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【お菓子連載・甘いときめき、小さな宝箱】第1回 果実と女の子が世界観を広げる洋菓子ブランド「フランセ」

2020.8.14 FRI

【お菓子連載・甘いときめき、小さな宝箱】
第1回「フランセ」どこか懐かしくて新しい。果実と女の子が世界観を広げる洋菓子ブランド
人気のデザイナーやイラストレーターを起用したお菓子のパッケージは、まるで小さな宝箱。デザインに込められた想い、ストーリー、そしてお菓子は宝石のようにきらきらと輝きます……。そこで、コンセプトから、味、デザインに至るまで、こだわりがギュッと詰まったブランドをピックアップ。第1回は、多彩なコンセプトの菓子ブランドを展開する「シュクレイ」から、2017年にリブランドして新たなファンをつかんだ「フランセ」をご紹介。

●取材・文:中村美枝(JAM SESSION)

▼フランセの歴史、リブランディングについて
今回は、「シュクレイ」の企画開発部で「フランセ」の広報を担当する濱田萌笑さんと、アートディレクターを務める「THAT'S ALL RIGHT.」の河西達也さんにお話しを聞きました。

──「フランセ」の歴史と、リブランドのきっかけを教えてください。

濱田さん:リブランド前をご存知の方は、横浜をイメージされるかもしれませんが、創業地は渋谷なんです。1957年に渋谷駅前で開業した洋菓子店から始まりました。その後、横浜へ拠点を移し、「横濱フランセ」として展開。地元・横浜を中心に、たくさんのファンの方に支えられてきました。

2017年、創業60年を迎えた節目の年に、新たな一歩を踏み出すためのリブランディングを行いました。翌年6月には「フランセ」の原点でもある東京に本店を構えようと、表参道本店をオープン。現在は東京・神奈川などの関東圏を中心に出店しています。

──リブランドで、どのようなことが変わりましたか?

濱田さん:「果物や木の実をパイにはさんで楽しむこと」がお菓子の原点と言われています。私たちもその原点に立ち返り、コンセプトを「果実をたのしむ洋菓子」としました。

商品ラインナップもがらりと変わりました。看板商品は以前と同じ「ミルフィユ」ですが、「横濱フランセ」時代の「キャラメル」「ジャンドゥーヤ(ナッツペーストとチョコレート)」「チョコレート」の3種から、新たなコンセプトのもと、「いちご」「れもん」「ピスタチオ」「ジャンドゥーヤ」の4種を定番に。パイの層の数、果実の味わい、木の実の香りなどにこだわって、伝統の製法を守りながら、ひとつ一つ丁寧に作っています。

包装紙やパッケージを一新したことも大きな変化。今まで以上にお客様へおいしさと楽しさをお届けしたいという思いが強くなりましたね。
▼フランセのアートワークについて
画像中央が「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」

画像中央が「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」

──包装紙やパッケージの一新などを担当された河西さんに伺います。リブランドにあたり、アートディレクションをどのように進めましたか?

河西さん:「シュクレイ」とは10年前からのお付き合い。すべてのブランドのアートディレクションを手がけ、企画や商品開発にも携わっています。外部のデザイナーとしては珍しいかもしれませんが、全体に関わることで、お客様に一貫したストーリーを伝えられると思っています。

ただ、今までと違ったのは、「フランセ」がリブランディングだったこと。ゼロからスタートできない難しさがありました。60年にわたってお客様に支え続けられたブランドで、「ミルフィユ」という絶対的な定番商品を持っています。単純に新しくして、別物にしてしまったら、ファンをがっかりさせてしまいますから。

デザイン面から言えば、リブランド前の包装紙とパッケージには、洋画家・東郷青児さんが描いた女の子がデザインされていました。その印象を持つ方が多いので、イラスト表現で、懐かしさと新しさのある「フランセ」を見せたいなと。最終的にたどり着いたデザインのテーマは「果実」と「ふたりの女の子」。まずはブランドの軸となる「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」の包装紙のデザインから取り組みました。
「果実をたのしむミルフィユ いちご」8個入 1,188円(税込)

「果実をたのしむミルフィユ いちご」8個入 1,188円(税込)

「果実をたのしむミルフィユ れもん」8個入 1,188円(税込)

「果実をたのしむミルフィユ れもん」8個入 1,188円(税込)

「果実をたのしむミルフィユ ピスタチオ」8個入 1,188円

「果実をたのしむミルフィユ ピスタチオ」8個入 1,188円

「果実をたのしむミルフィユ ジャンドゥーヤ」8個入 1,188円(税込)

「果実をたのしむミルフィユ ジャンドゥーヤ」8個入 1,188円(税込)

──包装紙のデザインで大切にしたことはなんですか?イラストレーターの北澤平祐さんを起用の理由も教えてください。

河西さん:60年愛されてきた「フランセ」が、その先もちゃんと歴史を歩んでいける“愛される洋菓子”であり続けられたらと思っています。そのためにも「とっておきたくなる包装紙」を作りたかった。僕にとって洋菓子は、子供の頃から素敵な包装紙が付き物で、今でも記憶の中にあったりするんです。「フランセ」の包装紙も、誰かのそういう存在になれたらと思い、果実のフレッシュさを表しながら、ぬくもりも伝わるような、1枚の包装紙に込めたいイメージを膨らませていきました。

そのイメージにぴったりだったのが、北澤平祐さんでした。わかりやすく、親しみのあるモチーフを、あれほど想像力豊かに、夢のある世界観に広げられる人は、僕が知る限り北澤さんしかいなくて。

作業を始めてからは、僕も一緒になって、2人で何100枚も図案を描き、数えきれないくらい意見を交わしました。あたたかみのあるテイストに仕上げたかったので、手描きにこだわり、完成するまで半年という長い道のり。でも、すごく楽しくて。根気強く付き合ってくれた北澤さんには感謝のみですが、手間や時間を惜しまずに、生み出す楽しさを感じながら、協業して作りあげられたことは、とてもいい経験になりました。この後も北澤さんと協業のアートワークが続いていますが、「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」の包装紙は、僕の誇れる、北澤さんとの合作第1号です。
──表参道本店の内装デザインも河西さんが手がけられたそうですね。どんな点にこだわりましたか?

包装紙やパッケージはインパクト重視ですが、「フランセ」は同じテンションで内装を展開したら、ごちゃごちゃしてしまって、商品が目立たなくなってしまう。そこで着目したのが、果実を育み輝かせる“光”でした。白を基調にした店内にはアーチを多用。その曲線をたどって、やわらかい光が店内に降り注ぐイメージにしました。

窓にはステンドグラスを設け、外光を彩り豊かに取り込めるようにもしています。このステンドグラスも北澤さんとデザイン。ふたりで岐阜にある職人の工房に何度も通い、ガラスを選んだり、調整を加えたり。たくさんの時間を注ぎました。
フランセ表参道本店では、ここだけの限定生菓子「フランセパニエ」1個648円(税込)を味わえる。イラスト入りの食器で、よりブランドの世界観を堪能できるはず

フランセ表参道本店では、ここだけの限定生菓子「フランセパニエ」1個648円(税込)を味わえる。イラスト入りの食器で、よりブランドの世界観を堪能できるはず

表参道本店にはカフェもあり、プレートやカップ&ソーサーには北澤さんのイラストをデザインしました。商品パッケージと趣が異なりますが、「ミルフィユ」の包装紙を作って世界観ができあがると、その先の発想がどんどん広がっていくんです。これからも北澤さんと楽しみながらアートワークして、「フランセ」の魅力を伝えていきたいですね。
▼ギャラリー
「フランセ」のショッパーにもデザインされているロゴ。「向き合うふたりの女の子と果実を描き、2枚のパイ生地に果実が包まれているミルフィユをイメージしました。ロゴは包装紙やパッケージのデザインを終えて、世界観が固まった最後に作ることにしています」(河西さん)

「フランセ」のショッパーにもデザインされているロゴ。「向き合うふたりの女の子と果実を描き、2枚のパイ生地に果実が包まれているミルフィユをイメージしました。ロゴは包装紙やパッケージのデザインを終えて、世界観が固まった最後に作ることにしています」(河西さん)

定番の4種をセットにした「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」12個入1,620円~(税込)。「旧商品はひとつのサイズが3×4cmでしたが、2×6cmの細長い形にし、女性でも食べやすいよう工夫しました」(濱田さん)。サクサクのパイ生地と、果実の豊かな風味を楽しみたい。

定番の4種をセットにした「果実をたのしむミルフィユ 果実をたのしむ詰め合わせ」12個入1,620円~(税込)。「旧商品はひとつのサイズが3×4cmでしたが、2×6cmの細長い形にし、女性でも食べやすいよう工夫しました」(濱田さん)。サクサクのパイ生地と、果実の豊かな風味を楽しみたい。

パリッと焼きあげたストロベリークッキーで、カマンベールチョコレートをサンドした「フランセビスキュイ」9枚入 972円(税込)、18枚入1,944円(税込)。ストーリー性にあふれたクッキーを味わう女の子が印象的。「ミルフィユは総柄の包装紙なので、ビスキュイはベタ面を多くしました」(河西さん)

パリッと焼きあげたストロベリークッキーで、カマンベールチョコレートをサンドした「フランセビスキュイ」9枚入 972円(税込)、18枚入1,944円(税込)。ストーリー性にあふれたクッキーを味わう女の子が印象的。「ミルフィユは総柄の包装紙なので、ビスキュイはベタ面を多くしました」(河西さん)

「紅茶」「ピーチティ」の2種のミルフィユを詰め合わせた「横濱ミルフィユ」8個入1,296円~(税込)。神奈川県内の店舗で限定販売。「フランセの歴史に欠くことができない横浜への敬意を表して、包装紙には水兵さんやヨットなど港町を象徴するモチーフも取り入れました」(河西さん)

「紅茶」「ピーチティ」の2種のミルフィユを詰め合わせた「横濱ミルフィユ」8個入1,296円~(税込)。神奈川県内の店舗で限定販売。「フランセの歴史に欠くことができない横浜への敬意を表して、包装紙には水兵さんやヨットなど港町を象徴するモチーフも取り入れました」(河西さん)

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