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第1回 仕事メールのやり取りを一覧で見たときに感じるデザイン - 秋葉秀樹の人に伝えるデザイン

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秋葉秀樹の人に伝えるデザイン

第1回 仕事メールのやり取りを一覧で見たときに感じるデザイン

2013年8月21日
TEXT:秋葉秀樹


仕事メールのやり取りほど、急ぎで内容を追いたい時がある。これは、筆者とクライアントとの間でやりとりしたメールの履歴をたどっていったときに、ハッと気づいたことだ。日本人の慣習というべきだろうか、見てわかるとおり「○○様 いつもお世話になっております。○○です…」とつけてしまい、おもしろいほど同じような決まりのあいさつが一覧される(なお、メール画像についてはクライアントより掲載許可をいただいている)。


(クリックで拡大)


ビジネスマナーとしては確かに必要と思われがちだが、最近こういったやり取りは不要だという意見もあり、肯定派と否定派にわかれる。

効率よく短時間で会話のコミュニケーションをとる必要があるため、すぐに重要な内容を切り出すというスタイルは「余計な思考の分断」になりにくい、という意味でもメリットは大きい。以下は一例だ。

礼儀の大切さ:いつもお世話になっております、秋葉です、ご連絡ありがとうございます…
効率の大切さ:いいですね!でもこの一文をこう直すともっといいでしょうね…

誰に対してどんな立場の人がメールでコミュニケーションを取るのかは、人も事情もさまざまなので、良いとも悪いともいうべきではないだろう。

しかし、ちょっと待ってほしい。私たちはコンピュータ使うことで、こういった相反するふたつの大切さを失わずに「便利さをデザインする」ことはできないだろうか?


私たちがアプリをデザインするときは「なにからデザインするか?」が重要

もしも将来私たちがアプリケーションをデザインするのであれば、いま使う人が最短で目的を達するために「削る」というデザインが考えられないだろうか? 削るデザインといっても単に少ない機能を目指すということではなく、コンピュータがその人の状況に応じて冗長な情報を最適化するデザインをさす。たとえばコンピュータが人間の言葉をある程度理解し翻訳などができるようになった現在、毎回連投される「お世話になっております…」の部分に対して「折りたたんでしまう(展開可能な)」メールアプリをデザインするといった方法が挙げられる。重要な部分だけ斜め読みできると、それはそれで価値があるかもしれない。

下図はクライアントとのやり取り部分で「いつもお世話になっております…」「お返事ありがとう…」「遅くなって申し訳ございません…」などの部分を削った状態をシミュレートしたものだ。



(クリックで拡大)


こうやってみると、デザインが与える生活はまだまだおもしろく奥深いことが秘められているようだ。




秋葉秀樹

【著者プロフィール】
秋葉秀樹(あきば・ひでき)
株式会社ツクロア(tuqulore) 代表取締役/デザイナー

本業はデザイナー。DTP・グラフィックデザイン・Webフロントエンド全般・Flashゲーム開発・3DCGと幅広く携わる。主な作品は海遊館やサンシャイン水族館とコラボしたAndroid/iPhoneアプリ「Ikesu」。NFC技術を世界で初めて水族館で利用して魚をスマートフォン内に持ち帰られる体験を提供し、2ヶ月足らずで一万人が利用、人の集まる場所に私たちのデザインがどうビジネスに貢献するかをテーマに仕事をしている。
近著に『Firefox OSアプリ開発ガイド』(リックテレコム)。その他、共著として『10倍ラクするIllustrator仕事術』(技術評論社)や『すべての人に知っておいてほしい HTML5+CSS3の基本原則』(MdN)など多数。
2013年4月に株式会社ツクロアを設立。

●株式会社ツクロア:http://tuqulore.com
●秋葉秀樹個人ブログ:http://akibahideki.com/blog/
●Grad3 - Easy CSS3 gradient editor -:http://grad3.ecoloniq.jp/


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