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【GW特集】おうちでも美術館!話題の展覧会をキーワードで楽しむ

2020.5.27 WED

【GW特集】おうちでも美術館 前編
新型コロナウイルスの影響で、ゴールデンウィークや初夏のお出かけをキャンセルした人も多いのでは?そこで、おうちにいながら美術館を訪れている気分、アート鑑賞を堪能している気分になれる特集をお届け。前半では「京都市京セラ美術館開館記念展 杉本博司 瑠璃の浄土」、特別展「きもの KIMONO」、「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」をピックアップ。“浄土の世界”“日本のおしゃれ”“サスティナブル”と3つのキーワードで解説していきます。美しい作品の数々に癒されて。

●取材・文:中村美枝(JAM SESSION)

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浄土の世界
日本のおしゃれ
サスティナブル

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後半のラインナップは、「おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~」、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」、特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」です。

京都市京セラ美術館

京都市京セラ美術館開館記念展 杉本博司 瑠璃の浄土
日本を代表する現代美術作家・杉本博司が問う“浄土”の世界へ
《OPTICKS 008》2018  © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

《OPTICKS 008》2018
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

水平線をセンターに統一した構図で、世界各地の海を撮り続けたモノクローム作品「海景」シリーズなどで知られる杉本博司。建築、舞台演出といった分野でも活動しながら、意識の起源や人間のあらゆる感覚、そして時間をどのように捉えていくかを探求。独自のコンセプトと哲学に基づく創作を続け、アートの可能性を広げてきた。

杉本博司が新たに取り組んだのが、“仮想の寺院の荘厳”の構想。これは、京都・岡崎に立つ「京都市京セラ美術館」のリニューアルオープンを記念した展覧会のためのもので、「京都」「浄土」「瑠璃ー硝子」をキーワードに、古くから “浄土”を追い求めてきた日本人の心の在り様を見つめ直しているという。瑠璃色が画面いっぱいに広がる《OPTICKS 008》をはじめ、11点からなる「OPTICKS」シリーズは、杉本が初めて色そのものを捉えた作品。シンプルながらも神秘を感じさせる美しい色彩に、杉本が問いかける浄土が見えてくるかもしれない。
画像左から(スマートフォンの場合上から)
《OPTICKS 026》2018 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

《OPTICKS 077》2018 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
《OPTICKS 100》2018 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
太陽光は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色からなると言われているが、杉本博司はその7色の間にも光があると考えた。世界初公開の「OPTICKS」シリーズは、太陽光の色彩の階調を作品化したもの。朝の光をプリズムに通して分光させた光の階調をポラロイドカメラで撮影。その写真の一部にデジタル加工を施してプリントしている。
《仏の海 001》1995 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
これまでに何度も京都を訪れ、その長い歴史にインスピレーションを得てきたという杉本博司。“三十三間堂”の通称で親しまれる仏堂「蓮華王院本堂」の千体仏を撮影した「仏の海」シリーズも杉本の代表作のひとつ。朝の陽射しを受けた仏像の凛とした姿は美しくも神聖で、本堂の空気感をそのまま映し出しているよう。
写真/《光学硝子五輪塔 カリブ海、ジャマイカ》2011 / 1980, 小田原文化財団蔵 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Odawara Art Foundation
五輪塔とは、平安期に発展した墓石の一種。方形の地、球形の水、三角形の火、半円形の風、宝珠形の空からなり、仏教教典による世界の五大要素「地水火風空」を表している。杉本はこの五輪塔を光学ガラスで成形した《光学硝子五輪塔》の内部に、自身が1980年代から手がけた「海景」シリーズのフィルムを納めた。
京都市京セラ美術館開館記念展 杉本博司 瑠璃の浄土
1933年に開館した京都市美術館が、新たに通称を得てリニューアル。本展は敷地内にオープンする新館「東山キューブ」の開館を飾る展覧会。新作も含む「仏の海」、世界初公開の「OPTICKS」といった大判写真シリーズ作品のほか、作家自身が収集した考古遺物を展示。屋外には日本初登場《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》も設置される。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~2020年6月14日(日)
開催時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月(祝日の場合開館)
場所:京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」
問い合わせ先:075-771-4334
観覧料:一般1,500円、大学・高校生1100円、中学生以下無料
https://kyotocity-kyocera.museum/

東京国立博物館

特別展「きもの KIMONO」
“日本のおしゃれ”の原点が見えてくる「きもの」に注目
重要文化財 小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀、通期展示、東京国立博物館蔵

重要文化財 小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀、通期展示、東京国立博物館蔵

古くから日本の暮らしを彩ってきた「きもの」。その原型とされるのが、狭めの袖口と短い袖丈が特徴の「小袖」。室町時代後期からは、それまで貴族が装束などの下に着用していた小袖に、染め、刺繡などで模様を施し、表着として活用。身分の隔てなく、人々の日常着になった。江戸時代、小袖の文化はさらに進化。徳川家の女性たちの装いが注目されたり、遊女の艶やかな衣装が流行を作ったり。江戸の裕福な商家の女性の間では、絵師が直筆で模様を描いた一点ものの小袖がブームとなり、京都から江戸に渡った尾形光琳は、世話になった寄宿先の奥方のために《小袖 白綾地秋草模様》を手がけた。その一方で、幕府から贅沢を禁じられた庶民は、洗練・簡素をよしとした“粋”な美学を生み出したという。

戦後は、日常的に着られなくなってしまったが、今でもきものは日本人の晴れ舞台を飾る定番衣装のひとつ。その魅力にハマる若い世代も増えているという。そんなきものは、日本のおしゃれの原点なのだ。
見返り美人図  菱川師宣筆 江戸時代・17世紀、通期展示、東京国立博物館蔵
江戸時代の初期に活躍した、浮世絵師のひとり、菱川師宣の肉筆画。人気歌舞伎役者が流行らせた結び方で帯を締め、色鮮やかな小袖を着こなした女性が振り向く姿は、日本を代表する美人画として知られている。師宣以降も、浮世絵師たちは美人画を生み出し、モデルが身に着けていたきものは、当時のファッションに影響を与えた。
重要文化財 振袖 白縮緬地衝立梅樹鷹模様 江戸時代・18世紀、通期展示、東京国立博物館蔵
きものへのこだわりは、女性だけにあらず。戦国武将たちは珍しい素材で衣装を仕立てるなど、男性たちも、きもので個性やおしゃれを表現してきた。鷹の姿を力強く、かつ繊細に染めあげたこちらの振袖は、江戸時代の若衆が着用していたとされる。友禅染の技術が最高潮だった時代には、若い男性たちも派手な振袖で日常を彩っていたという。
友禅訪問着 白地位相割付文 「実り」 森口邦彦作 平成25年(2013)、東京・株式会社三越伊勢丹蔵
父・森口華弘と同じく、友禅染の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された友禅作家・森口邦彦。フランスでグラフィック・アートを学んだ邦彦は、父が生み出した「蒔糊」の技法を用いて、現代的なデザインで訪問着を作りあげた。ちなみにこの模様、どこかで見たことがある人も多いはず。2014年から三越のショッピングバッグに採用されている。5月12日(火)〜6月7日(日)展示
特別展「きもの KIMONO」
重要文化財の尾形光琳直筆の小袖、国宝の染色作品をはじめ、戦国武将が着用した衣装、文明開化以降のモダニズムきもの、現代のデザイナーが手がけたものなど、鎌倉時代から現代までのきものを、歴史をたどりながら紹介。きものが描かれた屏風や浮世絵なども紹介し、200件以上の作品で800年以上にわたるきもの文化を総覧する。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~2020年6月7日(日)
開催時間:9:30~17:00(金、土は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月
場所:東京国立博物館 平成館
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,700円、大学生1,200円、高校生900円、中学生以下無料
https://kimonoten2020.exhibit.jp/index.html

東京都現代美術館

オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
自然を大胆に変容させて“サステナブル”をアートで発信
オラファー・エリアソン《太陽の中心への探査》2017 「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展示風景(東京都現代美術館,2020) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist and PKM Gallery, Seoul © 2017 Olafur Eliasson

オラファー・エリアソン《太陽の中心への探査》2017 「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展示風景(東京都現代美術館,2020) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist and PKM Gallery, Seoul © 2017 Olafur Eliasson

近頃よく耳にする言葉“サステナブル”。持続可能な、自然環境に悪影響を及ぼすことなく維持・継続できるという意味を持つ。このサステナブルな世界をかなえるための試みを、アートを介して取り組み続けているのが、アイルランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソン。1990年代初頭から幅広い表現スタイルで活動を展開してきた。

なかでも高く評価されているのが、水、光、霧といった自然現象を屋内外で再現した、人間の知覚を刺激するインスタレーション。光と幾何学への関心を表した彫刻作品《太陽の中心への探査》は、美術館の中庭に設置したソーラーパネルの電力でオブジェと光が動くしくみ。色鮮やかな光と影が混じり合ったかのような空間は太陽の内部に入り込んだかのよう。太陽が持つ神秘のパワーが感じらせ、再生エネルギーへの関心も高めてくれる。これからの暮らし、そして地球に大切なことに気付かせてくれるオラファー・エリアソンに注目したい。
オラファー・エリアソン《ビューティー》1993 「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展示風景 (東京都現代美術館,2020) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 1993 Olafur Eliasson
真っ暗な空間に虹を再現するインスタレーションは、オラファ―・エリアソンの初期の代表作。ごくごくたまにしか現れず、遠くに眺めることしかできない虹の美しさを、手を伸ばして触りたくなるほど間近に体感できる。
オラファー・エリアソン《サンライト・グラフィティ》2012 「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展示風景(東京都現代美術館,2020) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2012 Olafur Eliasson
電力にアクセスできない地域で暮らす人々に光を届けたいと、オラファ―・エリアソンがエンジニアのフレデリック・オッテセンと共同開発した携帯式ソーラーライト「リトルサン」。《サンライト・グラフィティ》は、リトルサンに蓄えられた太陽の光で、誰もが自由にドローイングが描ける体験型の作品。エネルギーの再生を肌で感じられる。
オラファー・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》2019 「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展示風景(東京都現代美術館,2020) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2019 Olafur Eliasson
幼少期に暮らしたアイスランドの自然現象を、長年にわたって撮影し続けてきたオラファー・エリアソン。《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》では、過去20年間の氷河の大きな変化を目に見えるかたちで示したもの。温暖化、自然災害など地球に起こっている気候変動を知っているつもりでも、作品を通して目の当たりにすると、どきりとさせられる。
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
今、世界で最も注目されるアーティストのひとり、オラファ―・エリアソン。日本では10年ぶりとなる大規模な個展では、エコロジーを軸にインスタレーション、彫刻、写真、ドローイング、水彩画、公共デザインのプロジェクトなど、代表作を含む日本初公開作品を多数展示。新作《ときに川は橋となる》も公開される。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~2020年6月14日(日)
開催時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月
場所:東京都現代美術館 企画展示室 地下2F
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,400円、大学・専門学生・65歳以上1,000円、高校・中学生500円、小学生以下無料
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/
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