こんなオフィスで働きたい! 第10回コクヨ株式会社(KOKUYO Co.,Ltd.) 後編 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

こんなオフィスで働きたい! 第10回コクヨ株式会社(KOKUYO Co.,Ltd.) 後編

2024.4.20 SAT

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オフィス潜入リポート「こんなオフィスで働きたい!」

第10回 コクヨ株式会社(KOKUYO Co.,Ltd.) 後編


前編はこちら >> 第10回 コクヨ株式会社(KOKUYO Co.,Ltd.)前編


フリーアドレスなのはもちろん、エコに対する取り組みもとっくに定着ずみ、おまけにオフィスにしてショールームでもある。そんなコクヨの実験オフィスが「エコライブオフィス品川」。単なる省エネ化やコスト削減ではなく、もっとクリエイティブで、もっと生産的なエコを体現するこの次世代空間。オフィスに関することは十八番であるコクヨならではのユニーク空間を、Mコクヨファニチャー株式会社 MD本部ブランドコミュニケーション部 広報担当の河村美紀さんに案内していただきました。



kokuyoweb2●コクヨ株式会社

1905年に和帳の表紙をつくる会社として創業。以後、文具やオフィス家具、事務機器をはじめ、人々が働く場所に必要なあらゆる商品を、製造・販売する会社へ。現在のブランドメッセージは、オフィスに創造性、効率性、快適性を提供していく姿勢を表現した「ひらめき・はかどり・ここちよさ」。代表的な商品には、1975年から2011年の36年間で、累計約24億冊を出荷した「キャンパスノート」などがある。

http://www.kokuyo.co.jp/











天井から外光が降り注ぐ場所にはベンチが。ここで仕事に臨むこともできる。屋外に設置された温度センサーによって、外の気温、湿度が心地良いようなら、自動的に外気を室内に採り入れてくれる

天井から外光が降り注ぐ場所にはベンチが。ここで仕事に臨むこともできる。屋外に設置された温度センサーによって、外の気温、湿度が心地良いようなら、自動的に外気を室内に採り入れてくれる

 

 

フリーアドレス制の空間には、下にバッグなどを収納できるイスを配備。品川勤務の社員だけでなく、霞ヶ関勤務の社員が一時的に利用することも多いからだ

フリーアドレス制の空間には、下にバッグなどを収納できるイスを配備。品川勤務の社員だけでなく、霞ヶ関勤務の社員が一時的に利用することも多いからだ

 

 

ソーラーパネルから蓄電中。東日本大震災以降、急激に注目されるようになった非常時用の必需品のひとつ

ソーラーパネルから蓄電中。東日本大震災以降、急激に注目されるようになった非常時用の必需品のひとつ

 

 

テレビ会議システム。これも非常時に活用されるもの。電話が通じない、交通機関が麻痺して移動できない、といったときにはここが災害対策本部に

テレビ会議システム。これも非常時に活用されるもの。電話が通じない、交通機関が麻痺して移動できない、といったときにはここが災害対策本部に

 

 

アクティブ、ひらめき、集中、タイムアップ、エコ、くつろぎなど、仕事にあわせてモードを使い分けられる照明システム。ふたつのパラメーター「明るさ(ルクス)」と「色温度(ケルビン)」の組み合わせによって、これらモードは導き出される

アクティブ、ひらめき、集中、タイムアップ、エコ、くつろぎなど、仕事にあわせてモードを使い分けられる照明システム。ふたつのパラメーター「明るさ(ルクス)」と「色温度(ケルビン)」の組み合わせによって、これらモードは導き出される

 

 

博報堂、アットアロマ、コクヨの三社で開発したアイデアが生まれる場所「IDEA LAB」。部屋の壁4面すべてがホワイトボード。肩からかけられるバッグに収納されたペン、付箋などでどんどん壁にアイデアを書き出していける。リラックスできるアロマの香りもアイデアを出す際には効果大

博報堂、アットアロマ、コクヨの三社で開発したアイデアが生まれる場所「IDEA LAB」。部屋の壁4面すべてがホワイトボード。肩からかけられるバッグに収納されたペン、付箋などでどんどん壁にアイデアを書き出していける。リラックスできるアロマの香りもアイデアを出す際には効果大

博報堂、アットアロマ、コクヨの三社で開発したアイデアが生まれる場所「IDEA LAB」。部屋の壁4面すべてがホワイトボード。肩からかけられるバッグに収納されたペン、付箋などでどんどん壁にアイデアを書き出していける。リラックスできるアロマの香りもアイデアを出す際には効果大

博報堂、アットアロマ、コクヨの三社で開発したアイデアが生まれる場所「IDEA LAB」。部屋の壁4面すべてがホワイトボード。肩からかけられるバッグに収納されたペン、付箋などでどんどん壁にアイデアを書き出していける。リラックスできるアロマの香りもアイデアを出す際には効果大

 

 

コクヨから出版された出版物のほか、コクヨの社員の著作物、その他さまざまな分野の本がずらり並ぶライブラリー。このスペースは「オフィス」とは異なりグループ社員たちも活用できる

コクヨから出版された出版物のほか、コクヨの社員の著作物、その他さまざまな分野の本がずらり並ぶライブラリー。このスペースは「オフィス」とは異なりグループ社員たちも活用できる

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メタボ解消の強い味方、ではなくペダルを踏めば踏んだだけ発電できるフィットネスマシン(?)。こちらはまだ試験開発段階

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乾電池などにわずかに残されてしまう電力をひとまとめにして利用できる「微少電力回収システム」

乾電池などにわずかに残されてしまう電力をひとまとめにして利用できる「微少電力回収システム」

 

 

フリーアドレスの進化版、チームアドレス制がとられた執務エリア。デスクが固まっている島毎に、ひとつのチーム(部署)となっているが、島のなかでどのデスクを利用するかはフリー

フリーアドレスの進化版、チームアドレス制がとられた執務エリア。デスクが固まっている島毎に、ひとつのチーム(部署)となっているが、島のなかでどのデスクを利用するかはフリー

 

 

 

思い立ったらサッと島を作れる、使い勝手のいいデスクを導入。通称マトリックスアドレス

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変型天板を採用したデスク。3人で利用するため、ひとりあたり120度を占有。有効利用できる面積が広いことから、書類を広げたりする際には使い勝手がいい

変型天板を採用したデスク。3人で利用するため、ひとりあたり120度を占有。有効利用できる面積が広いことから、書類を広げたりする際には使い勝手がいい

 

 

在籍率が高い開発部門が使用するデスク。見ての通り、完全な円形でここもチームアドレス制。円の外に向かって座る場合、前から声がかけやすい上に、ふり返ればとチームのスタッフにも声がかけやすく、コミュニケーションは自然と活性化。円の中央には即座にミーティングに入れる円卓も用意

在籍率が高い開発部門が使用するデスク。見ての通り、完全な円形でここもチームアドレス制。円の外に向かって座る場合、前から声がかけやすい上に、ふり返ればとチームのスタッフにも声がかけやすく、コミュニケーションは自然と活性化。円の中央には即座にミーティングに入れる円卓も用意

 

 

人感センサーがはりめぐらせた天井。人の気配が一定時間途絶えたら、自動的に照明の量を落として電気を節約。トイレやエスカレーターなどには普及しているが、オフィスに全面的に採り入れている例はまだ珍しい

人感センサーがはりめぐらせた天井。人の気配が一定時間途絶えたら、自動的に照明の量を落として電気を節約。トイレやエスカレーターなどには普及しているが、オフィスに全面的に採り入れている例はまだ珍しい

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天井照明を抑える代わりに手元照明を併用。そのほうがエコの観点からすると消費電力は削減できる

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チームアドレス制の空間に配置されたイスには、サポート力の高い座り心地の良いものを

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固定の席がないため、社員に届く連絡物は個々のトレーに

固定の席がないため、社員に届く連絡物は個々のトレーに





オフィスの進化形は、人と人との新たな繋がりから。


 

111201_0040──オープンから3年間で、どういった部分に改良が加えられましたか?

 

河村:日々行われている細かなレベルのことでいうと、ガーデンで働く社員のために、サングラスや座布団、ひざ掛けを用意するといった工夫もたくさんありますが、最近あった大きな部分では、このオフィスの前提ともなってきた「フリーアドレス」(社員に固定のデスクがなく、自由にデスクを選べる制度)を改良し、チームアドレス制を一部導入したことです。実際にフリーアドレスを経験してみた結果、ものを開発するメンバーたちは数名のチームで業務に臨む機会が多いため、完全なフリーよりも、ある程度決められた一角(デスクのかたまり)に集いながら、ゆるやかなコミュニケーションをはかれたほうがいい、と考えたのです。

 

──三周年には「ECO +CREATIVE 3.0 〜繋がる・創る・学ぶ」をテーマに掲げられました。

 

河村: やはり東日本大震災があって自宅勤務を余儀なくされてみると、個々がオフィスにいないと繋がれないようでは不十分、働き方をもっと進化させる必要があると思ったのです。私たちはお客様や世の中を俯瞰しながら、自分たちがまずチャレンジして、新しいことを提案していかなければなりません。人がどうやって繋がっていくか、繋がりによっていかに知識の共有がされるか、またそこからいかに新しい発想が生まれるか。今そういったことを、より意識的に模索する必要性を感じています。これまでも「個人の集中」「チーム内コミュニケーション」には重点を置いていましたが、今回そこに「チーム外コミュニケーション」が加えられました。オフィスの進化形は、そういったことの模索を経て生まれてくるのだと思います。

 

──具体的にはいかにそれを具現化されるのでしょうか。

 

河村:まだ構想段階のものも多いのですが、出社しなくても働ける方法のひとつとしては、自宅のPCから社内のネットワークにつないで仕事ができる仕組みや、15分から使えるコクヨのレンタルオフィス「Desk@(デスカット)」をサテライトとして使用するといった案もあります。

 

ほかには弊社と繋がりのある企業3社と期間限定で双方のオフィスを貸し合う、といった取り組みも期間限定で行いました。そういった活動を通じて異業種間のディスカッションを起こし、知の共有や新たな発想を推進しはじめたところです。こういったアクションは、知的創造性を高めていくひとつの有効な切り口になるかもしれません。

 

──ここには、与えられた場所で仕方なく働くのではなく、職場の進化に前向きな方が大勢いる印象を受けます。

 

河村:それこそが、弊社が取り組んできた「ライブオフィス」という取り組みから醸成されてきたもののひとつです。エコ、クリエイティブに対する社員の意識改革を行う。そして普通のオフィスでは思いもつかないような創意工夫を実現する場にしていく。それこそが私たちがここでやるべきことだと思っています。

(取材・文:立古和智 写真:飯田昌之)



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