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020 問題解決とコミュニケーションに役立つロジカル・シンキング-標準ウェブ制作完全ガイド

2024.4.19 FRI

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標準ウェブ制作完全ガイド

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Article Number020 問題解決とコミュニケーションに役立つロジカル・シンキング

ロジカル・シンキングはコンサルタントだけに必要なスキルではない。Web制作のプロジェクトではクライアントや制作チームでの会議、企画書・提案書や報告書作りなど、論理的な思考と説明を求められるシーンは非常に多い。ここでは、ロジカル・シンキングを身につける第一歩として基本の考え方と方法を紹介する。

Keywords:(A)ロジカル・シンキング (B)ピラミッド・ストラクチャー (C)ロジックツリー (D)帰納法 (E)演繹法 (F)MECE

ロジカル・シンキングは物事をわかりやすくする

ロジカル・シンキング(A)とは論理的思考のことだ。小難しく考えるためのものという印象を持たれていることも多いが、実際はその逆で、複雑なものを構造化してシンプルにしたり、伝わりやすく整理したり、漏れやダブりをなくすものである。ロジカル・シンキングは「情報や思考を整理すること」と、「わかりやすく再構成すること」ができるのだ。それによって、伝えたいことが明確になり相手にも理解されやすくなるし、問題を発見し解決する道をいち早く見つけられるようにもなる。

論理の基本構造はピラミッド型

論理の基本構造はピラミッド型で、ピラミッド・ストラクチャー(B)[用語1]またはロジックツリー(C)と呼ばれる【図1】

【図1】 ピラミッド・ストラクチャー
【図1】ピラミッド・ストラクチャー

ピラミッドの頂上に主題(疑問)を置き、「Why so?(なぜ)」という観点で下へ枝を広げるのだ。また、下からは「So what?(それゆえに、したがって)」で上へつながる。これが構造の基本形態で、階層に制限はないが、「なぜなぜ5 回[用語2]のように、「Why so?(なぜ)」を5 回行って掘り下げることで確度を高めることができる。また、同階層とひとつ上の要素は、帰納的または演繹的に構成されている必要がある。帰納法と演繹法は仮説を立てたり、論理を展開するにあたり必要な考え方なので覚えておこう。

まず帰納法(D)は、個別の事例から普遍的な法則を見いだそうとする推論方法。有名な例では、「ソクラテスは死んだ」「プラトンは死んだ」「アリストテレスは死んだ」よって「人間は必ず死ぬ」というものがある。導かれる結果の正しさは、事例の豊富さや確かさに左右されるが、理解が容易なのがメリットだ【図2】

【図2】 帰納法
【図2】帰納法

演繹法(E)は、三段論法とも呼ばれ、一般論やルールなどの大前提と、観察からわかった小前提から、結論を導き出す方法。つまり、「すべての人間は死ぬ」そして「ソピラミッド・ストラクチャー図1クラテスは人間である」よって「ソクラテスは死ぬ」ということになる。順番に論理が展開されていくので、ひとつ間違うと論理がすべて破綻してしまう危険があるが、前提が正しければ結論も正しいものになる【図3】

【図3】 演繹法
【図3】演繹法

ダブりなく、モレがないよう考える

ピラミッドの同一階層に、ダブりやモレがあったり、突飛なものがあったりすると論理が破綻し、結論が導き出せないか、説得力のないものになる。ダブりなく、モレがないよう考えることを、MECE(F)(Mutually Exclusiveand Collectively Exhaustive)という。たとえば、人間を、男性・女性で分けるのはMECEだが、幼児・子ども・大人と分けるとMECEではないということになる。また、人間を、Aさん・Bさん・Cさん……と分けると、膨大になりすぎるので、同階層の要素が増えすぎないような分け方をすることが、MECEのポイントだ。

MECEに考えるためにはフレームワークを活用するとよい。戦略やマーケティングの項で解説した「3C 分析」、「SWOT 分析」、「4P」、「バリュー・チェーン[用語3]などを使えば網羅的に考えることができる【図4】。議論や思考において、常にMECEかどうかを確認する癖をつけておきたい。

【図4】 3C分析を利用したピラミッド・ストラクチャー
(▼クリックすると大きく表示されます。)【図4】3C分析を利用したピラミッド・ストラクチャー

[用語1] ピラミッド・ストラクチャー
主張とその根拠の構造のことで、通常は主張を頂点として根拠がピラミッド上に配置されるためピラミッドと呼ばれる。構成要素はMECE であることが基本である。

[用語2] なぜなぜ5回
トヨタ自動車で、業務改善を目指して生まれた言葉。「なぜ」を繰り返して原因を掘り下げることで、根本的な問題をみつけることができるという意味。

[用語3] バリュー・チェーン
ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱した概念で、製造業者において製品が消費者に届くまでの付加価値を生み出す連続したプロセスのこと。


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