アップルは「広告写真でノッチを隠している」とアメリカで集団訴訟が提起される
米カリフォルニア州の地方裁判所に12月14日(現地時間)、「iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Maxの広告が製品の画面スペックを正確に表現していない」として、集団訴訟が提起された。訴状を提出したのは、カリフォルニア州サン・マテオ郡在住のCHRISTIAN SPONCHIADO氏と、ニューヨーク州市民のCOURTNEY DAVIS氏。
訴状では、アップルに対して虚偽の含まれる広告の取り下げと、訴訟費用の支払い、原告と同様の立場にある米国のすべて(50の州とコロンビア特別区)の購入者に対する補償などを求めている。
訴状では、アップルに対して虚偽の含まれる広告の取り下げと、訴訟費用の支払い、原告と同様の立場にある米国のすべて(50の州とコロンビア特別区)の購入者に対する補償などを求めている。
虚偽表示として指摘されているのは大きく分けて以下の2点。
1つは、公表されているディスプレイサイズが、丸みを帯びたコーナー部分と上部ノッチによる欠損部分を考慮したものではなく、実際より大きなサイズで公表されているという点だ。
特にノッチについては、広告や公式Webサイトのプロダクト画面に使われている「惑星のカラー画像」が、ノッチの存在を意図的に隠すものだと指摘。加えて、広告に使われている「It's all screen.」というキャッチコピーが「ノッチはない」という誤認につながるとしている。
1つは、公表されているディスプレイサイズが、丸みを帯びたコーナー部分と上部ノッチによる欠損部分を考慮したものではなく、実際より大きなサイズで公表されているという点だ。
特にノッチについては、広告や公式Webサイトのプロダクト画面に使われている「惑星のカラー画像」が、ノッチの存在を意図的に隠すものだと指摘。加えて、広告に使われている「It's all screen.」というキャッチコピーが「ノッチはない」という誤認につながるとしている。
もっとも、アップルの公式サイトのスペック詳細には「actual viewable area is less(実際の表示領域はこれより小さくなります)」という但し書きがあり、ノッチやラウンド型の四隅、スピーカーやマイクの位置などの詳細な図解も掲載されている。使われているビジュアルの中にはノッチの存在がはっきりと映っているものも多く、この「ノッチ隠し」が意図的なものだとは考えにくいというのが大勢の意見のようだ。
2つ目の主張は画素数に関するものだ。アップルはiPhone Xから、パネルのサブピクセル配置を「ストライプ方式」から「ペンタイル方式」へと変更している。「ペンタイル方式」はRGB (赤緑青) の「G」のサブピクセルこそすべて備わっているものの、「R」と「B」のサブピクセルはそれぞれ半数ずつで、隣接するピクセルと共有する形で1ピクセルを構成している。
iPhoneにおいて採用されたのは、サムスンのGalaxyシリーズにも採用されている「ダイヤモンドペンタイル配列」という形式だ。少ないサブピクセルで解像度が高められるこの方式は、確かにアップルの製造コスト軽減施策の一つであったと思われるが、有機ELらしく黒が際立つという高評価もあったほどで、今回の訴状でもこのテクノロジー自体の可否が論じられているわけではない。(適切な輝度が実現できないとは評価されている。)
iPhoneにおいて採用されたのは、サムスンのGalaxyシリーズにも採用されている「ダイヤモンドペンタイル配列」という形式だ。少ないサブピクセルで解像度が高められるこの方式は、確かにアップルの製造コスト軽減施策の一つであったと思われるが、有機ELらしく黒が際立つという高評価もあったほどで、今回の訴状でもこのテクノロジー自体の可否が論じられているわけではない。(適切な輝度が実現できないとは評価されている。)
訴状ではiPhone 8までのディスプレイのような赤・緑・青のサブピクセルを単独で1つずつ持つものだけを「真の画素」とし、「ペンタイル方式」では従来の33%少ないサブピクセルしか含まれていないことを指摘。フルピクセルであったiPhone 8 PlusとiPhone Xをならべて、あたかも(数字上で)品質が大きく向上したかのように表現されている点が問題であるとしている。
ディスプレイ方式のみならず、多くのテクノロジーが使われるハイテク機器においては、数値だけでシンプルにそのスペックを表現するのは難しい。今回、誤認を生むと指摘された2点についても、画面サイズ(形状)やサブピクセル数を付記して正確な表記を行うことは可能であろうが、詳細で煩雑な表記が購入者にとっては理解しにくく、指標の違う他社製品との比較が困難になってしまうであろうことは容易に想像できる。
メーカー側が、誤解を生まないビジュアルや数値の公開を心がけなければならないのはもちろんだが、ユーザー側も、高額な製品だからこそ、よく内容を確認してから購入したいものである。
メーカー側が、誤解を生まないビジュアルや数値の公開を心がけなければならないのはもちろんだが、ユーザー側も、高額な製品だからこそ、よく内容を確認してから購入したいものである。