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モノづくり探訪記

2021.03.08 Mon

【第八回】おうち時間を彩る素敵なインテリア ~ ナカオランプの木製フロアライト

知られざる「モノづくり」の世界に迫るモノづくり探訪記。今回は印象的な木製ランプシェードを作るナカオランプを取材。家で過ごす時間が長くなった現在、快適な住空間づくりに目を向け始めた人も多いことだろう。木の温もりが伝わってくるナカオランプのインテリアライトはそんな人の望みも叶えてくれるに違いない。

2021年3月8日
●取材・構成:編集部 ●文:大澤裕司・編集部 ●撮影:下山剛志[ALFA STUDIO]

手づくりから生まれる個性豊かな木製ライトたち

照明器具は空間の印象を決める重要なアイテム。デザイン、明るさ、光の色合いのどれか1つが変わるだけで、受ける印象は変わる。家を新築した時や部屋の模様替えをする時、気に入った照明器具が見つからなければオーダーメイドしてみるのも選択肢の一つ。そんなこだわりの照明器具をつくっているのがナカオランプである。

ナカオランプのランプシェードはペンダントライトが49種、スタンドライトが12種。長方形のパーツをつなげて円筒形にしたシンプルなものから、滑らかな曲線を描く洋梨型のもの、花びらや葉、雫をイメージさせるパーツをいくつも差し込んだものまで、多彩なデザインバリエーションがある。

光の拡がり方も多彩で、真下を明るく照らすものもあれば、上下左右に光が抜けるもの、陰影差が大きく独特な雰囲気を醸し出すものなどさまざまだ。サイズも大きい物から小さい物まであり、玄関から洗面所、リビング、キッチン、ダイニングなど、あらゆる室内空間で活躍する。

<span style="color: #666699;">木の質感を生かしたランプシェードで室内を一気にドラマチックに</span>
木の質感を生かしたランプシェードで室内を一気にドラマチックに

 ナカオランプは「光」をデザインする

ナカオランプのランプシェードは凝ったものが多いので、デザインに強いこだわりがあるように感じられる。しかし、2009年の創業当時からこだわっているのはランプシェードの造形ではないのだという。

「創業した頃はランプシェードとして成り立つことだけを考え、凝ったものを作ろうとしたわけではなかったんです。それでも構造を考えていったらパーツ数は30ほどになっていました」

このように振り返るのは、ナカオランプを中尾正樹さんと共同で創業した光岡泰宏さん。今ではデザインバリエーションも増え、複雑で凝ったデザインになると、使うパーツの数は100~200個にのぼる。中には約3000個のパーツを使ってつくった特注品もあるのだとか。

これだけのパーツ数を組合わせる理由は、単にランプシェードの形状だけを見ているのではなく、光の方向を意識してデザインしているからだ。電球の光がどのような角度でパーツに当たり、何回反射して、どの向きに光が抜けていくのかを計算した上で設計されている。

では、どのような感じで光が拡散しているのかを実際に見てみよう。

花びらのようなパーツを多数組み合わせた「NLU」

「NLU」 直径 37cm 高さ 30cm

大きな蓮の花のような「NLU」は、花びら状のパーツがぐるっと一周、全7段にわたって配置されている。電球の光がすべてのパーツに反射するよう設計されているため、光も柔らかく変化し、木の質感と相まって全体的に優しい印象に仕上がっている。

花びらの隙間から漏れる優しい光が特徴。下から覗き込んでも電球の光がダイレクトに目に入ることがなく、安らぎの空間を演出することができる

クリアな明るさを演出する「NGT」

「NGT」 直径 39cm 高さ 24cm
「NGT」 直径 39cm 高さ 24cm

一方、真横からも電球が見える「NGT」は、光が左右と下方向はもちろんのこと、上方向にも直線的に抜けていく。「NLU」よりクリアで十分な光量が得られるのが特徴だ。電球も3球セットできるようになっており、お洒落で明るい空間を演出することができる。

下から覗き込んだ様子。「NLU」とは対照的に明るい3つの電球が直接光を照射している

使われている素材はシナベニヤ。無垢材と比べて加工しやすく軽いのが特徴だ。複雑な形状からは重そうな印象を受けるが、ランプシェードを手に持ってみると驚くほど軽く扱いやすい。シナベニヤが軽い素材だからだ。

木のパーツは、一つ一つ糸鋸でカットして塗装、手作業で組み立てて作られている。シェード部分には釘が使われておらずすべてはめ込み式だ。制作時に心がけていることは「極力削らないこと」と光岡さん。あとから削って調節することもできるが、なるべく切ったままの状態を活かした方が、美しい形に仕上がるのだという。

シェード部分は釘を使わず、木のパーツ同士をはめ込んで作られている

色も形も! 自由に組み合わせてオリジナル照明が作れる楽しさ

自由なカラーが選べるのも魅力の一つ。ペンダントライトだけでも49種という豊富なデザインバリエーションに加えて、カラーは全22色が用意されており、それぞれの木製パーツを自分好みの色にカスタマイズすることができる。

よく選ばれる傾向にあるのは、黄色系、茶色系、青系の3つ。同じデザインのランプシェードでも、黄色系と青系では灯りの印象が大きく異なる。

<span style="color: #666699;">暖色系の色「オーク」+「シナ」で塗装したものと、寒色系の色「ネイビー」+「アクアブルー」で塗装したもの違い。同じデザインのランプシェードでも、色が違うと全体の印象が大きく変わる</span>
暖色系の色「オーク」+「シナ」で塗装したものと、寒色系の色「ネイビー」+「アクアブルー」で塗装したもの違い。同じデザインのランプシェードでも、色が違うと全体の印象が大きく変わる
自由に選べる木製パーツのカラー(全22色)

電球もLED電球、白熱電球、電球型蛍光灯の3種に対応する。直進性の高いLED電球は、普及当初、ナカオランプのような製品には不向きとされていたが、今では性能も上がり、ナカオランプ自身もLED電球を推奨しているのだとか。

LED電球であれば電球色や昼白色、温白色など電球の色も豊富に選べるので、灯の色を変えて雰囲気を変えてみるのもいいだろう。

● 迷っても大丈夫! 安心のサポート体制

――打ち合わせを重ねユーザーが欲しいものを具体化する

購入希望者はECサイト等から、デザインとカラーを直接指定しオーダーすることもあるが、最初から具体的にイメージできないこともある。むしろ、そういう人が多く、打ち合わせを重ねていくことで欲しいものを具体化していくケースがほとんどだという。特に「明るさ」は実生活で使うことを考えると気になる部分だ。

「部屋の広さ、寝室用やダイニング用といった用途を決めた上で、気になるランプシェードの名前を挙げてご相談いただくケースが多いです」と光岡さん。

相談を受けると、ナカオランプでは内容に沿って回答すると同時に、3つほど独自の提案を行っている。広い部屋であれば複数のランプを設置したり、設置する高さを工夫することで理想に近づけることもできる。

例えば「NLU」では、タテに配置されたパーツを濃い色に、装飾部を薄い色や明るい色にすると、点灯した時に、個性的でありながら落ち着いたデザインになるのだとか。このようにデザインのアドバイスをもらえるのもうれしい。

<span style="color: #666699;">大きさは大小さまざまあり、天井から吊るすコードの長さも自由に設定できる。小さいものは狭い空間向けだが、ライティングレールを使って広い空間に複数設置するという方法も </span>
大きさは大小さまざまあり、天井から吊るすコードの長さも自由に設定できる。小さいものは狭い空間向けだが、ライティングレールを使って広い空間に複数設置するという方法も

購入にあたっては、常に顧客とのきめ細やかなやりとりを欠かさない。メールでのやりとりは平均で3~4往復。15往復以上になることも多いという。作風にも感じられる丁寧な仕事ぶりが、購入希望者とのやり取りにもうかがえる。

「ナカオランプ」のクリエイティブな楽しみ方

ナカオランプの照明器具は個性的で、人とは違ったオシャレな照明を使いたい人には最適だ。だが、オーダーの仕方がわからない、十分な明るさがあるか、部屋にマッチするか自信がない、といった理由から、興味があっても手が出しにくいのでは? 正直、取材前まではそう思っていた。

しかし、オーダーは思っていたより難しくなく、敷居の高さも感じられない。制作に入る前に細かい打ち合わせを重ねることで、明るさやデザインのイメージが具体的になるので、不安や迷いも払拭される。

そして何より、豊富なデザインとカラーから選ぶ楽しみがある。自ら選んだ組み合わせで作られるランプシェードには愛着も生まれるだろうし、納品されるまでワクワクが止まらないことだろう。

「ナカオランプ」
https://nakaolamp.com/
2009年に中尾正樹さんと光岡泰宏さんが共同設立。岡山市北区に工房を構え、木製ランプの設計から製造までを一貫して行っている。このほど岡山市東区に移転し工房を拡大。ショールームの整備も計画されている。

 

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