今回は映画『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~』のポスターのフォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
アンバランスさを意識した文字で懐かしさを演出
“遊べる本屋”をコンセプトにした複合型書店「ヴィレッジヴァンガード」を舞台に、自称「空っぽ」の杉下とその仲間たちのハチャメチャで刺激的な青春の日々を描いたドラマシリーズ「ヴィレヴァン!」の劇場版『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~』(監督:後藤庸介)。この世から “サブカル” がなくなっていることに気づいた杉下らが、それを取り戻すべく壮絶なバトルを繰り広げます。
ポスターでは、サブカル愛に溢れた作品世界が、名作SF映画へのオマージュを思わせるメインビジュアルと、その同時代性を意識しつつも新しさを取り入れたデザインやタイトルロゴなどで表現されています。
Font.01「オリジナル」
作り起こしの文字で懐かしさを感じさせる
本作は、70年代にシリーズ第1作が公開された名作SF映画へのオマージュ要素が強い内容で、タイトルにもそれが現れているため、タイトルロゴもその同時代性を意識して作り起こされました。その際、既存フォントでは出せないようなアンバランスな文字にすることで、懐かしさを演出する工夫がされています。下図はその制作工程。ベースの文字やその奥行きなどを設計したあと、立体的に飛び出して見えるようなロゴが作成されました。
Font.02「オリジナル」
メインタイトルと同じコンセプトの文字に
サブタイトルはメインタイトルと同じコンセプトで、どこかアンバランスで懐かしさを感じさせる文字が作り起こされています。下図はその制作工程です。メインタイトルより文字サイズが小さくなるため、ふところを広く取ったり、濁点の位置を調整するなどして視認性が高くなるような工夫もされています。
Font.03「Mortuary Deco BB」
洗練された書体でメリハリをつける
タイトルの欧文は、袋文字風のデザイン書体「Mortuary Deco BB」(Blambot)に。メインタイトルやサブタイトルとは逆の洗練された雰囲気の書体を使うことでメリハリをつけ、バランスをとる工夫がされています。
2020.10.08 Thu2024.04.06 Sat