SPECIAL INTERVIEW
プロの目にWindows 10搭載のタブレットPCはどう映る?

イラストレーター・マンガ家の丸紅茜は
『raytrektab 10.1インチモデル』を
液タブやタブレットPCの導入機としてオススメする!
イラストレーター・マンガ家の丸紅茜は
『raytrektab 10.1インチモデル』を
液タブやタブレットPCの導入機として
オススメする!

サードウェーブの「raytrektab 10.1インチ」は、Windows 10を搭載したクリエイター向けタブレットPCだ。4,096段階の筆圧検知や傾き検知に対応したデジタイザーペンが付属し、まるで紙に描くような感覚でイラスト制作を行うことができる。プロのクリエイターは、その実力をどう評価するだろうか。ここでは、イラストレーター・マンガ家の丸紅茜さんに製品を試していただき、その使い勝手や描き心地などを伺った。

サードウェーブの「raytrektab 10.1インチ」は、Windows 10を搭載したクリエイター向けタブレットPCだ。4,096段階の筆圧検知や傾き検知に対応したデジタイザーペンが付属し、まるで紙に描くような感覚でイラスト制作を行うことができる。プロのクリエイターは、その実力をどう評価するだろうか。ここでは、イラストレーター・マンガ家の丸紅茜さんに製品を試していただき、その使い勝手や描き心地などを伺った。

日常とファンタジーが隣り合わせにある不思議な世界観の作品で知られる丸紅茜さん。書籍の装画やマンガ、CDジャケット、MV素材、同人活動など、一つの枠にとらわれない幅広い活動で注目を集めている。その丸紅さんに今回試していただいたのが、PCショップ「ドスパラ」で知られるサードウェーブが開発・販売するクリエイター向けタブレットPC「raytrektab 10.1インチ」だ。普段の仕事でプロクリエイター向けの液晶ペンタブレットを使用している丸紅さんにとって、同製品はどのように映ったのか。プロのイラストレーターならではの視点で率直な感想を語っていただいた。

プロクリエイター向け液タブにも匹敵しうる描き味!

Q.1

普段イラスト制作にはどのような機材を使用されているのでしょうか?

イラストの制作環境について説明する丸紅茜さん

丸紅レノボのスリムタワー型のデスクトップPCと、Wacom Cintiq 24HDをメインで使用しています。実は、PCなどの機材にはあまりこだわりがなく、ある程度スムーズに動くものであれば安いもので構わないというスタンスだったんです。もともとイラストは会社員生活の傍ら趣味で行っていてプロになれるとは思っていなかったので、機材についても趣味にかけられる範囲内でやりくりしてきました。

ペンタブレットも、人から譲り受けたものを使っていたり……。ただ、液タブを使い始めて「こんなに描くスピードが上がるのか」と驚き、機材選びの大切さを実感するようになったので、今後も定期的に新しい機材はチェックしていかなければと考えているところです。

Q.2

raytrektab 10.1インチを使ってみて、どのような印象を持ちましたか?

丸紅今までは漠然と「液タブは大きいサイズの方が使いやすいんだろうな」と思っていました。でもraytrektabを使ってみて、必ずしもそうじゃないかもしれないと気付かされたんです。たとえば同じ拡大率で絵を描く場合、画面の大きな液タブだと画面上での絵のサイズも大きいので大きなストロークが必要ですが、小さな画面で同じ解像度の液タブなら小さなストロークで済む。私は手先で絵を描く癖があるので、そういう意味で楽な部分があります。

本体がコンパクトで軽いので、好きな姿勢で描けるのもいいところですね。今仕事で使っているCintiq 24HDは30kg近くあるのでうかつに動かせないのですが(笑)、これならソファでくつろぎながらでも使えます。同じ姿勢で固まっていなくていいぶん負担が減りそうです。次に買い換えるならこれくらいのサイズも検討したいですね。というより「この製品を購入してみたい!」と思うくらい気に入りました。

Q.3

現在の制作環境のなかで、raytrektab 10.1インチはどのように使用されていますか?

丸紅現在、歌人の伊波真人さんの短歌にイラストを合わせた『青春迷宮』(KADOKAWA)という書籍の制作に携わっているのですが、そのうちの数枚を描く際に使用してみました。最終的な仕上げまで丸ごとraytrektabで制作しています。液晶の画素密度が印刷の解像度に近いせいか、画面上でも実際の印刷サイズに近い大きさで制作でき、仕上がりをイメージしやすかったですね。

ペンは、付属する標準のデジタイザーペンと三菱鉛筆9800 デジタイザーペンの両方で描き比べました。標準ペンはペン先が硬めなのですが、若干沈み込むようになっていて筆圧がかけやすい印象。三菱鉛筆の方はエラストマー芯が採用されており、しっとりとした独特の感じがあってとても描きやすかったです。

液晶の画素密度が印刷の解像度に近く、224ppiもあるため、紙に印刷された状態がイメージしやすい
raytrektab DG-D10IWP2に付属されている三菱鉛筆9800 デジタイザーペンは見た目も軽さも鉛筆そのもの

Q.4

視差や遅延などを含め、raytrektab 10.1インチの描き心地について率直な感想を教えてください。

丸紅ペン先が細めなせいか、いつも使っている液タブに比べると少し線の強弱はつけづらいような気がしました。私の画風だとその辺りはあまり問題になりませんが、人によっては多少慣れが必要になるかもしれません。ペン先と画面の視差は問題ありませんでしたし、遅延もまったく感じませんでした。手の動きにしっかり追従してくれるので気持ちよく描けます。

ペンがバッテリーレスで軽いので、持ちやすく疲れにくいのもいいところ。私は手の力が弱いので、長時間使っているとペンの重さは結構こたえるんですが、標準のペンも三菱鉛筆9800 デジタイザーペンも鉛筆のように軽くて、ずっと使っていても苦にならないのは最高ですね。

液タブやタブレットPCの描き心地に関わる視差や遅延、筆圧などはまったく問題ないレベルで、仕事のためのイラスト制作にも十分活用できると丸紅さん

Q.5

液晶ディスプレイのサイズや解像度、色再現性などはいかがでしたか?

丸紅画面サイズが10.1インチで解像度がWUXGA(1,920×1,200ピクセル)となっていますが、絶妙のバランスかもしれないと思います。最近は仕事でB6から文庫サイズの作品を制作する機会が多いのですが、拡大率50〜66.7%で表示するとちょうど実寸くらいのサイズで全体を見渡せるので快適です。

色再現性については、デフォルトだと青か赤が強く出過ぎてしまう印象だったので、色味は普段使っているモニターで随時確認しながら使っていました。欲を言えばもう少しRGBカバー率が高いとうれしいのですが、製品のコンセプトや位置付けを考えれば十分な品質なのではないかと思います。

視野角は広くて、本体を傾けても色味が変わったりなどということはないので作業しやすかったですね。安価な液タブだと色が大きく変わることもありますから……。

液晶は視野角が広く、角度をつけても見やすいとのこと

Q.6

ソフトは「CLIP STUDIO PAINT」を使ってらっしゃいますよね。

丸紅ええ。イラストは「CLIP STUDIO PAINT」で制作しています。OSが同じWindowsなので、普段使っている作業環境がそのまま利用できるのがありがたいですよね。とくに「CLIP STUDIO PAINT」の場合は、ブラシなどの設定をそのまま移すことができるので、いつもと変わらない感覚でスムーズに使い始められます。

CPUの性能やメモリの容量も、「CLIP STUDIO PAINT」での作業には十分だと思いました。イラストを描いていて動作が重くなることもありませんでしたし、他のアプリと切り替える際もスムーズでした。

普段、WindowsPCで使用している「CLIP STUDIO PAINT」などのツールが、そのまま使えるのもraytrektabの魅力

Q.7

ほかに気に入った機能などはありますか?

丸紅1台で完結しているので、取り回しはすごく楽ですね。液タブのようにPCにケーブルでつなぐ必要もありませんし。バッテリーも10時間くらい連続で使用できるので十分かなと思いました。10時間を超えたら人間の方が休憩したいですよね(笑)。

本体前面と背面に、それぞれカメラがついているのも便利だと思いました。イラストを描く際、身近なものをカメラで撮影して資料にすることがあります。通常はスマホで撮影した写真をクラウドストレージからダウンロードしてPCで使うという回りくどいことをしているのですが、そういう細かい手間が省けていいですね。

Q.8

raytrektabはどんな人にオススメできますか?

丸紅コンパクトで軽く、1台で完結しているデバイスなので、持ち運んで使ったり、楽な姿勢で絵を描きたいという人には最適な製品ではないでしょうか。視差や遅延も少ないですし、基本性能も十分高いので、液タブやタブレットPCを初めて使う人はもちろん、性能を上げステップアップしたいと考えている人にもオススメできます。

私のイラストのようにシンプルな描線の画風なら、「CLIP STUDIO PAINT」を使った作業で力不足を感じることも少ないかもしれません。今回は実際に書籍の仕事で使用しましたが、ラフや下絵から最終仕上げまでの工程をカバーしうる実力があると感じました。その意味では、初心者からベテランまで幅広い人に使ってみてほしい製品ですね。

液タブやタブレットPCを使ったことのない人や、安価な液タブからステップアップを考えている人にもraytrektabはオススメできる

製品情報

<raytrektab DG-D10IWP2>

raytrektab DG-D10IWP2

サードウェーブが2017年春に市場投入したクリエイター向けWindows 10搭載タブレットPCの最新モデル。Wacom feel IT technologiesを採用し、4,096段階の筆圧検知機能を持つデジタイザーペンを同梱しており、低遅延で高精度な描画を行える。10.1インチ、WUXGA(1,920×1,200ピクセル)の液晶ディスプレイや、8GBのRAM、128GBのSSD、約200万画素のフロントカメラと500万画素のリアカメラなどを搭載し、OSにWindows 10 Pro 64ビットを採用。製品には、セルシスのイラスト・マンガ制作ツール「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」のシリアルコードも同梱される。

グラフィックをより美しく進化させるタブレット DG-D10IWP2発売記念 三菱鉛筆コラボデザインのデジタイザーペンプレゼントキャンペーン中

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OS Windows 10 Pro 64ビット
CPU インテル Pentium Silver N5000
(1.10GHz-2.70GHz/4コア/4スレッド)
液晶 10.1インチ/1,920×1,200ピクセル
グラフィックス インテル UHDグラフィックス605(CPU内蔵)
デジタイザ Wacom feel IT technologies デジタイザ4,096階調
メモ 8GB LPDDR4
SSD 128GB SSD
カードスロット microSDXC 128GBまで対応
インターフェイス USB Type-C×1(給電兼用)、マイク入力・ヘッドフォン出力 共用端子×1
無線LAN IEEE802.11ac/a/b/g/n
Bluetooth Bluetooth 5.0
Webカメラ フロント:約200万画素/リア:約500万画素
サイズ 245(幅)×176(奥行き)×9(高さ)mm
質量 本体 約657g、ペン 約5g
付属品 ACアダプター/筆圧感知機能付きペン/三菱鉛筆9800 デジタイザペン(raytrektab用)/手書き風液晶保護フィルム/CLIP STUDIO PAINT DEBUT(シリアルコード同封)

イラストレーター・マンガ家
丸紅茜(まるべに・あかね)

2016年5月より同人活動、12月より会社員との兼業で商業マンガとイラストの制作を開始。装画やCDジャケット、MVなどさまざまな用途のイラストを手掛ける。