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デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第7回「ちょこっとファーム」(1/2)

2024.4.20 SAT

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デザイン・クリエイティブ目線で語る

ソーシャルアプリ制作の裏側

第7回 株式会社ドリコム「ちょこっとファーム」(1/2)


ドリコムがGREEおよびmixi上で提供している「ちょこっとファーム」は、No.1農園育成ゲームとしてリリースから2年間高い人気を博している。「ちょこっとファーム」のデザインのコンセプトやこだわり、ドリコムの今後のソーシャルゲームの展開について、取締役 ソーシャルゲーム事業本部長である長谷川敬起氏にうかがった。

ちょこっとファーム 「ちょこっとファーム」とは

2011年1月からGREEで配信されている農園育成ゲーム。野菜や果物、動物などのカワイイキャラクターをのんびり育てるほか、農園の柵や背景なども自分好みのデザインにすることができる。2011年12月からはmixiでも配信。多くのイベントやコラボレーションを仕掛け、2周年となった今も根強い人気を誇り、2013年2月にはGREEでのユーザー100万人を突破している。
URL http://jp.apps.gree.net/ja/841
GREE スマートフォン版 http://pf.gree.jp/841
mixi スマートフォン版 http://mixi.jp/run_appli.pl?id=35350


 Interview 1/2 

カワイイを追求して
のんびり遊べる育成ゲームを企画


株式会社ドリコム取締役ソーシャルゲーム事業本部長 長谷川 敬起氏
株式会社ドリコム
取締役
ソーシャルゲーム事業本部長
長谷川 敬起氏
2013年1月に2周年を迎えた農園育成ゲーム「ちょこっとファーム」は、“カワイイ”を追求したゲームとして誕生したと長谷川氏は話す。「当時は、さまざまなターゲットのお客様に楽しんでもらえることを考えて複数の企画を進めていました。同時期に開発していた陰陽師(2010年12月リリース)がカードバトル系であるのに対し、のんびりとしたカワイイ感じで、おもに女性をターゲットにしたのがちょこっとファームでしたね。陰陽師もちょこっとファームも、その時点でのGREEプラットフォーム上にはないゲームであったことも、開発を進めるキッカケとなりました」

GREEでのヒットに続き、2011年12月からはmixi上でも「ちょこっとファーム」を配信。ターゲットの異なるプラットフォームで多くの人に遊んでもらえることを狙ったドリコムだが、イベントや基本的なゲームの仕様は変えず、あくまで“カワイイ”ものが大好きな女性層をターゲットにしているという。しかし、ふたつのプラットフォームの違いから多少の仕様の違いは施しているようだ。「リアル向けとバーチャル向けの異なるソーシャルグラフであるため、ユーザー同士の関係性を考えた工夫はしています。たとえば、同じアクションを起こしてもゲームだけでつながっている人とマイミクでは効果が異なるようにしているのは、mixiならではの特長ですね」と長谷川氏は話す。


ユーザーの声を真摯に取り入れ
シンプルなかわいさを目指す


「ちょこっとファームはとにかくかわいさを追求してキャラクターづくりしています。制作チームのアプリ愛が強いのも、ゲームの特徴をつくり上げていますね」(長谷川氏)
「ちょこっとファームはとにかくかわいさを追求してキャラクターづくりしています。制作チームのアプリ愛が強いのも、ゲームの特徴をつくり上げていますね」(長谷川氏)
語感がカワイイことや手のひらの上で愛でられるイメージで「ちょこっと」という名前がつけられた「ちょこっとファーム」のコンセプトは、とにかく“カワイイ”ことで、キャラクターのデザインや色づかいに気を配って制作されている。それには、制作側がカワイイと思えるものをつくるだけでなく、ユーザーの反応を随時見ていくことが重要だ。「もちろん、最初からかわいくなるようにキャラクターデザインしています。しかし、運営していくなかで、お客様の反応を見て調整した結果が今のキャラクターになっていると思います」と話す長谷川氏は、「意外と失敗してしまうのは、虫系のキャラクターに多いですね」と笑う。

ちょこっとファームの制作チームでは、アートディレクターがコンセプトからアウトプットまで一貫して管理するようにしている。そこでは、かわいさを追求するために際立ったものにならないよう、なるべくシンプルなかわいさを目指して多くのユーザーが受け入れられるようにしている。また、イベントなども企画段階からアートディレクターが参加し、キャラクターづくりや世界観がブレないようにしているという。背景や柵などにもカワイイ要素が盛り込まれるようにしているが、キャラクターを目立たせるために、色がにぎやかになり過ぎないようにしていることも「ちょこっとファーム」の特長だ。

パーカーなどのグッズを制作チームが自主的につくっているのもユニークだ。
パーカーなどのグッズを制作チームが自主的につくっているのもユニークだ。




では、それらの過程を経てつくり上げられたキャラクターに対するユーザーの反応をどのように取り入れているのだろうか。長谷川氏は、「たとえば、新しい動物のキャラクターが生まれてイベントを企画したら、その動物をどれくらい獲りにいってるかを見てキャラクターの人気度を測っています。また、コミュニティへの書き込みを抽出して検索し、発言の熱量も調べていますね」と説明してくれた。

制作チームの“アプリ愛”も、カワイイキャラクターづくりやおもしろいゲームづくりに欠かせない要素だ。「ちょこっとファーム」の制作チームに入りたいという要望も多く、制作メンバーは誇りをもってゲームにかかわっているというのだ。独自にパーカーなどのビジュアルグッズをつくったり、手づくりでキャラクターの人形をつくるなどのゲームに対する愛情が、よい作品につながっているといえる。



ユーザーの声を取り入れながらシンプルなかわいさを追求したちょこっとファームのキャラクター。
ユーザーの声を取り入れながらシンプルなかわいさを追求したちょこっとファームのキャラクター。


(取材・文・撮影:野本幹彦)




>>> 後編に続く


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