クリエイターズ・プロダクト/CREATOR'S PRODUCTS
細い線や鮮やかな色の再現性の高さに驚き!
人気グラフィックデザイナーの玉野ハヅキが
クリエイター向け27型4K UHDモニター
PD2706UAを試す
パソコンで作業をする際に、大部分の時間を見つめて過ごすことになるのが“モニター”です。デザイナーやイラストレーター、フォトグラファーなどのクリエイターにとっては制作物の仕上がりにダイレクトに影響するため、色の再現性はもちろん、解像度や階調表現力、機能性などさまざまな点で高水準な製品が求められます。メーカーによってはこうしたクリエイター向けに画質や機能性を高めた製品を発売しているところも少なくありません。
アーティストのロゴやエンタメ分野のアートワーク、グッズデザインなどを中心に活躍するアートディレクター/グラフィックデザイナーの玉野ハヅキさんは、数年前にベンキュージャパンのデザイナー向けモニターを導入。以降、クライアントワークや自主制作のアートワークなど、さまざまな作品の制作に活用してきたといいます。今回は、そんな玉野さんに同社のクリエイター向けモニター最新鋭機「PD2706UA」を試してもらい、その使い心地を伺うことにしました。
- 玉野さんが評価した「PD2706UA」のポイント
・ベゼルレスの洗練された本体デザイン
・細い線が鮮明に再現される4K UHDの高解像度
・色域の広さと色再現性の高さ(Display P3/DCI-P3を95%、sRGB/Rec.709を99%をカバー)
・USB Type-Cケーブル1本でMacBook Proに給電しながら使用可能
・単色のベタ塗りでもムラが気にならない均一な画面表示
・作業スペースを確保しやすいモニターアームが標準で付属
BenQ PD2706UA の特徴1
「ケーブル1本で接続がすむのが思った以上に便利」
玉野さんは現在、制作の際にMacBook Proをベンキューのデザイナーモニター「PD2700Q」につないで使用しているとのこと。今回試してもらった「PD2706UA」はその後継機に当たり、画面サイズは同じですが解像度がWQHD(2,560×1,440)から4K(3,840×2,160)に向上しているなど、さまざまな点でスペックアップしています。
──そもそも現在使用されているベンキューのモニターを選んだ理由は何だったのでしょうか。
玉野 もともとは知人から譲り受けた27型のモニターを使っていたのですが、光沢のあるグレアパネルのうえ経年劣化による表示の不具合で目が疲れるようになって。同じサイズで、色再現性などのスペックが高く、できるだけベゼルが目立たないデザインのものを探して候補を絞りました。レビューや口コミなども参考にしたのですが、ちゃんとデザイナー向けに考えて開発されていることや価格的にも手頃だったので、最終的にベンキューの製品を選びました。
──27インチというサイズを選んだ理由は?
玉野 実際に今までも使っていて、画面の縦のサイズ感がちょうどよかったのが理由です。映像のお仕事をするときは、16:9のアスペクト比をフルで表示しても作業スペースに余裕がある横長のウルトラワイドモニターも使ってみたいなと思いますが。普段はベンキューのモニターをメインに、MacBook Proの内蔵モニターをサブで使っています。MacBook Proの方は資料などの確認用で、作業自体はメインモニター上で完結しています。
──今回「PD2706UA」を使ってみた印象はいかがですか。
玉野 MacBook Proとの接続がとにかく楽!です。USB Type-Cケーブル1本で給電もできてしまうので机周りをスッキリできるのがいいですよね。今使っているモデルだとMacBook Proにディスプレイケーブルと電源ケーブルの2本をつなぐ必要があるので。私の場合、作業する際はペンタブレットも使っていて、どうしても作業場がケーブルでごちゃごちゃしやすいんです。仕事の効率やクオリティに直接つながる部分ではないのですが、ケーブルを減らせるのはうれしいですね。
──確かにUSB Type-Cケーブル1本で映像と音声、データ、電力を伝送できるのは便利ですよね。
玉野 事務所に設置する場合はとくに助かります。ほかのメンバーがモニターを使いたい時でも、ケーブル1本抜き差しするだけで済みます。
「PD2706UA」は映像入力端子としてHDMI 2.0とDisplayPort 1.4、USB Type-Cの3系統を備えており、最大で3台のデバイスをつないで切り替えながら利用することが可能です。玉野さんの話にもあるように、そのうちUSB Type-Cポートは映像や音声だけでなく電力やデータも伝送できます。MacBookシリーズのように端末側のUSB Type-Cポートが対応していれば、ケーブル1本でコンピューター本体を充電しながらその映像や音声をモニターに出力することが可能。そのためMacBookモニターとしての使い勝手に優れるのも大きな特徴です。
BenQ PD2706UA の特徴2
「頭の中で仕上がりの色を補わなくても、画面上でビシッと再現できることに感動」
「PD2706UA」はクリエイティブのプロ向けに独自技術で色精度を高めた「AQCOLOR」シリーズのひとつ。部品・材料の選定や製品設計の段階から色精度を意識して開発されており、工場出荷時には個別に精密な計器でキャリブレーションが行われています。また、モニターの性能をはかる指標として広く使用されているCalMAN認証およびPANTONEカラー認証も取得。そのため、購入してすぐ安定した品質かつ正確な色で作業することが可能です。さらに独自の輝度ムラ補正技術による均一ユニフォーミティ(ムラ補正)も実現。このほか、VESA DisplayHDR 400の認証も取得しHDRコンテンツを高品質に再現できるなど、映像編集や動画モニターとしての使い勝手も追求されています。
──画質や色再現性についてはいかがでしたか?
玉野 今回、Macの画面に近い色味を再現する設定(M-Bookモード)で使ってみましたが、MacBook Proと色がピッタリ合っている印象です。これくらい色が近いと違和感なく作業できますし、仕上がりもイメージしやすいです。普段はこのM-Bookモードが搭載されていないので、モニターだけでなく、念のためMacBook Proやスマートフォン、iPadでも表示してみて、色を確認するようにしているので。
──実際に成果物の色がモニターで見てイメージしていた色と違って困ったことはありますか?
玉野 ほかの画面で確認して色味が大きく違うときは修正しています。印刷物は自分の中でよく使う色のCMYK値が決まっていて、特別な指定がない限りそれを使うことが多いので、そこまで問題になることはないのですが、「PD2706UA」なら、モニター上の確認だけでも問題なく仕上がりイメージがつかめるので、効率はかなり上がりそうだと思いました。それに彩度高めの色がすごく綺麗です!
──「PD2706UA」はDisplay P3/DCI-P3を95%、sRGB/Rec.709を99%をカバーしていて、色域が広いのも特徴になっています。
玉野 例えばアイドルの方のジャケットやアーティスト写真を制作する際などは、印刷データとWebデータの両方が必要になることがほとんどです。そういう時は基本的に印刷データを基準に作るのですが、配信やアーティスト写真ではWeb用データの方が使われる機会が多いので、できるだけ明るく綺麗に見えるようRGB用に調整することがあります。その際、彩度やコントラストを上げすぎて肌色が不自然になってしまうと困りますよね。「PD2706UA」はその辺りの再現性がしっかりしているので、安心して作業できるのがよかったです。
──玉野さんは単色のベタ塗りの作品も多いですよね。色ムラなどは気になりませんでしたか?
玉野 実際に表示してみても、ムラなく綺麗に見えるのでまったく問題ないと思います。解像度が高いこともあって、細い線やこまかい文字がクッキリ綺麗に見えるのもいいですね。仕事によってはヘアラインのように細い線で構成されたロゴや、細かいパスを多用したアートワークも少なくないので助かりますね。
──玉野さんが普段使用されているモニターの解像度はWQHD(2,560×1,440)ですが、今回の製品は4K(3,840×2,160)です。やはり違いを感じますか?
玉野 WQHDだと実寸サイズで表示した場合に、細い線やこまかい文字の輪郭がボヤッと見えてしまうことが多少はあります。そういったときは頭の中で「印刷したらだいたいこんな感じになるだろう」と補ったり、拡大表示して問題ないか確認したりするのですが、「PD2706UA」だと実寸でもボヤけたり潰れたりしないですね。そこに解像度の高さを感じました。とくにベタ塗りかと思うほど細くて密度の高い線で表現した影や、CDジャケットに記載する級数の小さな規定文、グラデーションにこまかいテクスチャをかけて出した質感などが、画面上でビシッと再現されているのには驚きました。拡大・縮小を繰り返したり、実際にプリントしたりしなくても、印刷したときのイメージがつかみやすいのは心強いです。
BenQ PD2706UA の特徴3
「モニターアームが標準で付属するのも大きなメリット」
今回玉野さんに試してもらった「PD2706UA」は、ベンキューオリジナルデザインのモニターアームが付属するモデル。同等のスペックでモニターアームの代わりにスタンドを同梱した「PD2706U」も用意されており、作業環境や好みに合わせて選ぶことが可能です。普段からモニターアームを使用しているという玉野さんに、そのメリットも質問してみました。
──モニターアームを使用している理由を教えてください。
玉野 現在私が使っているモニターはスタンドが付属するタイプでしたが、サードパーティ製のモニターアームを購入してつけています。仕事をするとき、いつも机の上にA4サイズのメモ用紙やペンタブレット、キーボードなどを置いているので、モニターの下のスペースが広い方が助かるんですよね。ラフデザインのときはiPadも手元に置いて使いますし。すごくこだわりがあるわけではないのですが、机周りがスッキリする方がいいかなと思って使っています。
──そうすると、最初からモニターアームが付属して10万円前後の価格は魅力的?
玉野 私もそうでしたが、モニターを購入する際に二桁万円を超えるかどうかを基準にする人って多いと思います。モニターアームを別に買おうと思うと、そのぶん予算も必要になりますから最初から付属するのは嬉しいですね。「PD2706UA」のアームは動きも滑らかですし、高さや角度の調節もしやすく、デザインも統一感があっていいので、設置性に問題がなければいい選択肢だと思います。
──モニターアームのデザインの話が出ましたが、ディスプレイ本体のデザインはいかがですか。
玉野 ベゼルが目立たないおしゃれなデザインは、やはりすごく気分が上がります! 個人的には前面にロゴがなくて見た目がスッキリしているのも、“ザ・モニター”という感じがしなくていいですね。カラーモードの変更や、輝度、音量などをボタンやダイヤルに割り当てて手元で簡単に切り替えられる「ホットキーパック G2」が付属するのも便利だと思いました。カラーモードのうちデザインモードは普段もときどき使用しますが、モード切り替えのために本体のボタンを手探りで操作するのはちょっとめんどうに感じることもあるので。
BenQ PD2706UA の特徴4
「グラフィックデザイナーやイラストレーターなど色にこだわるクリエイター全般に向いているモニター」
──カラーモードに関しては、画面を2分割して異なるモードを並べて表示できるDualView機能も搭載されていますね。
玉野 デザインモードだと髪の毛などの暗い部分を見やすく調整して表示してくれるので、その見え方をイメージしたままSNSなどにアップしてしまい「あれ? 思っていたのと違う」となることがあります。DualViewで標準のカラーモードと見比べながら作業すれば、そうしたミスを防げるのは便利かもしれませんね。
このほかの便利な機能には、モニターのUSBポートに外付けのキーボードやマウスをつなげると、2台のパソコンで共有できる「KVM(キーボードビデオマウス)スイッチ」機能が搭載されています。使い慣れたキーボードやマウスをそのまま使えるので作業効率の向上に役立つでしょう。
また、画面上に小さなウィンドウで別の映像ソースを表示できるPIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)、画面を最大2分割してそれぞれに異なる映像ソースを表示できるPBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)なども、複数のパソコンをつないで使うケースを想定して搭載されている便利な機能です。
──最後に「PD2706UA」を使ってみての感想と、どんな人におすすめしたいと思ったかを教えてください。
玉野 個人的にはMacBook Proとケーブル1本で接続できて給電までできるところや、M-BookモードでMacと簡単に色味を合わせられることなどが印象に残っています。今回はパソコンだけでなくiPadにもつないで使ってみましたが、手元の画面をモニター上に大きく映すことができておもしろいと思いました。ベゼルレスで本体デザインが洗練されているのも魅力的です。
それに色再現性や解像度が高いので、グラフィックデザイナーやイラストレーターなどの色にこだわるクリエイター全般に向いたモニターだと思います。その中でもとくに、Illustratorで細かいパスを使って柄を描く人や、強弱のついた細い線を使う人にはすごくいい製品。あとは、やっぱりモニターアームが最初から付属するので、作業スペースをスッキリさせたい人にもおすすめです。スペックが理想的なので、私もモニターを買い替える際はぜひ候補に入れて検討したいと考えています。
AQCOLOR 27インチ USB Type-C, P3 95%カバー
4K HDR400対応 デザイナーモニター PD2706UA
サイズ / パネル / バックライト | 27型ワイド / ノングレア・ IPS / LED |
解像度 | 3840 x 2160 (4K UHD) |
表示サイズ | 596.7 x 335.7 mm |
表示色 | 約10億7000万色 |
画素ピッチ/画素密度 | 0.155 mm / 163ppi |
アスペクト比 | 16:9 |
コントラスト比 | 1200:1 |
輝度(cd/㎡) | 350 cd/㎡(HDR時400cd/㎡) |
視野角(左右/上下) | 178°/178° |
応答速度 | 5ms GTG |
高さ調整 / スウィーベル | 150 mm / 左右:275°/275° |
ティルト角度 | 上下:-5°/30° |
VESA規格 | 100 x 100 mm |
電源 | 内蔵 |
消費電力 最大/標準/エコ | 230W / 45W /エコなし |
スピーカー | 2.5W x 2 |
ヘッドフォン出力端子 | ○ |
入出力端子 | HDMI 2.0 DisplayPort 1.4 USB Type-C(90W給電) |
USB | USB Type-C x1 USB3.2 Gen1(Downstream) x 3 USB3.0 (Upstream) x1 |
本体サイズ(WxHxD) | 613.8 x 552.7~702.7 x 463 mm |
本体重量/梱包重量 | 9.1kg / 12.6 kg |
フリッカーフリー ブルーライト軽減 | ○ ○ |
保証期間 | 3年保証 センドバックサポート対象 |
その他詳細は公式サイトにて | https://x.gd/wVom0 |
価格(2024年2月時点) | 94,500円(税込) |
2024.02.28 Wed