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【文房具連載】第11回 コクヨ「KOKUYO ME」/物語のある、ニューフェイスな文房具・雑貨

2020.8.14 FRI

物語のある、ニューフェイスな文房具/第11回 コクヨ「KOKUYO ME」ニュアンス感ある絶妙カラー。コーデする楽しさも魅力のステーショナリー
見た目がおしゃれだから、使い勝手がよさそうだから。普段何気なく買っている文房具や雑貨だけれど、それらのアイテムに秘められた“物語”を知ることができたら、もっと選ぶのが楽しくなって、もっと愛着がわくはず。そこで、素敵なストーリーのある新顔ステーショナリーをご紹介。第11回目は、「コクヨ」から2019年10月にデビューしたブランド「KOKUYO ME」。機能も品質も備えた文房具がトレンド感のあるルックスにアップデート。ファッションのように楽しもう。

●取材・文:沼田佳乃 ●撮影:YUKO CHIBA

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▼もくじ
▽はじめに
▽私らしく、コーディネートを楽しむ
▽細部までこだわった上質なルックス
▽モデルやInstagramを活用し世界観を
▽おわりに

▼はじめに/道具から、生活を彩る“ライフアクセサリー”へ
今回ご紹介する「KOKUYO ME」は、文房具業界の最大手「コクヨ」が新たな挑戦として生み出した、トレンド感を映しこむステーショナリーブランド。“ユニセックス”“エフォートレス”“ユニーク”をキーワードに、今らしさをとことん追求。ニュアンス感のある大人っぽいカラーにも心奪われる。現在は第3弾まで登場し、「ソフトリングノート(A5)」「ノートカバー(A5)」「カードサイズメモ」「シャープペンシル(0.7mm)」などをラインナップ。
▼ブランドについて/もっと私らしく、コーディネートを楽しむ文房具
コクヨにて「KOKUYO ME」のデザインを手掛ける、ステーショナリー開発本部のクリエイティブプロダクツ開発部の藤谷慎吾さんと、デザインセンターの府川大吾さんにお話を伺いました。

──ブランドが誕生したきっかけを教えてください。


藤谷さん:昨年の夏くらいに、ステーショナリー事業において、もう少し感度の高い情報を取り入れてCMF(※)にこだわったモノ作りをしていこうという話がありました。その流れの中で、パリのデザイン関連⾒本市「メゾン・エ・オブジェ」に赴き、トレンドがどう降りて、どう展開されるか、海外の刺激に触れつつ情報収集しようという話に。現地でのリアルな情報をヒントに、国内の文具としての新しい見え方や、トレンドを取り入れた色使いを提案しました。

趣旨としては、コクヨが文房具業界における数少ない総合文具メーカーだったのでCMFを統一した横断的なブランドを作ることで、今までと違う見せ方ができるんじゃないかと。実際に、既存の文具を塗装したり、ノートの表紙をUVコートニス加工したり、プロトタイプの提案をしたところ、社内で非常に評判がよく、このままやってみようとなったのが発端です。

──「ライフアクセサリー」というコンセプトはどのように決まったのでしょうか?

府川さん:もともとあった構想を言語化していった感じです。「文具を単なる道具ではなく、持つ人が自分を表現するためのアクセサリーとしての新たな価値を提案する」という考えがベースです。企画を出したのがちょうどテレワークが流行り始めたころで、カフェで働くというシーンが増えてきたこともあり、「文房具は人に魅せるものという個性を出せないか」という話をコンセプトとして立てました。

──ターゲットはどのような層ですか?

府川さん:トレンドを入れ込むというのが前提にあったので、トレンドを意識する人という逆算的な話から“ミレニアル世代”かなと。この年代はノマドワーカーやフリーアドレスなど、アクティブな働き方をする人が多いので、“ミレニアルアクティブワーカー”をメインに据えました。けれど、年齢性別で区切らないのが今っぽいみたいなところもあるので、年齢はあくまで目安です。性別も“ジェンダーレス”がトレンドなので、性別を連想させないカラーリングにしました。

──ブランド名に社名が入っていますね。どのような思いからでしょうか?

府川さん:あらためて、コクヨの立ち位置をアピールしたいという想いがありました。ターゲットに設定したミレニアル世代や高感度な人たちというのが、うちがなかなかアプローチできてないところで、そのきっかけになればいいなと。一方で、企業への品質や機能への信頼感は結構いただいているので強みにもなる。知らない人により知ってもらい、知っている人によりいいものと思ってもらえるように横串を通す感じで。さらに、「自分らしく、同じ色じゃなくて、複数の色を組みあわせてコーディネートしてもらう」というコンセプトがあったので、“私らしさ”を表現するために“ME”という言葉をつけて「KOKUYO ME」と名付けました。

──社名の冠入りとは、社の看板を背負っている感じがします。

藤谷さん:看板を背負うつもりは全くないです(笑)。どちらかというとセカンドライン的に思っています。「KOKUYO ME」のキーワードに、ユニセックス、ユニーク、エフォートレスとあって、自然な自分らしさみたいな、ちょっとチャレンジできる感じをおもしろがってもらえたらうれしいです。

府川さん:とはいえ、「KOKUYO ME」は、ほかのブランドと違ってデザインまで完全にインハウスでやっているのもあり、“会社としてどうあるべきか”を強く意識していくのは大事かなと思っています。あとは、今までコクヨは不便なことを解決していくというところに特化していた気がするのですが、「KOKUYO ME」をきっかけに、同等レベルでデザインのことも考えるように社内がいい意味で変化してきたように感じています。コクヨの商品全体がよりよくなればいいなと思っています。

(※)モノの表面を構成する3要素(COLOR:色、MATERIAL:素材、FINISH:加工)
▼デザインについて/細部までこだわった上質感のあるルックス

──デザイン面でのこだわりを教えてください。

府川さん:最も特徴的である色味は「アンノーマルユニセックス」をコンセプトとしました。白・黒・グレーといったベーシックな色味ではなく、ちょっと普通に見えない個性的なユニセックスカラーにしようと。男女どちらも持つことができて、どの色を組み合わせても一定のキレイさになるというのを意識しました。全6色のラインナップですが、男女ともにスモーキーなブルーが人気です。

藤谷さん:素材については、ノートの背クロスやシャーペンのペン先にカッパー色みたいにアクセント使いになるような素材感を意識しました。加工についてはレイヤー感みたいところを意識しています。紙だったらUVコートニス加工をしたり、樹脂でも色がキレイに見えるツヤのあるハイグロスに仕上げたり、逆にシボにするなら繊細な色の移り変わりが見えるシボにしたりとか、上質感にこだわった仕上げを施しています。

──機能面との両立は難しかったのでは?

府川さん:基本的に既製品で評価の高いものを活かしてデザインを乗せていくので、機能性はそのままです。強いていえば、テープのりの容量が見える透明ボディが一般的なところを、ルックス優先したので不透明になったくらいでしょうか。それは好みで選んでもらえばいいかなと。

──ラインナップが豊富ですが、アイテムはどのように決めていますか?

藤谷さん:「アクティブワーカー」をターゲットに据えているので、“仕事で持ち運ぶもの”を中心に携帯性に優れたものを考えています。
▼販促について/世界観を伝えるために、モデルやInstagramを活用
モデルが登場するコーディネートイメージ

モデルが登場するコーディネートイメージ

──スタイリストさんを販促に採用するのは珍しいですよね。

府川さん:もともと、僕らはモデルを使いたいと提案していたんです。ファッションアイテム的な見え方をして欲しかったので、モデルが商品を持っている写真があるべきだなと。スタイリストに依頼したのは、コーディネートという観点からプロモーションチームが推してくれたからです。そもそも、文房具の宣伝にモデルを使うことは、文房具よりモデルに目がいってしまうこともありタブーとされていて……。社内的にはここがいちばん大変でした。でも、「ライフアクセサリー」というコンセプトに必要だと思い、僕らで押し切りました(笑)。よかったと思っています。人選の際は、ユニセックスな空気感の2人を選びました。

──ビジュアルの世界観もとても素敵ですね。Instagramなどはどうしているのでしょうか?

藤谷さん:実は、Instagramは僕らが(笑)。小物とかスタイリングとかも私物です。作り手が手掛けた方が世界観を伝えやすいかなと。もちろん僕らだけでなく、プロモーションチームと役割分担して運営しています。

──公式サイト、Instagramとネットでの露出が素敵なのに、店舗販売限定ということですが……。

藤谷さん:それが、実は2020年7月1日からEC販売を開始しました。違う色を組み合わせる提案をしているので、「現物を見た方がコーディネートしやすい」という理由から店頭での限定販売にしていましたが、コロナの影響でお店が開いてないとか、近くに取り扱いがないという問い合わせがあり、お客様の購買行動というのも変化してきている中で、EC販売もスタートすることにしたんです。

──そうなんですね。「KOKUYO ME」はビジュアルがすごく作り込まれたものを発信されているので、実際に見て買わなくても好みに近いものが手に取れるかなと思います。
▼おわりに/世の中のトレンドを意識した商品作りを
──この後のラインナップや発売予定について教えてください。

府川さん:「KOKUYO ME」は年に2・3回のペースで出したいと思っていて、来年いっぱいくらいまでの構想は決まっています。今後は、“エシカル”のように社会概念的なものもトレンドとして取り入れたいと思っています。

──ありがとうございます。それでは最後に、「KOKUYO ME」の中で、おふたりの好きな色は?

府川さん:僕は、白い「ノートカバー(B6)」、白い「ノートブック(B6)」、ピンクの「野帳」、黄緑の「シャープペンシル(0.7mm)」を使っています。このピンク色が好きで、この色を使いたい基準でほかの色を組み合わせていきました。シャープペンシルも、単品ならピンクや紫だけど、ここに入れるなら黄緑かなという感じで選んでいますね。

藤谷さん:僕は紫が好きです。実はこの色、僕が反対の意見をかいくぐって入れました(笑)。文具で紫色って珍しいですが、これは大人の男性が持っても上品な色味。グレーなんかとも相性がいいですよ。
現在登場している6カラー

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