動画編集におすすめ!MacBook Pro対応4K UHDモニター「PD3220U」
第一線で活躍する動画制作会社が認めた
動画編集におすすめ!MacBook Pro対応4K UHDモニター「PD3220U」
動画ストリーミングサービスや動画広告市場の盛り上がりにより、クオリティの高い動画のニーズは高まる一方。個人がYouTubeにチャンネルを開設したり、ライブ動画を配信したりするケースも珍しくなくなってきた。それに伴い手頃な価格で購入できる動画編集モニターの需要も増えつつある。
そんな中、登場と同時に話題を呼んでいるのが、液晶モニター市場で大きなシェアを誇るBenQの新製品「PD3220U」だ。実売15万円弱というリーズナブルな価格でありながら、31.5型という大画面や4K UHD解像度、広色域表示などを実現しており、注目の新製品だ。
そこでここでは、BenQ「PD3220U」の実力について、アニメーション制作を手掛ける映像スタジオ「10GAUGE(テンゲージ)」に試して頂き、代表の依田伸隆さんと取締役の松木大祐さんに率直な使用感を伺った。
BenQの「PD3220U」は、4K UHD解像度やHDR10をサポートするクリエイティブのプロ向け31.5インチ液晶モニター。Rec.709/sRGBカバー率100%、DCI-P3/Display P3カバー率95%の広色域表示に対応しており、テレビ放送やデジタルシネマで使用される色域の大部分を再現することができる。
また、Thunderbolt 3(USB Type-C)端子を搭載しており、ケーブル1本で映像・音声の伝送とパソコンへの電源供給を実現しているのも特長。第一線で活躍するプロの目には、それらの性能や機能はどう映るのだろうか。
「PD3220U」おすすめポイント
・Thunderbolt 3対応なのでMacBook Proモニターに最適
・表示スペースが広く大量のツールパネルを並べて効率的に作業できる
・広色域のため映像制作のリファレンスモニターとして利用可能
今回は、アニメーション映画『君の名は。』、TVアニメ『おそ松さん』『文豪ストレイドッグス』などの予告編やオープニング映像を手掛けた映像制作会社「10GAUGE」に、普段の業務で「PD3220U」を試用してもらい、その実力を評価して頂いた。
10GAUGEとは?
10GAUGE(テンゲージ)
主にアニメーションや音楽、ウェブサイトを制作する少数精鋭の映像制作会社。アニメーション映画『君の名は。』『映画ドラえもん のび太の月面探査記』『楽園追放』、TVアニメ『おそ松さん』『文豪ストレイドッグス』など、数多くのアニメ作品の予告編やオープニング映像を手掛けている。
http://10gauge.org/
作業スペースや時間の節約に役立つ機能が便利
アニメの予告編などを制作する際は、配給会社や制作スタジオとのスムーズな連携が不可欠。そこで重要になってくるのが動画編集モニターなどの作業環境だ。10GAUGEの場合、アニメの制作会社で採用実績の多い映像制作向けのリファレンスモニターを用意して定期的にキャリブレーションを行い、できるだけ他社と同じ環境で映像をチェックしているという。
依田さんによれば、「パソコンも作業内容に合わせてMacとWindowsを使い分けています。例えば素材を取り込んでアニメーションに仕上げていく撮影の工程はWindowsで、編集をMacでという具合に。アニメ業界はWindowsベースの会社が多いので、最終的にはWindowsマシンにデータを移して書き出すことが多いですね」とのこと。
その際に問題になるのが作業環境の切り替えに伴う時間のロスだ。制作ツールによってはWindowsにしか対応していないこともあるため頻繁にMacとWindowsを行き来することになり、トータルだとかなりの時間がムダになってしまう。
実際に松木さんはBenQ「PD3220U」の最も良かったポイントとして、切り替えの簡単さを挙げている。「1組のUSBキーボードとマウスを2台のパソコンで共有できるキーボードビデオマウス(KVM)スイッチ機能が内蔵されているので、入力ソースを切り替えるたびに2組のキーボードとマウスを行ったり来たりしなくて済みます。
製品に付属する専用コントローラー、ホットキーパックG2を使うと、入力ソースの切り替え自体も素早くできますしね。作業効率の向上はもちろんですが、作業スペースの節約にもつながってこれは助かりました」。ちなみに、作業工程の多い案件の場合はトータルで「下手すると半日以上もの差になるほど効率が上がった」そうだ。
「とくにMacBook ProのようなThunderbolt 3対応のノートパソコンをメインで使うユーザーにはメリットが大きいと思います。出先から持ち帰ってThunderbolt 3ケーブルを1本つなげるだけで普段オフィスで使っているモニターやキーボード、マウスなどが利用可能になり、着脱の手間や時間を減らせますから。Thunderboltモニターはほかにもありますが、KVMスイッチ機能を内蔵する製品は珍しいですよね」
そのThunderbolt 3端子の使い勝手も評価できるポイントだと松木さんは指摘する。「USB PD(Power Delivery)に対応しているので、MacBook Proとモニターをケーブル1本でつなぐだけで、給電しながらMacBook Proモニターとして使うことができます。それにデイジーチェーンをサポートしているので、例えばモニターとThunderbolt HDD、MacBook Proといった対応デバイスを数珠つなぎに接続できるのも便利。通常ならMacBook Proのポートをふたつ塞ぐところひとつで済みます。ノートパソコンはポートの数が少ない場合が多いので、使用するポートが節約できるのはうれしいポイントです」
リファレンスモニターとして使える色再現性の高さ
動画編集モニターとしては画面の見やすさや正確な色再現も重要になるが、その辺りもBenQ「PD3220U」は抜かりがない。視野角の広いIPS方式の液晶パネルを採用しているのに加え、色空間の国際標準規格であるsRGBとテレビ放送向けのRec.709は100%、デジタルシネマ向けのDCI-P3およびDisplay P3は95%カバーしており、再現できる色の領域が非常に広い。
さらに部品や材料の選定からこだわって正確な色再現を追求した「AQCOLOR」技術も搭載。CalMAN認証およびPANTONEカラー認証なども取得しており表示品質の高さは業界のお墨付き。その実力には依田さんも感心していた。「これまで使ってきた高額なリファレンスモニターと色域や階調を比べてみましたが、遜色ないのではないかと思います。15万円弱という価格を考えると、コストパフォーマンスは非常にいいのではないでしょうか。
アニメ制作は工程が細かく分かれていて関わる人も多いので、最終的には色が変わってしまうことが多いのですが、だからと言って適当な色でいいというわけではありません。自分たちの工程でできる最善のものを作るために基準となる動画編集モニターは必要です。
BenQ「PD3220U」は、そのリファレンス的なモニターとして十分活用できるのではないかと思います。個人的にはアンチグレア(非光沢)パネルなので映り込みやギラつきが少なく、作業していても目にかかる負担が少なく感じたのも好印象ですね」
31.5インチで4K UHD解像度というバランスの良さ
現在の日本のアニメ業界はフルHDが中心で、4K UHDで制作することはまだまだ少ないそうだ。依田さんは「解像度が高くなると、それだけ描き込みが緻密になりますから作業も増えてしまいます。そのため、業界全体として4K UHDへの移行はなかなか進んでいません」と、その事情を説明する。
「ただ、作品によっては細かく作っておきたいから4Kくらいの解像度で制作しよう、ということはあります。例えば企業のロゴモーションを作る際、細かいパーティクルの作り込みにPD3220Uの高解像度が役立つと思います。だから4K UHDの動画編集モニターの必要性がないわけではないんですよ。また、将来的に動画配信サービスでニーズが高まれば、4K UHDへの移行が急速に進むこともあり得ます。それを見越して今のうちに導入しておくのもひとつの手と言えるかもしれません」
松木さんによれば「作業効率という面では4K UHDの恩恵は確実にあります」とのこと。「解像度が高いとデスクトップも広く使えますから。とくにPD3220Uの場合は31.5インチという画面サイズなので細部が見やすいのはメリット。解像度と画面サイズのバランスは、動画編集にはちょうどよいと思います。僕の場合は、After Effectsなどを使う際にパネルを展開して作業することが多いので、より多くのパネルを展開しておけるPD3220Uはとても便利に感じました。あと個人的にはゲームが好きなので4K UHDだけでなくHDR10に対応しているのも魅力的。趣味用途に欲しいくらいです(笑)」
なお今回はBenQ「PD3220U」を10GAUGEのオフィス内で試してもらったが、依田さんは「31.5インチなのに本体サイズが抑えられているのも利点」と指摘する。
「27インチの液晶モニターが搭載されたiMac Proと並べて使っていたのですが、ほぼ同じサイズ感なんです。フリーランスの方だとあまり大きなモニターは導入しづらいこともあると思うのですが、PD3220Uなら無理なく設置できるのではないでしょうか。極細ベゼルによるフレームレスデザインも素敵ですよね。オフィスや自宅のインテリアにも合いやすそうです」
会社の設備投資やフリーランスの動画編集モニターとして最適
このほか、画面を縦向きに回転して使用できる「ピボット」機能や、画面の左右で異なるカラーモード適用して見比べながら作業できる「デュアルビューモード」、ひとつの画面を最大4つに分割してそれぞれ異なる入力ソースを表示する「PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)」なども魅力的に感じた機能だという。
「映像制作ではピボット機能はあまり使いませんが、縦位置の絵を描く絵師さんなどには使い勝手がよさそう。デュアルビューモードはクライアントさんにお越しいただいたときに色味を提案するのに使ってみたいです。PBPはマルチカメラでライブ配信時にスイッチャー(複数の映像ソースの画面を切り替えたりミックスして出力すること)するときなどに役立つのでは。PD3220Uの場合は4分割してもひとつひとつの画面が13インチのフルHDモニターに相当するので、実用的に使えそうですね」と依田さん。
ちなみに10GAUGEでは、依田さんと松木さん以外のメンバーもBenQ「PD3220U」をテストしており、「自宅にほしい」という感想が多かったとのことだ。
依田さんは「僕もそうですが、自宅にあまり大きなデスクトップPCは置きたくない、MacBook Proを使いたいという人が多いんですよね。そういう人にとって、ケーブル1本でつながって給電まで行えるPD3220Uは理想的なMacBook Proモニターだと言えます。個人でも15万円弱でこの性能のモニターが手に入るのは、一昔前からは考えられないこと」と話す。
「アニメ業界はフリーランスで活躍する人が少なくないですが、そういう人は自宅ではMacBook Proにモニターをつなげて大画面で作業していることが多い。そしてそのMacBook Proをスタジオに直接持ち込んで、仕上げまで追い込んでいく。そういった使い方にはPD3220Uはぴったりの製品だと思います。
KVMスイッチ機能やホットキーパックG2のように、現場での効率を配慮した実用的な機能も搭載されているので、効率を重視する制作会社の設備投資にも最適ですよね。高額なリファレンスモニターと比べても色域や色再現に不足は感じないので、作画や動画編集など、制作工程の多くで活躍するのでは? ぜひ注目してみてほしいです」
製品概要「PD3220U」
MacBook、MacBook Proを利用するデザイナーがより自由に創作を行えるように開発された31.5インチのフレームレス液晶モニター。「PD3220U」は、BenQモニターのPDシリーズでは初のAQCOLORシリーズモデルとなり、4K UHDの高解像度、高水準の色精度を実現し、HDR10対応で動画編集やアニメ制作などクリエイティブ系のプロフェッショナルやデザイナー向けのモデル。
Rec.709/sRGB100%カバー、Display P3/DCI-P3 95%カバーを実現した上、機能面ではThunderbolt 3対応のUSB Type-Cを2系統搭載し、85Wまで給電可能。ダークエリアの描写をより鮮明に表示し、高いグラデーション表現を可能にする暗室モードや、10段階の明るさを調整することができるアニメーションモードなど、クリエイターの作業を快適にする多彩な機能も搭載する。
●主な仕様
サイズ:31.5型ワイド/パネル:ノングレア/バックライト:IPS/解像度:3840 x 216:0 (4K UHD)LED/表示サイズ:697.31 x 392.23 mm/表示色:約10億7000万色/画素ピッチ/画素密度:0.182 mm/140ppi/アスペクト比: 16:9/コントラスト比:1000:1 (DCR 2000万:1)/輝度(cd/㎡):300 cd/㎡/視野角(左右/上下):178°/178°(CR>=10)/応答速度:5ms GTG/水平/垂直周波数:30-135KHz / 24-76Hz/ティルト角度:上下:-5°/20°/VESA規格:100 x 100 mm/入出力端子:HDMI 2.0x2/Display Port 1.4/Thunderbolt 3x2(85W給電、15W給電)/USB:USB3.1×4(Downstream x 3、Upstream x1)、USB Type-Cx1(Downstream)/本体サイズ(WxHxD):714.8 x 477.6~627.6 x185.81mm (台座あり)、714.8 x 412.2 x 86.63mm(台座なし)/本体重量/梱包重量:10.4kg / 13.3kg
2019.11.19 Tue2021.10.13 Wed