今回は書籍 『猫のヒミツ 猫好き一家の猫まみれライフで学ぶ“猫トリビア”/ねこまき(ミューズワーク)』のフォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
もっちりした文字で猫の愛らしい雰囲気を出す
猫漫画で人気の漫画家ねこまきと猫専門の獣医師がタッグを組み、ストーリー性のある漫画で猫の生態や飼い方、歴史などのトリビアを多方面から解説した書籍『猫のヒミツ 猫好き一家の猫まみれライフで学ぶ“猫トリビア”/ねこまき(ミューズワーク)』。
表紙カバーは、その“猫図鑑”的な一面を意識したデザインに。猫を飼っている人がつい「あるある」と微笑んでしまうような猫らしいポーズのイラストや、猫のもっちりしたフォルムを思わせるタイトル文字、コミカルな帯を取ると猫の視線の先にネズミが現れる遊び心のある構図など、猫好きがつい手に取りたくなるような工夫が随所に凝らされています。
Font.01「イワタ福まるご E」
抑揚のある曲線でできた 個性的な丸ゴシック体に
メインタイトルや著者名の文字は、有機的な曲線や先太りのハライなどが特徴的なオールドスタイルの丸ゴシック体「イワタ福まるご E」(イワタ)に。そのもっちりしたフォルムやクセのあるデザインが猫を表現するのにピッタリだったため選択されました。
Font.02「イワタ福まるご B」
タイトルに合わせ 有機的なフォルムの書体に
サブタイトルの文字は、全体に統一感を出すためメインタイトルや著者名の文字と同じ「イワタ福まるご」(イワタ)に。ウェイトはメインタイトルより少し細い「B」を選択してメリハリがつけられています。
Font.03「DS照和70」
コミカルな文字で 実用書感を和らげる
帯のコピー部分は、昭和の駄菓子屋さんや1970年代のフォークソングなどをイメージして制作されたデザイン書体「DS照和70」(デザインシグナル)に。“猫図鑑”であると同時にコミックエッセイの側面も持つ本書の内容を意識し、コミカルな文字をアクセント的に用いることで実用書感を和らげ、手に取った人に親しみを持ってもらう工夫がされています。
2021.01.21 Thu2024.04.15 Mon