ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Spring イベントレポート

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ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Spring イベントレポート


ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Spring イベントレポート

2015年06月02日
TEXT:ソシオメディア株式会社


ユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインコンサルティングを行うソシオメディアは、5月28日に「UX戦略フォーラム 2015 Spring」を開催した。今回のテーマは「イノベーションのためのUXマネジメント」。『成功するイノベーションは何が違うのか?』の訳者である株式会社スタイリッシュ・アイデアの新井宏征氏と『エクスペリエンス・ドリブン・マーケティング』の著者である株式会社電通の朝岡崇史氏を迎え、UXをマネジメントの一貫として推進する方法論からその波及効果や実践方法について、事例を交えながら展開された。



「イノベーション実現メソッド」とマネジメント 新井宏征氏

1つ目の講演は「不確実な時代のイノベーションマネジメント – 顧客に受け入れられるイノベーションの起こし方 – 」と題した新井宏征氏の講演。イノベーションの必要性が増加しているという導入からはじまり、書籍内でも紹介がある「イノベーション実現メソッド」を解説。「イノベーション実現メソッド」とは、デザイン思考やアジャイル開発などさまざまな手法を組み合わせ、体系化して整理したもの。まさにUXのアプローチが含まれている。顧客の課題解決を中心におきながら、インサイト、課題、ソリューション、ビジネスモデルの4段階を連続して捉えるフレームワークが解説された。

イノベーション・マネジメントについて解説する新井宏征氏
イノベーション・マネジメントについて解説する新井宏征氏

また、新井氏が強調したのは、マネジメントとリーダーシップの重要性だ。アイデアやアプローチがすぐれていても、組織の問題で失敗しているケースが多く見られるとのこと。製品の創世記には起業家的マネジメントへと転換し、リーダーがトップの意思決定者からトップの実験推進者となる必要性を提示した。

ブランドのエクスペリエンス価値を高めるマーケティング戦略 朝岡崇史氏

次は「エクスペリエンス・ドリブン・マーケティング – 顧客のブランド体験をマネジメントするマーケティングプロセス刷新 – 」と題した朝岡崇史氏の講演。最初に、製品が成熟化・同質化したなかで、製品やサービスを提供した顧客に、なにをどう感じてもらうかの「エクスペリエンス価値」の重要度が高まっている時代背景を説明。ブランドの体験価値が高いほうが経済効果が高くなることが、さまざまな研究結果から証明されつつあると訴えた。

では、どのようにしてエクスペリエンス価値を高めるか。まずは顧客について深い理解が必要と強調し、カスタマージャーニーマップを用いてサービスブランドとの接点を俯瞰したり、デプスインタビューで顧客の生活価値観を理解することを推奨した。事例として、全日空のブランド刷新プロジェクトを紹介し、顧客の理解から施策展開、社内理解の進め方についてまでが解説された。

マーケティングでもエクスペリエンスの重要性を訴えた朝岡崇史氏
マーケティングでもエクスペリエンスの重要性を訴えた朝岡崇史氏

最後に朝岡氏が強調したことは、効果測定の必要性だ。施策実施前にエクスペリエンスを測定する指標(KPI)を設定し、実際の収益へ相関性があったかどうかをきちんと追いかける必要があるとし、このエクスペリエンスの測定法(UXメトリクス)の実証と推進が今後の課題になっていく、と訴えた。

パネルディスカッション「UX戦略を実現するためのマネジメント」

最後のセッションは、登壇者ふたりとソシオメディア代表の篠原稔和との対談。繰り返し話題に出たのは「いかにイノベーションを起こせる組織に変えるか?」、「クロスファンクショナルなチームをどのように構築するか?」についてである。朝岡氏は日本の「失敗を悪とする企業文化」を課題として提示しながら、うまくいったケースとして、トップが旗振りするトップダウン形式での事例を紹介。そこでは、まず経営層に「思想的な変革」が起こり、その後、全社で顧客理解のプロセスを進めるうちに徐々に社員の行動様式も変わっていくという。

UX推進に際しての組織やマネジメントの重要性と課題が議論された(左から、朝岡氏・新井氏・篠原稔和(ソシオメディア))
UX推進に際しての組織やマネジメントの重要性と課題が議論された(左から、朝岡氏・新井氏・篠原稔和(ソシオメディア))

会場からは、より具体的な質問が数多く寄せられた。たとえば「経営トップの意識を変えるためにどのようなことを行えばよいのか?」といった質問に、パネリストからは実際のユーザーの振る舞う現場を見せたり、テストやリサーチの現場に連れて行くことを推奨。時間がとれない場合は、テストやリサーチのハイライト映像、あるいはカスタマージャーニーを追体験できるようなショートムービーをつくって見せることの有効性をアドバイスした。

あらためて、企業組織にUXの重要性が浸透すると同時に、さまざまな実践上の課題や悩みが生じてきていることがわかる機会となった。なお、ソシオメディアでは、今回のSpring「UXマネジメント」に続き、7月15~16日にピーター・モービル氏ほか2名の海外ゲストを招いたSummer「UXメソッド」を皮切りに、10月にFall「UXメトリクス」、12月にWinter「UXリーダーシップ」と、2015年に残り3回のUX戦略フォーラムを計画している。引き続き来場者とともに、UX戦略についての理解を深め、具体的な実践方法を模索していく予定だ。

関連情報:
・ソシオメディア UX戦略フォーラム 2015 Spring
https://www.sociomedia.co.jp/5416


[筆者プロフィール]
ソシオメディア株式会社●2001年に設立されたUXデザイン・コンサルティングファーム。ユーザーインターフェース設計やユーザビリティ評価を専門に実施。同時に、企業組織やチームへのコンサルティング活動やITスタートアップにおけるリーンアプローチの経験などを活かし、ITとエクスペリエンスデザインに関わる包括的な専門性を用いながら、企業のイノベーションに向けた「UX戦略コンサルティング」の諸活動に注力している。
URL:https://www.sociomedia.co.jp/

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