるロゴになるよう調整された。
Font.02「タイプラボN B」
メインのロゴに合わせ シャープな印象の書体に
商品名のうち「アイス」の文字は、シャープな直線とふところの広いモダンなフォルムが特徴のゴシックかな書体「タイプラボN B」(モリサワ)に。メインロゴと相性がよく、かつ干渉しないデザインの書体が選択された。
Font.03「フォーク H」
チョコの硬い歯ごたえを意識した書体に
「パキッ!」という商品の特徴を表した擬音部分の文字は、明朝体のような細い横画と太い縦画で構成された「フォーク H」(モリサワ)。板チョコの硬さや厚さ、おいしさを表現するため、横画と縦画にコントラストがあり、端正な印象の書体がチョイスされている。
Font.04「黎ミンY30 M」
流麗な明朝体で甘さや量感を演出
キャッチコピー部分の文字は、流麗なフォルムの明朝体「黎ミンY30 M」(モリサワ)に。他の文字要素に干渉せず、かつチョコのボリューム感や甘さなどが感じられる書体を選択。
2020.02.06 Thu2021.09.03 Fri