こちらの記事は2023年度にe-Taxについて解説した記事を、2024年度からの変更点を踏まえて内容を追加・更新した記事になります。本記事で解説している所得税の青色申告に関してはe-TaxのシステムやUIに大きな変更はありませんので、2024年度提出分についても、ぜひ参考にしてください。
※2023年度のe-Taxについて解説した記事はこちら
確定申告に苦手意識を持つ人やクリエイターも多いのではないでしょうか。税務署で申告する場合は、移動時間や待ち時間で拘束される時間も多く感じます。しかし、e-Taxを導入すれば、自宅からオンラインで好きな時間に申告ができます。導入までにはいくつかの手続きと事前準備が必要になりますが、一度慣れてしまえば確定申告の作業効率アップも期待できます。
ただ、Macユーザーの場合、悩ましいのはe-Taxの導入方法に関する情報が少ないという点です。そこで、本記事ではMacユーザーが多いクリエイターに向けて、e-Taxのメリット・デメリット、事前準備、ログイン・申請を進める手順などを詳しく解説します。
※2024年(令和5年分)の確定申告期間(所得税)は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)までとなっています。詳細については 国税庁の令和5年分確定申告特集のページ をご確認ください。
e-Taxのメリット
e-Taxを利用するとどんなメリットがあるのかもう少し具体的に説明します。
【e-Taxのメリット】 |
1. 申告期間中は24時間いつでも提出可能 |
2. 添付書類を提出しなくてもよくなる |
3. 還付のスピードが早い |
4. 青色申告の特別控除額が10万円アップする |
1.申告期間中は24時間いつでも提出可能
e-Taxを利用すれば、税務署の執務時間以外でも受付システムが稼働している時間帯であれば申告が可能になります。特に、確定申告期間中は土日祝日を含めて24時間(メンテナンス時間を除く)申告が可能です。
2.添付書類を提出しなくてもよくなる
e-Taxでは、源泉徴収票や社会保険料控除証明書など、紙の確定申告の際に添付する必要のある書類の提出を省略することができます。ただし、各書類は5年間保管し、税務署から提出または提示を求められた場合は応じなければいけません。
3.還付のスピードが早い
還付される税金がある場合、紙の書類による手続きでは、実際に還付されるまでに通常1ヶ月〜1ヶ月半程度の時間を要します。一方で、e-Taxを利用した場合は、通常3週間程度で還付処理されます。
4.青色申告の特別控除額が10万円アップする
青色申告の特別控除額は、2018年の税制改定までは上限が65万円でした。この額が2020年度分の確定申告以降、55万円に減額されています。しかし、e-Taxを利用すれば特別控除額は以前と変わらず65万円で処理することができます。
e-Taxのデメリットと注意点
e-Taxのデメリットや導入にあたっての注意点も確認しておきましょう。
【e-Taxのデメリットと注意点】 |
1. 申告までの準備に手間がかかる |
2. 数字が合わないと先へ進めず受理されない |
3. ソフト版はWindowsのみ・Web版もMacに非対応の機能がある |
1.申告までの準備に手間がかかる
e-Taxを行うには、マイナンバーカードを作成する(マイナンバー方式)、利用者識別番号/暗証番号を登録する(ID・パスワード方式)、申告に必要なソフトをインストールするといった準備が必要になります。また、ある程度パソコンの知識がないと、e-Taxのサイトにログインする際も、認証やパスワードの入力などで手間取る可能性があります。
2.数字が合わないと先へ進めず受理されない
e-Taxは申告書類の数字に少しでもミスがあると次のステップには進めず、申告を完了することができません。そのため、青色申告・確定申告の提出書類作成に自信のない方は、余裕を持って申告を行うように注意する必要があります。自宅で申告できるからといってギリギリに提出しようと考えていると、申告を完了できずに期間内に書類を提出できないといったケースも十分に想定できるからです。しかし、この特徴は裏をかえせば計算ミスなどの間違いを防ぎやすいとうメリットでもあります。
3.ソフト版はWindowsのみ・Web版もMacに非対応の機能がある
Windowsを利用している場合は、ソフト版のe-Taxソフトを端末にインストールして作業をすすめることができます。しかし、Mac版ではソフト版を利用することができずWeb版e-Taxソフトにログインして作業をすすめることになります。また、e-Taxには、会計ソフトから直接データを取り込む機能も搭載されていますが、Mac用の会計ソフトには、e-Taxのデータ取り込みに対応していないものもあります。
2024年の変更点
▶︎自動入力の対象項目
2024年からの変更点は、マイナポータルとの連携による自動入力の対象となる項目が増えたことです。収入額や控除額に関する計算や入力が不要になるので、より効率的にe-Taxによる申告作業を進められるようになります。以下が自動入力の対象となる項目です。
● 収入関係
【NEW】給与所得の源泉徴収票(令和6年2月以降とされる情報もあり)
公的年金の源泉徴収票
特定の株式口座
● 控除関係
医療費・ふるさと納税
生命保険・地震保険
社会保険(国民健康保険料・【NEW】国民年金基金掛金)
【NEW】iDeCo ・【NEW】小規模企業共済掛金
住宅ローン控除関係
※【NEW】がついているものが令和6年1月以降に自動入力の対象となるもの
マイナポータルに関しては最新事情も踏まえて「e-Taxなどの確定申告前にやっておくべき事前準備「マイナポータル」の基本的な使い方(2024年度版)」という記事で解説していますので、そちらも参照してみてください。
▶︎インボイス制度
後述しますが、もう一つ大きく変更されるのがインボイス制度に関して変更される消費税の申告です。詳細は国税庁の「インボイス発行事業者の登録を受けた方へ」といったページも確認してみてください。
※2024年(令和5年分)の個人事業主の消費税および地方消費税の納税期限は2024年4月1日(月)までとなっています。詳細については国税庁の令和5年分確定申告特集のページをご確認ください。
2024.02.01 Thu