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【ライフスタイル連載・デザインのある生活】第6回「KIKIME」日常を心地良くする“効き目”がある、器をはじめとしたブランド

2020.11.24 TUE

【ライフスタイル連載・デザインのある生活】
第6回「KIKIME」日常を心地良くする“効き目”がある、器をはじめとした2020年デビューのプロダクトブランド
デザインも中身も素敵なもの。そんなモノがいつも身近にあれば、日々の生活に潤いを与えてくれそうな予感……。そこで、編集部とライターが気になっているライフスタイル系のブランドを紹介していきます。第6回目は、2020年の夏にデビューしたばかりの「KIKIME」。日常を豊かに、心地良くする“効き目”のあるプロダクトブランドで、第1弾として、機能性と遊び心を兼ね備えた器のシリーズ「koudai」「amime」が発売されています。

●構成・文:吉永美代

▼妥協も背伸びもしない、等身大の暮らしを豊かにする「KIKIME」
「KIKIME」は、2020年6月にデビューしたプロダクトブランド。生活雑貨やインテリア商材の企画開発、プロデュースを行う「A LOT OF」が立ち上げた、初のオリジナルブランドです。気の利いた遊び心で日常に心地良い“効き目”をもたらすことを目指し、リビング・ダイニング空間を軸とした商品を展開していく予定です。第1弾は器を発売。異なる高さの高台を持つ美濃焼の器を組み合わせて使える「koudai」と、美濃焼のプレートと新潟県燕市の金網を組み合わせた「amime」の2シリーズが登場しています。
▼安価な量販品でも高価な作家ものでもない、気負わず使える器を
「A LOT OF」代表の立山善規さんにお話を伺いました。

──「KIKIME」は「A LOT OF」さん初のオリジナルブランドだそうですね。

立山さん:そうです。「アロットオブ」は2015年に個人で創業した会社で、前職の大手小売業の商品部でのプロダクトデザインの経験を活かして、インテリア商材や生活雑貨の企画開発、プロデュースを行っています。長年この業界でさまざまな商品を世に送り出してきましたが、改めて、自分たち自身も使いたくなるようなプロダクトを作ろうと「KIKIME」を立ち上げました。

──「KIKIME」というブランド名が印象的ですが、なぜこの名前になったのですか?

立山さん:海外展開も視野に入れているので、日本のプロダクトブランドとして、日本語の由来を持つ語呂の良いブランド名をつけたいと考えていました。当初は「目利き=MEKIKI」という案もありましたが、発信する側の視点ではなくお客様視点であるべきと考え、暮らしを豊かにし心地良い「効き目」となるよう「KIKIME」としました。ロゴは、カタカナの「キキメ」と、効果のキラキラ感をイメージしたアイコニックなデザインに仕上げています。

──第1弾として、器が選ばれたのはなぜでしょうか。

立山さん:家の中でいちばん人が集う場所はリビングダイニングです。そして生きていく上で、食事は欠かせません。実際、インテリアをそろえるときは、まずダイニングテーブルを手に入れるという人が多いのです。そこで、食卓で楽しんでもらえるテーブルウェアから商品を販売することにしました。生活の核となる食卓の周辺から「KIKIME」を提供し、ゆくゆくはリビングダイニング全体に広げていきたいと思っています。

──ターゲットは設定されていますか?

立山さん:最近は若々しい年配の方も多いですし、大人びた若者もいますので、リアルエイジでなく、マインドエイジを重視しています。ブランドのマインドは、「妥協もしないけど、背伸びもしない」。身の丈に合った、丁寧でシンプルな暮らしを求める方に響いてほしいと思っています。またテーブルウェアは老若男女誰もが使うものですので、シンプルでありユニセックスなテイストを意識しています。

テーブルウェアについては今、量販店の安価なものと、作家が手がける高価なものに二極化しつつあります。でも「量販店のものでは物足りないけど、作家ものはもったいなくて普段使いしにくい」と思っている方も多いはず。「KIKIME」の器はそういう方々に使っていただきたい。作家の手作りではないけれど、産地の良さや職人の技術が感じられる。そして毎日カジュアルに使える。「koudai」「amime」はそんな器です。

今後は、商品作りの背景や職人の技についても丁寧にお伝えし、産地や作り手の価値も伝えていきたい。そういう部分を大事にしてくださるお客様へ、大切な友達に接するように誠実におすすめしていきたいと思っています。
KIKIMEのロゴ

KIKIMEのロゴ

▼異なる素材や産地の掛け合わせで、生活雑貨の新しい可能性を
koudai

koudai

──「koudai」と「amime」で共通するポイントはありますか?

立山さん:みなさんがもうすでに持っている平皿や鉢などではなく、ユニークな機能があるもの。そして機能を兼ね備えた造形美もポイントで、裏面までこだわったデザインに仕上げています。

2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、東京はあらゆる文化がボーダレスに混ざり合った都市で、食卓の料理の種類も多様化しています。海外でも伝統的な和食だけではなく、ラーメンや日本ならではの洋食などの人気も高まりつつあります。ですから「KIKIME」では、どんな料理にも合うテーブルウェアを目指しています。そのために主張しすぎない色や形状も意識しました。

またギフトとして使いやすいことも心がけています。KIKIMEの商品はすべて1個1個箱に入っていますが、来年以降はラッピングの商材開発なども進めていく予定です。

──デザインはどなたが手掛けているのでしょうか?

立山さん:商品コンセプトやラインナップ、サイズ感などは社内で出し、コンセプトデザインは海外ブランドも手がける京都在住のデザイナーに依頼しました。それをもとに生産性やコスト、色の並びなど詳細は社内のプロダクトデザイナーが詰めています。今後も商品の特性によっては社外デザイナーと協業していきたいと考えています。
amime

amime

──「美濃焼」を選んだ理由を教えてください。

立山さん:美濃焼の産地は国内最大の陶磁器産地で、全国シェアで上位を占めます。 陶磁器産地の中では、原型を作る最先端の3Dプリンタの技術があり、土の種類、釉薬の種類が豊富で、良い意味で産地の特色がなく、ニュートラルでフラットな商品開発ができるので、この産地で商品作りを行うことにしました。

──今回「amime」では美濃焼と新潟県燕市という2つの産地を組み合わせていますが、とても珍しい試みですね。

立山さん:素材の組み合わせによる商品開発は難易度が高く、また産地を越えて1つの商品にしていくことはとても難しいのです。複数の産地や素材を組み合わせればその分かかる手間も倍増しますし、素材ごとに特性が異なるので不具合が出やすく、不具合が出たときにどこに原因があるかもわかりにくいです。

しかし私たちは、アパレルに比べて素材の種類が少ない生活雑貨において、異なるマテリアルや産地の良さを掛け合わせることで、新たな機能やデザインを生み出すことができると考え、チャレンジすることにしました。ゆくゆくは海外の産地とも掛け合わせていきたいと考えています。
▼試作の蓄積と産地の職人技で実現した、機能美を宿したディテール
──「koudai」について、こだわりを教えてください。

立山さん:高台がある器なので、機能を伝えやすいようローマ字で「koudai」というシリーズ名にしました。日本では、主菜や副菜、ご飯や汁物などが一度に食卓に並びます。日本の住環境ではダイニングテーブルも小さめですが、高さが異なる高台の器を使うことで、食卓を有効活用でき、食卓にリズムが生まれます。通常、高さのある高台は下に向かって広がった形が多いですが、なるべく省スペースで器を重ねて使ってもらえるよう、直線的な形状の高台にしました。

──制作過程ではどんな点に苦労されましたか?

立山さん:開発は苦労の連続でした。成型は型で行うのですが、まっすぐに伸びる高台部分は、型から土を抜くのがとても大変なのです。焼成時に収縮して底面の縁が歪む問題もありました。これを防ぐために焼成時に「トチ」という陶磁器の型を敷く手間をかけています。また「koudai」プレートSのみ一体成形では作れず、2パーツからできているのですが、釉薬でパーツが滑ってしまい、中心部に固定するのにも苦労しました。

「koudai」プレートSとプレートLと「amime」はすべてスタッキングできるのですが、試作段階では焼成時の歪みや縮みにより重ねた時に干渉してしまい、何度もやり直しました。現在販売している商品は、上記の問題はすべて解決されていますが、陶磁器は焼いてみてからでないとわからないことが多く、窯元さんには大変苦労をおかけしました。
──「amime」の網を組み合わせる発想はどこから生まれたのですか?

立山さん:「家族で食べて楽しい料理」の1つとして、「唐揚げ」が挙げられますね。唐揚げを揚げたあとに油切りをするバットはあっても、食卓で使えるものはありません。人気のある唐揚げという料理をおいしく食べられる器があれば、重宝されるのではないかという、料理から思いついた発想です。

──「amime」については、どんな点が大変だったのでしょうか……?

立山さん:「amime」は職人泣かせの器といってもいいほど苦労しました。いちばん大変だったのは、陶器と金属網という異素材の組み合わせです。陶磁器は焼成時に収縮する素材で、釉薬の色や土の種類によっても収縮率が異なります。今回、風合いをよく見せるために選んだ「赤土」という素材は収縮しやすく、さらに難易度が高くなってしまったのです。希望の色のバリエーションと風合いを保ちながら、焼成後の収縮率が同じになるよう、何度も試作を繰り返しました。

また、せっかくの赤土を器の表情として見せたく、縁の釉薬を剥がしているのですが、これも苦労した点です。釉薬は焼くまで色がつかないので、感覚で剥がす職人技です。なるべく細く、幅を均一に剥がすようにお願いしていますが、手仕事なので多少の個体差はありつつも、さすがの職人技できれいな仕上がりになっています。
▼お重のような器も。秋には、第2・3弾となる器シリーズを発売
──第1弾を発表されて、どのような反響がありましたか?

立山さん:現在、自社ECサイトのみでの販売ですが、早くも「現物が見たい、触りたい」というお声や、購入者から「写真も素敵だったけど、実物の方がさらに良い」などお褒めの言葉もいただいてます。今後はECサイト上でもサイズや質感が伝わるような写真を心がけ、使い方やシーンのご提案も発信していこうと思っています。またポップアップショップなど、実物を見ていただける機会も作っていきたいです。将来的には実店舗を持つことが目標です。

──第2弾以降はどのようなものを発売される予定ですか?すでに決まっているようでしたら教えてください。

立山さん:第2弾、第3弾も引き続きダイニングを中心として、お重のような陶器の器や、異なる産地・素材を組み合わせた木製の食器や花瓶の発売を予定しています。第2弾は9月下旬に、第3弾は年末頃の発売予定です。第4弾以降は現在デザイン中で、来年春を予定しています。今後の「KIKIME」を、どうぞ楽しみにしてください。
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