結果を残すクリエイターの姿勢と仕事の進め方
2 どうすれば人の役に立てるか? そう考えることが基本(後編)
(株)ティー・ワイ・オー・インタラクティブデザイン プロダクション本部 プロデューサー
唐沢浩介
すべては人との出会いつながりで生み出されるもの
PMとして再スタートを切った唐沢氏は、それまでの制作業務とは違うマネジメントという業務の中でスケジュールや制作物の仕様などを管理し、ドキュメントへ落とし込むという重要な作業をこなしていく。制作するドキュメントはスケジュール表、仕様・設計書、ラフデザイン、サイトマップ、ディレクトリマップなど多岐にわたるが、それらはクライアント確認のためだけでなく、制作現場での共通認識を図るためにもなくてはならないアイテムである。
「プロジェクトを進めるにあたってのドキュメント制作は、実は非常にクリエイティブな作業なんです。ラフにしろサイトマップにしろWebサイトやコンテンツ構造を設計することにほかならないわけで、コンテンツのメッセージやユーザビリティなど、さまざまな要点を念頭に置きながら、ドキュメントに落とし込んでいく必要があるんです」
先輩プロデューサーの元で、PM業務のほかにも、予算管理やスタッフィング、制作ディレクションなどの経験を積むことにより、3年ほど前からいよいよプロデューサーとして仕事を任されるに至る。
「プロデューサーという仕事は、PMからさらに発展して、クライアントへの営業なども含む渉外業務を担ったり、プロジェクトの全責任を負う重要なポジション。心構えが必要でしたが、それでも、とにかくワクワクしていましたね」
広告代理店の担当者からチャンスを与えられた初のプロデュース業務であるカゴメ『be juicy!』のスペシャルコンテンツ制作に際しては、かかる重圧よりも任せてもらう喜びとそれに応えたい気持ちが強くわいたという。
「このプロジェクトと人との出会いでがらっと意識が変わりました。広告代理店の営業さんにチームで動く大切さを学びました。そして、みんなが生き生きと参加できる環境づくり。立ち上げからローンチまで終始スタッフが楽しみながらプロジェクトを進行できた貴重な体験でした。楽しむことはこんなにアウトプットに影響するんだと目から鱗でした」。この体験が今でもベースになっているという。しかし、さまざまな案件にかかわる中では「クライアントとクリエイティブに関してぶつかるような場面もあります。ただ、僕はそれをトラブルというつもりはないんです。モノづくりには、さまざまな人が携わる。その中で、議論が発生することは当然のこと。結果として良いモノをつくり出すためには必要な作業で、クライアントとユーザーの橋渡しになり、ユーザー目線に翻訳するための大切なプロセスなんです」という。さらにあくまでも「前向きな姿勢で自ら楽しんで仕事に取り組むことが大切」だという。また、より大切なことは人との関係にあるともいう。
「プロデューサーという仕事の魅力はプロジェクトをゼロからつくり出せるということにあるのですが、それはけっしてひとりでできることではありません。クライアントやクリエイターまで、多くの人の力が集まることでプロジェクトを完成させることができる。その知の集合体が同じ方向を見て進むことが重要です。そして、最後までチームで楽しんでつくれるような環境づくりがプロデューサーの重要な仕事だと認識しています。そして、最終的なコンテンツにはつくり手の楽しい想いや伝えたい気持ちがそのまま出る。そうでなくては、結果ユーザーにクライアントの想いが伝わるコンテンツはつくれないと思うんです。仕事をいただくのも、それを良い形にするのも、集まる人たちの縁だと思っています。だからこそプロジェクトに関わったすべての人にいつも感謝したいって思うんです。そしてクライアントに対しても、制作スタッフに対しても僕がどう役にたてるのか。これからも日々精進です」
カゴメとスターバックス コーヒー ジャパンが共同開発した「都会の大人を元気にする」というコンセプト商品『be juicy!』のプロモーションサイト。フルーツを使って絵を描くことで、楽しい気持ちをユーザー間で連鎖的につなげていく
■クレジット CL:カゴメ(株)/AG:(株)電通
Webクリエイティブに効く唐沢氏の言葉 |
・意外と行動すればなんとかなるもんだと感じました。臆せずやりたいことをやってみようと改めて思えました |
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・クライアントとユーザーの橋渡しになり、ユーザー目線に翻訳するための大切なプロセスなんです |
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・プロジェクトにかかわったすべての人にいつも感謝したいって思うんです |
[INDEX]
>>> 結果を残すクリエイターの姿勢と仕事の進め方(前編)
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