今回は書籍『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!/玉木正之』の使用フォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
温かく親しみのある書体で手に取りやすい印象に
スポーツ文化評論家の玉木正之が、読者に“スポーツとは何か?”を問いかけながら、文化としてのスポーツの魅力を解き明かしていくコラム集。スポーツになじみのない人でも入門書や雑学書として楽しめる内容になっている。
表紙カバーは、書体やイラスト、色使い、用紙の種類などにもこだわって小難しさや専門性を排し、優しく手に取りやすい印象に仕上げられている。
Font.01「A1ゴシック M」
温かみや親しみを持つ黒みのある書体に
メインタイトルの文字は、オールドスタイルの明朝体「A1明朝」の骨格を参照して作成されたゴシック体「A1ゴシック M」(いずれもモリサワ)がベースに。淡い色味の背景とメリハリをつけつつ温かみや親しみを持たせるため、角や線画の交差部分にほんのり丸みがあり、優しさとしっかりとした黒みを併せ持つ書体が選択された。若干長体をかけることで文字を組んだ際に縦に美しく流れるような工夫もされている。
Font.02「A1ゴシック M」
タイトルと書体をそろえ全体に統一感を
著者名の文字は、メインタイトルと同じゴシック体「A1ゴシック M」(モリサワ)に。淡い色味の背景とメリハリをつけて引き立たせつつ、タイトルと書体をそろえることでフォントの使いすぎを防ぎ、印象的でありながらもすっきりとした雰囲気にまとめられている。
Font.03「Berenjena Fina」
細くエレガントな書体でメリハリをつける
著者名の欧文は、繊細なフォルムを持つセリフ体「Berenjena Fina」(PampaType)に。太くしっかりとした黒みと温かみを併せ持つ和文書体に対して、細くエレガントな書体を使うことで、メリハリを持たせるのが狙い。
2020.07.09 Thu2021.09.03 Fri