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【GW特集】おうちでも美術館!話題の展覧会をキーワードで楽しむ

2020.8.15 SAT

【GW特集】おうちでも美術館 後編
新型コロナウイルスの影響で、ゴールデンウィークや初夏のお出かけをキャンセルした人も多いのでは?そこで、おうちにいながら美術館を訪れている気分、アート鑑賞を堪能している気分になれる特集をお届け。後半では「おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~」、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」、特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」をピックアップ。“江戸のおいしい”“日本のスター”“奇想の画家”と3つのキーワードで解説していきます。

●取材・文:中村美枝(JAM SESSION)

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江戸のおいしい
日本のスター
奇想の画家

森アーツセンターギャラリー
おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~
“江戸のおいしい”が描かれた浮世絵で日本の食文化を探る

見立源氏はなの宴 三代歌川豊国(国貞)、味の素食の文化センター蔵

見立源氏はなの宴 三代歌川豊国(国貞)、味の素食の文化センター蔵

江戸時代初期に生まれた風俗画・浮世絵。全国各地の観光名所、歌舞伎、力士、役者、美人、遊女、町民……と、江戸の風景や人々が生き生きと描かれた。そんな浮世絵には、“江戸のおいしい”もたくさん記されている。

日本独自の文化が花開いた江戸時代。流通が発達した19世紀には、全国各地の食材が江戸に集まるようになり、食文化も発展。料理店や茶屋が町を賑わし、食事を提供する宿も現れた。浮世絵師たちは、そうして芽生えた江戸の食を作品に次々と盛り込むようになる。満開の桜を背景に遊郭で宴を楽しむ男女の姿を描いた、三代歌川豊国(国貞)《見立源氏はなの宴》。花見しながら、酒と料理を楽しむスタイルは現代にも受け継がれているものの、中央手前の鮨桶には、現代よりも少し大きめな握りずしが積み重なっている。浮世絵の細部を鑑賞しながら、今と昔を見比べていくと、日本の食文化により楽しく親しめそうだ。
名酒揃 志ら玉 歌川国芳、江戸ガラス館蔵
「志ら玉」という銘柄の酒を宣伝するために描かれたと思われる団扇絵。国芳はこの「志ら玉」にかけて、美人が「白玉」をすくう姿を描いた。江戸時代、夏の食べ物であった白玉。冷たい水で冷やした白玉を食べて、暑さを忘れる夏のひととき。白玉を目の前にした女性の表情も印象的で、おやつの楽しみは今も昔も変わらないのだと実感。
風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗 月岡芳年、味の素食の文化センター蔵
江戸の人々に好まれた料理の代表格が、うなぎ、すし、鍋、そして天ぷら。搾油の技術が発達し、食用にも油が使われるようになった江戸時代。屋内で火を使うことが禁じられていたため、天ぷらは屋台料理として提供された。当時は江戸湾の魚介を油で揚げたものが天ぷらと呼ばれ、野菜を揚げたものは精進揚げ、野菜揚げとされていた。
「北斎漫画」十二編葛飾北斎、浦上満氏蔵
「北斎漫画」は、葛飾北斎が「事物をとりとめもなく気の向くまま漫(そぞ)ろに描いた画」を集めた、全五十編からなる絵手本。英語圏では「ホクサイ・スケッチ」と呼ばれている。十二編に収録されたこの作品には“うなぎ”が登場。食べるとおいしいうなぎは、実はぬるぬる、つるつるしていて扱いが大変・・・料理人の思いを北斎流に代弁したのかもしれない。
おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~
浮世絵にたびたび描かれてきた「日本の食」。本展では食を描いた浮世絵の魅力と、現代の暮らしにも通じる江戸の食文化を紐解きながら、当時の料理の再現写真やレシピなども紹介。会場隣接の「Cafe THE SUN」、六本木ヒルズなどの店舗では、江戸の食を再現したコラボメニューを用意。“江戸のおいしい”を味わって楽しむこともできる。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~2020年6月7日(日)
開催時間:10:00~20:00(火は17:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:5月12日(火)※変更の場合あり
場所:森アーツセンターギャラリー
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,800円、大学・高校生1,300円、小・中学生800円
https://oishii-ukiyoe.jp/

森美術館
STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ
海外のアート界でもおなじみ“日本のスター”6人が集結

草間彌生《たくさんの愛のすばらしさ》2019年 アクリル絵具、キャンバス 100.3×100.3 cm 所蔵:有限会社 ティーパーティー

草間彌生《たくさんの愛のすばらしさ》2019年 アクリル絵具、キャンバス 100.3×100.3 cm 所蔵:有限会社 ティーパーティー

日本人としてアートを楽しむなら、押さえおきたい日本の現代美術。その入口にぴったりなのが、世界で抜群の人気と知名度を誇るこの6人。草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司。“日本のスター”と呼ばれるアーティストたちだ。

なかでも注目は、90歳を超えた今も創作を続ける草間彌生。1929年に長野県に生まれ、1957年に渡米した草間は、画面全体を網目模様で埋め尽くすネットペインティングや、布製の突起物が表面を覆うソフトスカルプチャーで注目を集めた。水玉も草間の代名詞になった重要なキーワードで、幼少期から体験した幻視や幻聴が、それら代表的なモチーフにつながっているという。近年はカボチャや草花をモチーフにしたパブリックアート、鏡を用いた大型インスタレーションを発表。2016年にはタイム誌で「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。ロサンゼルスの美術館「ザ・ブロード」のインスタレーション「インフィニティ・ルーム」は、混雑を避けるため、“鑑賞は45秒以内”に限定。日本にとどまらず、世界的なスターでもあるのだ。
李禹煥《関係項》1969/1982年 鉄板、ガラス、石 180×220×40 cm
自然界の素材そのものを提示する流派「もの派」の中心的アーティスト。1936年に韓国慶尚南道に生まれ、1950年代から日本で暮らし創作を続ける。海外の美術館でも個展が開催され、2019年にはフランスのポンピドゥー・センター・メスで個展が行われたばかり。2010年には香川県直島に李禹煥美術館、2015年には韓国に釜山市立美術館・李禹煥空間が開館した。
宮島達男《Sea of Time ’98》1998年 展示風景:「家プロジェクト『角屋』」ベネッセアートサイト直島(香川)1998年 撮影:上野則宏
1957年、東京都生まれ。数字が明滅するデジタルカウンターを使った作品で知られる。1988年のベネチア・ビエンナーレの若手作家部門「アペルト」に参加。発光ダイオードの光が数字を刻む《時の海》をきっかけに、世界で注目されるようになった。2017年からは《時の海―東北》を継続的に制作するなど、参加型プロジェクトにも力を注いでいる。
杉本博司《シロクマ》1976年 ゼラチン・シルバー・プリント 42.3×54.6 cm 所蔵:大林コレクション
1948年、東京都生まれ。70年にアメリカへ渡り、ロサンゼルスで写真を学ぶ。74年からニューヨークに移住、自然史博物館に展示されている動物標本を撮影した「ジオラマ」シリーズを制作。世界各地の水平線を撮り続けた「海景」などのシリーズでも知られる。2017年には小田原に、能舞台、ギャラリー、茶室などを備えた文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」を開館。
村上 隆《Ko²ちゃん》1996-2011年 合成樹脂、ラッカー塗料、グラスファイバー、鉄 181×61×102.5 cm
1962年、東京都生まれ。伝統的絵画と現代美術の源流をアニメ・マンガの視覚論を通して再構想するという「スーパーフラット論」を提唱。Ko²ちゃん、DOB君をはじめ、日本のオタク文化を生かしたキャラクターを生み出した。国際的な人気は高まるばかりで、世界中で個展が開催されている。最近は2020年のグラミー賞シンガー、ビリー・アイリッシュとのコラボが話題に。
奈良美智《Submarines in Girl》1992年 アクリル、キャンバス 100×150 cm 個人蔵
1959年、青森県生まれ。子供や動物などを主なモチーフにした作品は、かわいい文化の体現とされることもあるが、親しみやすさと神聖さ、無邪気さと残酷さといった対峙する要素が共存する不安定さが心に響く。2000年代にアジア各国で人気が高まり、2015年には香港のアジア・ソサエティで個展を開催。2020年はロサンゼルス・カウンティ美術館、ダラス美術館で個展が行われる予定だ。
STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ
日本にとどまらず、世界を舞台に活躍する6人の現代美術のアーティストを紹介。6人それぞれの初期作品と最新作を中心に展示しつつ、彼らがどのように国際的に評価され、受容されてきたか、その活動の軌跡を追う。1950年代以降に海外で開催された日本現代美術の展覧会に関する資料も公開。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~
開催時間:10:00~22:00(火曜は17:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:会期中無休(変更の場合あり)
場所:森美術館
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般1,800円、高校生・大学生1,200円、4歳~中学生600円、65歳以上1,500円、3歳以下無料
www.mori.art.museum

東京都江戸東京博物館
特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」
若冲、蕭白だけじゃなかった!全国各地の江戸時代の“奇才”たち

絵金「伊達競阿国戯場 累」二曲一隻 赤岡町本町二区蔵 展示期間4/25-5/24 ※展示期間は変更の可能性があります

絵金「伊達競阿国戯場 累」二曲一隻 赤岡町本町二区蔵 展示期間4/25-5/24 ※展示期間は変更の可能性があります

近年、国際的にも人気を集めている江戸時代の“奇想の画家”たち。鮮やかな色彩でおかしみにあふれていたり、奇怪、奇抜で強烈なインパクトがあったり。流派の様式からはみ出し、自由かつ斬新な発想で“奇才”ぶりを発揮した。伊藤若冲、長澤蘆雪、曾我蕭白、歌川国芳らがその代表格だが、奇才な絵師は全国各地にまだまだたくさんいた。

幕末から明治にかけて高知で活躍した絵金も奇才絵師のひとり。その生涯は謎につつまれているが、放浪の末に流れ着いた現在の高知県香南市赤岡町で、二曲一隻の屏風に極彩色の絵の具と圧倒的な筆の勢いで展開する数々の芝居絵屏風を生み出した。題材は、歌舞伎の演目に登場する修羅場のシーン。「伊達競阿国戯場 累」では、怨念で顔が醜く変わってしまった累が、夫との仲を誤解して歌方姫に襲い掛かる様子が描かれている。それぞれがひっ迫した表情で、とにかくおどろおどろしい。観ているだけで背筋が凍りそうだ。
葛飾北斎「上町祭屋台天井絵 女浪」一面 小布施町上町自治会蔵(北斎館寄託) 通期展示 ※展示期間は変更の可能性があります
言わずと知れた江戸の浮世絵師・葛飾北斎。その北斎が80歳を過ぎて初めて訪れた信州・小布施で祭屋台の天井絵を四面描いた。うち二面は上町祭屋台の怒濤図で、男浪・女浪と俗称されている。荒れ狂う波に、まるでなにかが乗り移ったような奇妙な迫力があって、老いてもなお描き続けた北斎のみなぎるパワーが伝わってくる。
伊藤若冲「鶏図押絵貼屏風(左隻・部分)」個人蔵 展示期間5/26-6/21 ※展示期間は変更の可能性があります
奇才の絵師と言えばこの人、江戸中期に京都で活躍した伊藤若冲。色鮮やかで緻密な筆致で知られるが、こちらは墨の濃淡を生かしたおおらかな筆さばき。背景は描かれていないが、その分、鶏のさまざまな姿がユーモラスかつ臨場感たっぷりに表現されている。観察眼にすぐれた若冲ならではの作品。
片山楊谷「竹虎図屏風」六曲一双 鳥取・雲龍寺蔵 右隻 展示期間4/25-5/10、左隻 展示期間5/12-5/24 ※展示期間は変更の可能性があります
1760年、長崎生まれ。13歳の頃に絵筆を携えて故郷を離れ、諸国を遊歴した片山楊谷。奇怪なフォルムと、細部にこだわった写実技法など中国絵画の影響を受けた。「竹虎図屏風」で注目したいのが、緻密に描かれた虎の毛並み。茶と黒の縞模様の毛の上に、さらに白色顔料の胡粉を重ねている。どこか愛らしく感じるのは、ふさふさと見える毛並みのせいかも。
特別展「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」
流派別に語られることが多い江戸時代の絵師。本展ではその枠からはみ出した〝奇才〞に注目する。北は北海道から南は長崎まで、その数35名。若冲、蕭白、北斎、国芳といったおなじみの絵師から、地域で愛され、語り継がれる絵師も登場。新たなムーブメントを生み出しそうな隠れた名手を知る機会となりそうだ。

※最新の開催情報は公式サイトにて確認をお願いします※
会期:開幕日未定~2020年6月21(日)※会期中展示替えあり、開催内容が変更になる場合あり
開催時間:9:30~17:30(土は19:30まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(5月18日開館)
場所:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
問い合わせ先:03-3626-9974
観覧料:一般1,400円、専門・大学生1,120円、小・中・高校生・65歳以上700円
https://kisai2020.jp
※巡回展/山口県立美術館 2020年7月7日(火)~8月30日(日)、あべのハルカス美術館 2020年9月12日(土)~11月8日(日)

おうちでも美術館の前編はこちら

・京都市京セラ美術館開館記念展 杉本博司 瑠璃の浄土
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・オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
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