今回はTV番組 『かまいガチ』の番組ロゴとテロップのフォントをご紹介。本記事はデザイン構成において重要な「フォント」の選定プロセスや加工方法を、貴重なプロの実例から紐解いてデザイン制作に役立てる連載です。
洗練されつつも勢いの感じられる文字で新時代感と楽しさを演出
お笑いコンビ・かまいたちの冠バラエティ番組『かまいガチ』。ゲストを迎えてのお悩み相談室や、話題の芸人とのお笑い対決、B'zの大ヒット曲「ultra soul」のサビ終わりに指さした商品を山内さんが強制的に購入させられる企画など、ふたりが“ガチ”で面白いと思うことに挑戦する内容で大人気に。2度の特番放送を経て昨秋にレギュラー化されたあと、今年の4月1日に枠昇格した(テレビ朝日系にて毎週木曜深夜0時15分より放送中 ※一部地域を除く)。
番組では、かまいたちの楽しさや面白さを表すのに最適な暖色系の赤と黄色が多用されているが、ロゴも全体に一貫性を持たせるトンマナ(トーン&マナー)を意識して赤と黄色に絞った配色に。
そして注目したいのが番組内で使用されているテロップ。現在のテレビ番組ではロゴやテロップの文字にしっかり縁取りや光彩、シャドウなどをつけて際立たせたデザインが主流だが、『かまいガチ』ではあえてそのような装飾的な要素を排した現代的なデザインを取り入れつつ、インパクトのある太めのウェイトを採用。そうすることで、テロップのサイズは大きいはずなのに、洗練された印象とバラエティならではの“楽しさ”のどちらも表現されている。
Font.01「ロダンNTLG EB」
スマートな書体に奥行き感をつけ新時代感と楽しさを演出
番組のメインロゴは、画線の末端が水平垂直になっているスマートな雰囲気のかな書体「ロダンNTLG」(フォントワークス)がベースに。かまいたちの楽しさや面白さを表すのにぴったりな赤と黄色を使いつつ、3DCGによって奥行き感をつけたり、コミック調の吹き出しをあしらったりすることでバラエティを席巻している彼らの“勢い”が表現されている。
同時に文字に縁取りなどを付けずツルッとした印象にし、極太のウェイト「EB」を選択することで「新時代感+テレビ本来の楽しさ」を感じさせる工夫も施された。
Font.02「ニューロダン EB」
極太のモダンな文字を選択しバラエティらしさを表現
図のシーンで使用されているテロップは、現代的なゴシック体「ロダン」をさらにモダンにした「ニューロダン」(フォントワークス)に。縁取りや光彩、シャドウなどの装飾的な要素を排したフラットなデザインにすることで、洗練された印象や現代的な雰囲気が演出されている。ただしスマートなデザインにしすぎるとバラエティらしさが失われてしまうため、ウェイトにはバラエティ番組の根幹である「楽しさ」をしっかり表現できる極太の「EB」が選択された。
2021.05.13 Thu2021.09.03 Fri