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あたりまえライター処世術

2020.08.03 Mon

【3】編集者&フリーランスのライターが教える文章を書くコツも。文章能力について考える

文:モコ(仮名) イラスト:冨田マリー

これからライター、Webライターになりたい人&なりたての人に向けてお届けする「あたりまえライター処世術」。3回目のテーマは、「文章能力について」。ライターは“書いて伝える”のが仕事だからこそ、基礎的な文章能力は絶対に必要。そこで、編集者&フリーランスのライターがわかりやすい文章、伝わる文章を書くコツを教えます。

はじめに

ライターとして備えておきたい能力と言えば、「文章が書けること」ではないでしょうか。ですが、よく編集者から聞くのが「Webのライターは文章がうまくない、書くことができない」という言葉(涙)。第1回目の経歴についてで紹介しましたが、おそらく、Webライターの多くが、出版社や編集プロダクションなど、書くことにまつわる仕事を経験したことがなく、いきなりライター業をスタートさせていることが原因なのでは……と思います。

出版社や編集プロダクションにいると、アシスタントをしたり、先輩からのフォローがあったり、他人の原稿をたくさん見る機会もあって、文章を書く、チェックするなど、ページを作成する上で必要な力が自然と身に付いてくるでしょう。けれども、Webライターから初めてしまうと、そのとても大事な期間と経験がないのです。つまり、わからないことだらけの中、自分自身で鍛えていかないといけない。もはや修行です。

もし、依頼主から「てにをはがおかしい」「読みにくい」「意味がわからない」なんて言われたら、ライターとして激しく落ち込みますよね……(言われたライターさんを知っているのですよ)。だったら、どのように基礎的な文章力を身に付ければいいのか?そこで今回は、Webライターさんを何人か見てきた上で気になった傾向をもとに、基本的なアドバイスしていきます。最後には、現役編集者とライターによる、文章力アップのコツもご紹介!

読書が好き!だからライターになったけれど……

小説、エッセイ……本を読むのが好きで、「自分でも文章を書きたい!」というWebライターさんも多いです。たしかにたくさん本を読めば、いろいろな言葉を目にするので、言葉のレパートリーが増えますよね。だから本を読むことは決して悪いことではなく、どんどん読んでいいと思います。

しかし、Webライターとして必要な文章力は「テーマに基づいた情報を発信する」ということ。小説やエッセイを執筆するのとは違うんです(構成も書き方も異なりますよね!)。そのため、情報誌やネットの記事もたくさんチェックするのがおすすめです。「この人の文章素敵だな」というライターさんを見つける、自分が今後書いていきたい分野の雑誌を読んでみる……。そして、どんな書き方をしているのか、どんな言い回しをしているのかなど、参考にしてみてください!

プレスリリースを丸写しするのはいかがなものか

Webライター駆け出しだと、「プレスリリースをもとにニュース記事を作成する」という仕事を担当している人も多いのでは?確かに「プレスリリースから重要な部分を切り出し、それをまとめ、ページにする」というのは、ニュース記事では正解かもしれません。がしかし、ニュース記事ではなく、一般的な編集記事でそれは正解でしょうか……?

書きたいことが多すぎて、支離滅裂なページになる

いろいろ書きたいという気持ちが先行して、まとまりのない文章を書く人もいれば、テーマの本質がわからず、内容のない記事を書く人も。誰に何を伝えるのか、何が重要なのか、どんな構成がベストなのかを整理してみてください。起承転結、PREP法など、文章の構成方法を意識すると書きやすくなりますよ。

最後にちゃんと読み直しましたか?間違いあるかも!?

人間ですもの、文章のミスはあると思います。校正出し戻しの段階で間違いがわかり修正できるならいいのですが、ニュース記事に関しては責了というケースも多いですよね。1回や2回のミスなら許されるかもしれません。けれど間違いが何回も続いたらどうでしょうか……。もう一度書いた文章を読み直し、ブランドの名前は間違っていないか、価格はあっているか、文章はおかしくないのか、ちゃんと見直すのが絶対!!これって意外とできていないWebライターさんが多いです。

だったら、どうやって文章を書いたらいいんですか(涙)

というわけで、【2】〜【4】の話がわかりやすくなるよう参考文章を書いてみました。この中の3パターンならどれがテーマとターゲットにふさわしいでしょうか?もうわかりますよね!

テーマ:この夏、キャンプに持っていきたい「○△□ビール」

サイト:アウトドア系の記事を発信しているWebサイト

ターゲット:アクティブな20代〜30代前半、性別問わず

プレスリリース:
2020年7月6日(月)より、○△□株式会社では、○○県有数のブルワリー「△△ブルワリー」とコラボレーションした「○△□ビール」を期間限定で発売いたします。△△ブルワリーからほど近い○○山から採れる上質な天然水を使い、華やかなホップとシトラス系フルーツの組み合わせで、夏らしくフルーティーな味わいに。また、パッケージにもこだわり、夏の爽やかな○○山の風景をモチーフに描いたラベルとなっています。価格は1本250円(税別)。

取材ありなし:取材はなし。プレスリリースをもとに原稿を作成

文字数:200文字程度

【Aの場合】
この夏、キャンプに持っていきたいビールとして、2020年7月6日(月)より発売された「○○□ビール」1本250円(税込)を紹介します。○○県有数のブルワリー「△△ブルワリー」とコラボレーションしたもので、△△ブルワリーからほど近い○○山から採れる上質な天然水を使い、さらに華やかなホップとシトラス系フルーツを組み合わせているそうです。夏らしくフルーティーな一杯をキャンプで楽しんでみてください。

【Bの場合】
キャンプといえばBBQ。そんなときに飲みたいものといえば、ビールですよね。自然の中でキンキンに冷えたビールを味わうなんて最高です。そこで、今回ご紹介したいのが、○△□株式会社より2020年7月6日(月)に登場した「○△□ビール」。なんと、△△ブルワリーからほど近い○○山から採れる上質な天然水を使っている贅沢な一杯です。フルーティーな味わいも夏らしくていいですよね。パッケージに描かれた風景もおしゃれで持っていきたい!

【Cの場合】
キャンプのおともにおすすめの「○△□ビール」1本250円(税別)をご紹介。「××ビール」で知られる「○△□」と○○県有数のブルワリー「△△ブルワリー」がコラボしたもので、2020年7月6日(月)より期間限定で発売中。華やかなホップとシトラス系フルーツを組み合わせ、フルーティーな味わいに。さらに、ブルワリー近くの○○山から採れる天然水を使用し、この山をモチーフにしたラベルとなっている。自然を感じながら、夏らしい一杯で乾杯を!

では、ひとつ一つ見ていきましょう。

まず【A】は、プレスリリースほぼ写し、間違いもあるよ商品名と価格を間違え、プレスリリースの情報をほとんどそのまま書いている状態。

この夏、キャンプに持っていきたいビールとして、2020年7月6日(月)より発売された「○○□ビール」1本250円(税込)を紹介します。○○県有数のブルワリー「△△ブルワリー」とコラボレーションしたもので、△△ブルワリーからほど近い○○山から採れる上質な天然水を使い、さらに華やかなホップとシトラス系フルーツを組み合わせているそうです。夏らしくフルーティーな一杯をキャンプで楽しんでみてください。

つぎに【B】は、書きたい気持ちは伝わるけど、まとまりがない確かに書きたい!伝えたい!という気持ちはあるけれど、最初の3文は読者に対してというより、自分自身の主張が強い。この部分が長いので、商品の説明があっさり気味で、何を伝えるのかもまとまっていません。天然水についての説明だけしっかり、味わいの説明が適当。フルーティー〜最後にかけての文章は勢いだけで、雑な印象になっていますね。

キャンプといえばBBQ。そんなときに飲みたいものといえば、ビールですよね。自然の中でキンキンに冷えたビールを味わうなんて最高です。そこで、今回ご紹介したいのが、○△□株式会社より2020年7月6日(月)に登場した「○△□ビール」。なんと、△△ブルワリーからほど近い○○山から採れる上質な天然水を使っている贅沢な一杯です。フルーティーな味わいも夏らしくていいですよね。パッケージに描かれた風景もおしゃれで持っていきたい!

そして【C】!これが正解!書くべきことをすっきりまとめる+αターゲットを意識した、ほどよくカジュアルな文章に。商品名や価格にも間違いがなく、期間限定というワードも入れています。また、味の説明をメインにしつつ、天然水とデザインの話をまとめることで、読みやすさがアップ。文末には、キャンプに関連する“自然”というアウトドアならではのワードを入れ、「最後に飲もう!」と提案することで、どのようなシチュエーションなのかが思い浮かんできます。今回取材はなしですが、“「××ビール」で知られる”の部分は、自分で調べ、プレスリリース+αの情報も追加しています。【A】【B】と【C】の大きな違いは、伝えたい情報を整理し、テーマ、ターゲットを意識しながら自分流に伝えていることです。

キャンプのおともにおすすめの「○△□ビール」1本250円(税別)をご紹介。「××ビール」で知られる「○△□」と○○県有数のブルワリー「△△ブルワリー」がコラボしたもので、2020年7月6日(月)より期間限定で発売中。華やかなホップとシトラス系フルーツを組み合わせ、フルーティーな味わいに。さらに、ブルワリー近くの○○山から採れる天然水を使用し、この山をモチーフにしたラベルとなっている。自然を感じながら、夏らしい一杯で乾杯を!

例文を読んでみてどう思いましたか?「誰に、何を、どのように伝えるのか」。原稿を書くときに一度思い出してみてください!

「どうやって文章を書く練習をすればいいの?」という疑問が浮かぶかもしれません。個人的には、いきなり1000文字の長いテキストを書く訓練はしなくていいと思っています。まずは、要約に慣れること、与えられた少ない文字数の中で必要最低限のことを書いてみる。必要なことを読み取る力が身に付いたら、そこから肉付けしていく。まずはしっかりと骨格を組み立てていくことが大事だと思います。

ちなみにわたしの場合は、どんな媒体で仕事をするかにもよりますが、媒体のカラー、ほんの少し個性も添えつつ、シンプルな文章を心掛けています。

現役編集者&ライターの文章を書くコツ

ほかの編集さん、ライターさんの意見を聞くことも大切なので、大先輩のIさんとKさんに文章を書くためのポイントを聞いてみました。こちらも参考にしてみてください。

編集Iさん:
よいとされる媒体(新聞、雑誌、小説など)の文章を読んで、勉強する、分析する、真似することがまずひとつ目。基本中の基本ですが、5W2Hが出来ていない人は意外と多いです。執筆をする前に、話の「起承転結」を作る、できるように訓練するのもおすすめです。ふたつ目は、自分が書いた原稿を口頭で読んで人に聞かせた場合、ちゃんと話が通じるかを確認する。書いた文章のいい悪いが簡単にわかるような気がします。そして最後は、仮に専門外の人や知識がゼロの人が読んでも、理解できる・楽しめる文章になっているか、日頃から意識して書くことです!

ライターKさん:
「誰が読むか」。その対象者を1人思い浮かべて書いています。公式に配られているプレスリリースは単なる情報として、ターゲットが明確な場合は、その情報を読み手に合わせてカスタムする必要があると思っています。「読み手にとって有益である」ことを意識して。

第3回 まとめ

どんな媒体、どんなターゲット、どんなことを紹介するのか。書く前に一度内容を整理する。闇雲に書き始めるのではなく、文章の構成を考えてから書き進めましょう!

次回は「スケジュールについて考える」です。

モコ(仮名)

モコ(仮名)
編集、ライター
都内住みのしがない編集兼ライター。フリーランスになって早5年が経とうとしている。広告関係の案件を担当したり、編集部から依頼されて原稿を書いたり、いろいろする人。
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