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気になるフォント、 知りたいフォント。

2020.07.02 Thu2021.09.03 Fri

書籍『幻綺行 完全版/横田順彌(著)、日下三蔵(編)』

取材・文:山口優

『幻綺行 完全版/横田順彌(著)、日下三蔵(編)』書籍/2020/竹書房
●Designer:坂野公一
●Illustrator:榊原一樹

今回は書籍『幻綺行 完全版/横田順彌(著)、日下三蔵(編)』の使用フォントを紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。

レトロで武骨な印象の文字を使い古本のような趣を

困っている人を見捨てておけない性格ゆえ頻繁に事件に巻き込まれる快男児、中村春吉が、世界各地の秘境を探検して怪異や謎と対決するSF冒険譚『幻綺行 完全版/横田順彌(著)、日下三蔵(編)』。明治文化史や古本収集などの分野でも多くの業績を残したSF作家、横田順彌の魅力の詰まった作品で、単行本には未収録だった二篇を加えた完全版として新しく刊行された。ちなみに、中村春吉は明治期に実在した冒険家で、自転車での世界一周無銭旅行などで知られる。

表紙カバーは、昭和20~30年代に刊行されたポプラ社の「探偵冒険小説名作選」の装幀をリスペクトしたデザインに。レトロな雰囲気の装画や活字時代の名残を持つ書体、新たに作り起こされたオーナメント、シミや破れなどのダメージ加工で同レーベルの装幀を再現し、新刊でありながら圧倒的な古本感を漂わせる絶妙な趣となっている。

Font.01「AR明朝体U」
武骨さの残る極太の明朝体を選択

「作品タイトル」部分
AR明朝体U
AR明朝体U

メインタイトルの文字は、見出しなどに用いられることを想定して作られた極太書体「AR明朝体U」(アーフィック)に。活字時代の名残のあるレトロな雰囲気の文字で、どこか武骨さの残るフォルムが表紙カバーのデザインコンセプトにマッチしていたため選択された。古本風の雰囲気に馴染むよう、ほんの少し角を丸めるなどの調整が加えられている。

Font.02「AR明朝体U」
タイトルと同じ明朝体でレトロ感を

「著者名」部分
AR明朝体U
AR明朝体U

著者名部分は、タイトルと同じ極太の明朝体「AR明朝体U」(アーフィック)に。ポプラ社の「探偵冒険小説名作選」の装幀を意識し、若干平体をかけたり、角を丸めたり、線を痩せさせるなどの調整が施されている。

Font.03「AR明朝体U」
レトロ感を強調するため他のフォントもそろえる

「レーベル名」部分
AR明朝体U
AR明朝体U

レーベル名「竹書房文庫」部分も他の文字要素と同じ「AR明朝体U」(アーフィック)に。レトロな雰囲気を強めるため、若干平体をかけたり、角を丸めたり、線を痩せさせるなどの調整がされている。

読込中...

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