アーティスト・廣瀬祥子氏による物語と絵画を横断させた独特なアプローチの新作個展「7 Scenes」

2024.04.23 Tue

GALLERY ROOM・Aで、2024年5月19日（日）まで「7 Scenes [in the world created by people who can shed tears by watching movies and dramas]」が開催されています。ゲーム業界でのデザイナーとしての経歴を持つ廣瀬祥子氏の新作個展です。

【目次】

アートとイラストの領域を横断する活動
近未来のディストピアの物語がベース
会場はArtStickerが運営するギャラリー

アートとイラストの領域を横断する活動

廣瀬祥子氏は、2018年に東京藝術大学美術学部絵画科（油画専攻）を卒業しました。その後はゲーム業界でのデザイナーとしての活動を経て、現在はアートとイラストの2つの領域を横断した活動を展開しています。

廣瀬氏のアーティストとしての活動のコンセプトは「デジタルなもの・物質を伴い存在するものとの境界が曖昧になっている現代だからこそできる絵画へのアプローチ」です。デジタルで描いた作品をいったん出力し、その上に描画材で手を加える手法などを用いて絵画を制作しています。

同時に「ひろせ」名義で、イラストレーターとしても活躍中です。国内外のゲームやライトノベル、「初音ミク」などの人気作品にイラストを提供しています。2023年には伊勢丹新宿店での「初音ミク×イセタン」、2024年には札幌・渋谷パルコの「ART OF MIKU」にも参加しました。

近未来のディストピアの物語がベース

今回の新作個展では、廣瀬氏が創作した1つの物語をベースに、その作中に登場する7つの場面が作品として制作されました。ベースの物語の舞台となっているのは、ディストピア化した近未来です。その世界で排斥対象となった主人公の少女が、最期の旅路で訪れた場所が軸になっています。

本展の開催にあたり、廣瀬氏による「STORY」の草稿からは「実際、この世界はそんな綺麗なものではなかった。踏み潰された花束みたいにぐちゃぐちゃで見たくもない不条理に塗れていたけれど確かに美しかった」という言葉が紹介されています。物語と絵画を横断するような独特なアプローチの作品を鑑賞できる展覧会です。

会場はArtStickerが運営するギャラリー

会場は、アート・コミュニケーションプラットフォームの「ArtSticker」が運営しているコマーシャルギャラリーです。アートストレージとホテルを融合させた宿泊施設「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」の1Fにある「STORAGE 1」に、2021年にオープンしました。

建物のエントランスに面した1Fスペースに位置し、宿泊者以外でも見ることができる開かれた場所として展開されています。ギャラリーでの個展や作品販売はもちろん、ホテル客室での展示企画や宿泊プログラム、ワークショップ、トークイベントなども展開し、アートを多様な解釈の中で経験できる場です。廣瀬氏の個展の開催後には、5月25日（土）〜6月23日（日）に杉田万智氏の個展、6月29日（土）〜7月28日（日）にさめほし氏の個展などの開催が予定されています。