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気になるフォント、 知りたいフォント。

2020.03.12 Thu2021.09.03 Fri

書籍『恋をして生きてきたんだよな/青春bot』

取材・文:山口優

『恋をして生きてきたんだよな/青春bot』書籍/2020/ライツ社
●Designer:宗幸[UMMM]

今回は『恋をして生きてきたんだよな/青春bot』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。

作品の世界観に合わせ丸みのある個性的な文字に

インスタグラムで反響の大きかった青春イラストエッセイを一冊にまとめた書籍『恋をして生きてきたんだよな/青春bot』。作者が経験した苦く切ない片想いに対する心情が、独特のタッチのイラストと等身大の言葉で描かれている。

表紙カバーでは、その作品世界が、青春を連想させる地の色と、「思い出の窓」や「アルバムに貼られた写真」に見立てた作者のイラスト作品、印象的なタイトル文字、全面にあしらわれたホログラム箔などで表現されている。

Font.01「オリジナル」
切れ目の入ったネオン風の文字で懐かしく印象的に

完成したタイトル文字
「作品タイトル」部分
タイトル文字の制作過程
作り起こし文字の制作過程

タイトルの文字は、作品の世界観に合わせて制作されたオリジナルのもの。当初は古典的なオールドゴシック体や親しみやすい手書き文字なども検討されたが、イラストのタッチや作品の内容などを考慮し、丸ゴシック体風の文字が新たに作り起こされた。

若い世代だけでなく、30代以降の人にも手にとってもらえるよう、文字に切れ目を入れてネオン風にすることで、昭和アニメのタイトルのような懐かしさも感じられるよう表現されている。下図は、その制作過程。当初は輪郭線だけ残した袋文字が検討されていたが、箔押ししたときの見え方なども考慮して通常の文字に変更された。

Font.02「こぶりなゴシック W3」
本文の書体に合わせ小振りなゴシック体に

「ボディコピー」部分
こぶりなゴシック W3

ボディコピー部分の文字は、字面が小さめでやわらかな印象のゴシック体「こぶりなゴシック W3」(SCREENグラフィックソリューションズ)に。書籍全体に統一感を持たせるため、本文書体と同じファミリーの文字が選択された。なお、本文書体のウェイトは「W6」だが、表紙カバーではタイトル文字とのバランスを考慮して「W3」が選択されている。

Font.03「こぶりなゴシック W3」「Linotype Univers 330 Basic Light」
他の文字要素に合わせ字面が小さめの書体に

「著者名」部分
こぶりなゴシック W3

著者名部分は、漢字が「こぶりなゴシック W3」(SCREENグラフィックソリューションズ)、欧文が洗練されたフォルムのサンセリフ体「Linotype Univers 330 Basic Light」(Monotype)。ボディコピーと印象を揃えるため、字面が小さく洗練された書体が選択されている。

Font.04「秀英角ゴシック銀 L」
運筆に勢いのある文字に長体をかけて印象的に

「帯『やばい泣く。』」部分
秀英角ゴシック銀 L
秀英角ゴシック銀 L

帯の「やばい泣く。」部分の文字は、クラシカルな活字書体の特徴を受け継ぐゴシック体「秀英角ゴシック銀 L」(モリサワ)に。鍵になる「や」の字の形に勢いがあり、「やばい」という言葉の印象にピッタリだったため選択された。できるだけ印象に残るよう、長体をかけて大きくレイアウトするなどの工夫もされている。

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