第9回 Plag** - UI/UXがイケてる!おすすめスマホアプリ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第9回 Plag** - UI/UXがイケてる!おすすめスマホアプリ

2024.4.24 WED

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

Amebaのクリエイティブディレクターが徹底考察!
UI/UXがイケてる!おすすめスマホアプリ

第9回 Plag**

2015年8月27日
TEXT:鈴木伸緒(株式会社サイバーエージェント)


より良いユーザー体験を提供するうえで、スマホアプリにおけるUIの工夫やユーザーの心的効果を考慮したデザインなどを、サービスの機能ごとに紹介していく本連載。第9回目では、「Plag**」を取り上げる。

「Plag**」という名前は「伝染する・感染する」という意味の「Plague」からとっており、コンテンツの拡散性に特化したアプリとなっている。フォロー・フォロワーという概念を取り払った新種のSNSで、ヨーロッパを中心にサービス開始から6週間で10万ユーザーを突破して大きな話題となった。さっそく、その世界観を引き立てているUIやインタラクションを見ていこう。

Plag**
iOS版 https://itunes.apple.com/app/id933724754
Android版 https://play.google.com/store/apps/details?id=io.plague
アプリ紹介ページ https://plag.com


効果的な上下のフリックUI


Plag**の基本的な操作は、いたってシンプルだ。アプリを開くとホーム画面にPlagユーザーの投稿が表示され、拡散(Spread)したいと思えば上へ、スキップしたいと思えば下へフリックする、というのが基本操作だ。この上下のフリックUIが、Plag**最大のキモといってよいだろう。投稿したユーザーにとって情報が拡散されることがメリットとあり、閲覧するユーザーにとってストレスなく次々と投稿を閲覧できることがメリットとなる。

スマートフォンで情報を閲覧するときは上にフリックすることが多いが、Plag**では拡散するアクションとなる。ユーザーが次の投稿を閲覧しようと上にフリックすることで、投稿したコンテンツが拡散されやすくなる設計になっているわけだ。




また、フォロー・フォロワーという概念がないのも新しいポイントだ。たとえばFacebookでは、「いいね!」をしたらリアクションしてもらいたいという欲求が生まれがちだが、Plag**にはそれがまったくない。むしろ、いま見ている投稿にふたたび出合うことはほぼないので、しがらみを気にせずただ読み進めていけばよいのである。


拡散する様子をインタラクティブに


Plag**でのリアクションは、おもに拡散とコメントの2種類だが、拡散への比重が圧倒的に大きい。ユーザー同士の関係よりも、ユーザーと世界の関係性を重視しているためだ。




上図は、投稿してからどういう経路で世界に拡散されていったかをリアルタイムにアニメーション表示する画面だ。「ひとつの投稿に対して統計情報を表示するのは1週間」という制限を設け、そのなかでどれだけ拡散したかをグラフやインタラクティブなマップを使って表示される。これは、ほかのSNSにはない新しいユーザー体験といえよう。

この体験から得られるメリットは、3つある。ひとつは、友人やフォロワーがいなくても「世界のどこかにいるユーザー」によって投稿が広まっていく様子がひと目で確認できる点だ。この点こそ、フォロー・フォロワーという概念がなくてもSNSとして成立している要因といえるだろう。

もうひとつは、すべてのユーザーが平等である点だ。前述のとおり、各ユーザーに与えられた拡散のチャンスは、ほぼ1回きり。たとえ自分が著名人であっても、それは変わらない。純粋に投稿内容だけでどれだけ拡散したかを実体験できるため、ユーザーは平等感を感じることができるのである。

最後のひとつは、ユーザーが拡散力のある投稿を目指す点。前述のとおり、ひとつの投稿に対して統計情報は1週間のため、その間にどれだけ拡散するかを試行錯誤するようになる。結果的に、拡散性の高い投稿が増えるという仕組みだ。


Plag**から学ぶこと


Plag**はなんでも投稿できるわけではなく、テキスト・写真・投票のみに限定されている。そしてひとつの投稿で、この3つを使った画面を10枚まで追加できる。どのように使うかは、完全にユーザーの創造力に委ねられている。多くの機能を提供し、さまざまなニーズに応えようとするわけでもなく、型にはめて投稿させるわけでもなく、「ちょっとした制限」を加えることでユーザーに工夫する余地を残し、創造力をかきたてるアプリに仕上がっているのだ。こうした点は、Twitterの投稿文字数の制限、Snapchatの10秒で画像が消える制限など、大ヒットしたサービスには必ずといってよいほど入っている重要な要素である。

「機能はもちろん提供するものだが、“制限”も機能と同様に提供するものである」という点が、Plag**から学べる大きなポイントではないだろうか。



鈴木伸緒氏 【著者プロフィール】
鈴木 伸緒(すずき のぶお)/UIデザイナー・クリエイティブディレクター
2012年サイバーエージェント入社後、SNSを中心に複数サービスの立ち上げ&リニューアルを担当。「Ameba Ownd(https://www.amebaownd.com/go)」に立ち上げから参加し、iOS・AndroidアプリのUIデザイン、開発ディレクションを担当。


●1pixel:若手デザイナーに知ってほしい、UIデザインの現場
http://ameblo.jp/ca-1pixel/entry-12023692066.html

●Twitter
@nobgraphica
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在