知っておくべきホスティングサーバ新知識 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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第1回

技術の発達や時代のニーズに合わせ、ホスティングサーバも変化してきている。ホスティングサーバについての知識を深めることは、Webサイトをより確実に、効率よく構築・運営するための大きな力となる。本特集をとおし、Webサイトに関わる者であれば知っておきたい知識を身につけてほしい。


取材・文=中村 南



今月のラインアップ

Hosting
Guide 01

CPI

「CPI」
株式会社KDDI ウェブコミュニケーションズ

Hosting
Guide 02

ドメインキーパー

「ドメインキーパー」
株式会社ハイパーボックス

Hosting
Guide 03

マネージド・ホスティング

「マネージド・ホスティング」
株式会社スカイアーチネットワークス

SSL
Guide

COMODO SSL

「COMODO SSL」
株式会社コモドジャパン

Column

「必要な容量は?スペックは?サーバサイジングのコツ」



Hosting
Guide 01

大容量ディスクと豊富な
Webアプリケーションをオールインワンで提供

CPI

Link:www.cpi.ad.jp/
株式会社KDDI ウェブコミュニケーションズ


好評の増量キャンペーンを
正式サービスとして採用

 期間限定でハードディスクの増量キャンペーンを実施してきたCPIだが、好評につき正式サービスとしてアップグレードされたディスクを提供。最低でも50GBという、共用サーバサービスとしては業界最大クラスの容量を実現している。ECやコンテンツサービス、大容量データベースの運用など、他社共用サービスでは実現が難しいサイトの受け入れはもちろん、将来的なサイト規模の成長にも柔軟に対応できる点は魅力だろう。


 また業界ではじめて、他社サーバからの移転をサポートする「らくらくサーバー移転代行サービス」を実施。同社のサーバへ乗り換える際、メールアカウントやFTPアカウントの設定を代行するだけでなく、それぞれの契約ユーザーごとに専用のメールソフト設定マニュアルやFTPマニュアルを発行。クライアントにマニュアルを配布するだけでも、制作会社にとってのサポート負担は大幅に軽減されるはず。初心者を対象にした専門の電話サポートサービス「はじめて電話サポート」を提供するなど、サポート体制にも評価の高い同社だけに、サーバ運用経験の少ないクライアントでも安心して任せられるだろう。なお移転にあたって、HTMLファイルやCGIといったWebコンテンツの転送を依頼できるのも便利だ。


追加コストの必要なしに
サイト機能を拡充できる

 サイト運営に必要なWebアプリケーションがオールインワンで提供されるのも同社の特徴だが、なかでもCMSが充実。高機能なショッピングカートとブログツールのMovable Typeがライセンス込みで付属(プランX10を除く)するほか、携帯3キャリアに対応した「モバイン」がオプションで提供されており(上位プランには機能限定版の「モバインCMS」が無料で付属)、追加のコストを投入することなく携帯サイトを展開できるのは大きなアドバンテージだろう。独自SSLサーバ証明書(一部プランを除く)やウイルスチェックサービスやSPAMフィルタが標準で付属するなど、セキュリティ対策も十分だ。



Hosting
Guide 02

e-businessをサポートする
Web制作・中小企業の24時間パートナー

ドメインキーパー

Link:www.domain-keeper.net/
株式会社ハイパーボックス


コンサルティングパートナーとして
すべてのニーズに応える

 365日24時間の電話サポートという、業界トップクラスのサポート体制が評価されるドメインキーパーは、「お客様のパートナーとしてあらゆる声に応えていく」ことをモットーに多彩なサービスを展開。技術サポートのレスポンスの速さや解決力の高さはもちろん、日々発生するクライアントの要望や悩みに対して、電話によるコンサルティングや提案で応えるなど、中小企業のITパートナーとしても心強い存在だ。


 また同社では、共用サーバサービスの「blueBlock」から、専用サーバサービスの「blue Box」、ハウジングサービスの「blue Case」まで幅広いホスティングサービスを提供。加えて、ドメイン取得やメール配信サービス、サイト内検索サービスなどホスティングを活用するためのASP群を豊富に取りそろえているのも特徴だろう。すべての提供サービスが単一の窓口でサポートされるため、ホスティングに関するトラブルすべてをワンストップで解決できる強みにも注目したい。特に、サポート負担を減らしたい制作会社にとっては、メリットが大きい仕組みといえる。


BTO型メニューで
高いコスト削減効果を実現

 それぞれのホスティングサービスで、必要な機能だけを自由に組み合わせてプラン設定できる「BTO型メニュー」を採用していることが同社の特徴だが、そのためクライアントのニーズに合わせた高いコスト削減効果と、パフォーマンスを両立させるサービス提案が可能となっている。サーバのスペックアップやサービスのアップグレードに対応しているため、余計なコストをかけることなくサイトの規模拡大が可能なのも見逃せない点だ。


 なお同社ではホスティングに加えて、ベリサインやグローバルサインなど主要な認証局とのパートナー契約により、企業認証込みのSSLサーバ証明書を最大50%オフで提供するなど、セキュリティサービスも充実している。まさに、用途を選ばない総合ホスティングブランドといえるだろう。



Hosting
Guide 03

フルカスタマイズ対応で
複数台構成に威力を発揮

マネージド・ホスティング

Link:www.skyarch.net/
株式会社スカイアーチネットワークス


システム開発会社との提携で
サーバ構築をサポート

 特定のサービスメニューに依存するのではなく、フルカスタマイズでのサーバ構築を特徴とするスカイアーチネットワークスだが、導入時から専属コンサルタントがつくほか、事前に事業計画をクライアントと共有しながら、将来的な拡張を見据えたサイジングを行うなど柔軟性の高さもポイントだ。サーバ100台規模の構成に対応できるなど大規模ネットワークにも強く、ロードバランサによる負荷分散や帯域保証回線の提供などオプションも豊富。サーバのアップグレードや、ユーザーが自由にスペックを指定できるカスタムモデルの提供にも対応しており、ピンポイントで必要な機能を強化できる。


 また、DNSラウンドロビン(ひとつのドメインに対して複数のIPアドレスを割り当てる手法)による負荷分散にも無料で対応しており、手軽に複数台体制を用意できるのも魅力だろう。ほとんどの顧客が2台以上のサーバを利用する同社だけに、豊富な運用ノウハウが蓄積されているのも見逃せないところだ。大規模ネットワークの構築にはシステム開発会社との連携が欠かせないが、同社を通して提携会社に開発を依頼できるなど、制作会社が不得意な分野への支援にも期待できる。


フルマネージで
サーバ運用を委託できる

 標準オプションとしては提供されていないが、サーバ仮想化やNAS(ネットワークストレージ)、クラスタリングなどにも対応しており、まさにあらゆるニーズをカバーできるサービスといえるだろう。通常の専用サーバサービスに加えてハウジングサービスも提供されているため、コスト効率を比較したうえで両者を組み合わせて利用できるなど、システムの制約も少ない。もちろん、OSの選択や設定を含め、Webアプリケーションの組み込みなどソフトウエア面のカスタマイズも可能だ。サーバ管理運営のすべてをフルマネージで委託でき、クライアントに専任の技術者がいない場合でも、手軽に運用できる点は大きなメリットといえる。



SSL
Guide

SSL GUIDE書の
グローバルスタンダード

COMODO SSL

Link:jp.comodo.com/
株式会社コモドジャパン


ニーズに合わせて
豊富なラインアップを提供

 SSLサーバ証明書のベンダーとして、世界第2位のシェアを誇るコモドグループが、グループ初の合弁企業として、2008年の2月に設立した日本法人がコモドジャパンだ。すでに200万ユーザーに評価されているComodo社のサービスだが、日本語で契約できるだけでなく、日本円による決済も可能になるなど、さらに手軽に利用できるようになった点を評価したい。


 実在認証の必要がなく個人事業主でも取得できる「ESSENTIAL SSL」から、第三者機関による認証が行われる「INSTANT SSL」、次世代のサーバ証明書規格に対応し、金融機関などでも利用される高セキュリティな「EV SSL」まで、幅広い顧客ニーズに応える商品ラインアップを用意しているのも同社サービスの特徴だ。なかでも「マルチドメインSSL」は、ひとつのIPアドレスで100ドメインまで対応可能(同サーバ内)となっており、ドメインごとにSSLサーバ証明書が必要なケースでも価格を抑えることが可能となっている。フル機能で90日間無料のサーバ証明書を取得できるなど、実際に機能や動作を確認してから契約できる点も見逃せないだろう。


 なお、同社が認証サイトに発行するComodo独自のセキュリティロゴシールは、マウスをポイントするだけでリアルタイムな認証情報を表示するユニークなものだ。


低価格ながら
高度な保証を実現

 高度な実在認証プロセスを利用しているにもかかわらず、他社と比較してリーズナブルな価格が設定されているのも同社サービスの魅力だろう。2008年9月30日までの期間限定で、SSLサーバ証明書の標準価格を30%割引し、有効期間を90日間延長する「バリューアップキャンペーン」も実施されており、さらに手軽な価格となっている。パートナー契約による販売プログラムが提供されているため、制作会社がSSLサーバ証明書の組み込みを請け負う際にもメリットは大きいはず。


 SSLサーバ証明書に限らず、外部からの脆弱性診断を行う「ハッカーガーディアン」や電子メールの証明書など、同社が提供するさまざまなセキュリティ製品にも注目したい。



Column

必要な容量は?
スペックは?
サーバサイジングのコツ


 Webサイト制作を請け負う際に、サーバ選択を含めてクライアントから依頼されるケースは多いと思うが、何を基準にどういったスペックのサービスを選択すれば良いのだろうか。ホスティングサービスを運営する㈱クララオンラインでカスタマサポートを担当する寺尾氏とセールスを担当する秋元氏に、サーバスペックを見極めるためのコツと、クライアント満足度の高いサーバサイジングの秘訣について伺ってみた。


サーバ選びの基準は
Webアプリケーションにある

 ホスティング会社の出してきた見積もりがはたして適正なものなのか、スペック表に書かれた数値が何を意味しているのか、ホスティングサービス選びは制作会社にとってつねに頭を悩ませる問題だ。しかし、ディスク容量やデータ転送量の制限がネックになることは、ほとんどないと寺尾氏。


 「トータル100ページ前後のサイトを立ち上げるのに、まずディスク容量を気にする必要はないでしょう。ホスティングサービスによって、月ごとにデータ転送量の上限が設定されていたり、バンド幅が制限されていたりしますが、どのホスティンク会社でもかなり余裕を持った設定となっています。ストリーミングなどを行わない限り、データ転送量の不足が問題になる事例は、弊社ではあまりありません」


 たとえば、400KB程度のFlashファイルをトップページに置いたとしても、トータルの容量は500KB前後。月間の転送量制限が250GBならば250GB÷500KBと計算して、月に30万アクセスは楽に支えられる計算になる。


 「よくユーザーの方から、月にアクセス数がこれくらいでファイルの総容量がこれくらいですが、どのくらいの容量とスペックが必要ですか? というお問い合わせを受けるのですが、実はこういった情報はサイジングにはほとんど役にたちません。というのは、そのアクセスが何時に集中するのか、それとも平均的に来るかで状況は変わってくるからです。アクセスの最大の波がいつどのくらいくるのかが重要な情報になります」


 そして、さらに問題になるのはCPUやメモリといったサーバ自体のパフォーマンスなのだという。


 「静的なページでHTMLや画像ファイルを表示させるだけならば問題ありませんが、ショッピングカートやメールアプリケーションと連動したWebアプリケーションが動作すると、ひとつのアクセスに対して同時に複数のプロセスが立ちあがるため、どうしてもメモリを消費してしまうんです」


 特に、ユーザーに合った「おすすめ情報」などを提示するような動的なページを生成するショッピングカートなどのWebアプリケーションでは、商品情報を読み込むごとにデータベースのアクセスが発生して負荷がかかることから、パフォーマンスに大きく影響すると寺尾氏。そのためショッピングカートやCMSなど、クライアントがどういったWebアプリケーションの利用を想定しているかによって、サーバスペックを決める必要があるとのこと。また、意外にも、SSLサーバ証明書を組み込むと、リアルタイムでデータ暗号化と複号化を行う必要があるため、サーバ負荷が大幅にアップするという。


 「ショッピングカートやメール配信など、サーバに負荷をかけるWebアプリケーションを、ASPで利用するというのもひとつの解決法ではないでしょうか。なるべく動的ページを利用せず、定期的なバッチ処理で静的ページを生成させるなど、Webサイト制作の工夫でも処理数に大きな差が出てきます。また、プログラムのチューニング次第でパフォーマンスが10倍、20倍違うケースも珍しくありません。サーバの処理能力が限界に近づいても、Webアプリケーションやデータベースのチューニングで問題を解決できるケースは、意外に多いんです。システムの最適化に関しては開発会社の領域かもしれませんが、制作会社がWebアプリケーションの動作パフォーマンスを意識してサイトを構築することも重要だと思います」


サーバ増強も念頭においた
サイジングと予算設定を

 とはいえ、制作会社に十分な経験がなければサーバスペックの正確な判断は難しいもの。共用サーバのように、実際の性能が外部から見えにくいサービスではなおさらだ。実際のサーバサイジングにあたっては、何を基準にすべきなのだろうか。


 「ホスティングサービスの価格には、それなりの理由がありますから、基本的には値段なりと考えて問題ないでしょう。ただし共用サーバの場合、瞬間的にパフォーマンスを発揮できることもありますから、テストサーバにおける数値はあまり信頼しないほうが良いです。いちばん重要なのは制作会社が経験を積むことですが、あまり多くのホスティングサービスを利用すると、管理やサポート面の負担が大きくなります。なるべくいろいろなプランを提供するホスティング会社を選択し、順次上位プランに移っていくことが望ましいのではないでしょうか。同じ共用サーバサービスでも、上位のプランに移ることで、メモリ割り当て量や同時アクセス数の制限などが緩くなる場合がありますから」と指摘するのは秋元氏。ここで重要なのが、サーバのアップグレードに関するクライアントの意向だ。年間ベースで予算を計上しているクライアントの場合、サーバ増強が必要になったタイミングで予算を投下できないことも十分に考えられる。予算の自由度が低いクライアントに対しては、ある程度の余裕を見込んだ「オーバースペック気味の」サイジングが必要になってくるだろう。


 「最近のリッチアプリケーションでは、CPUやメモリを贅沢に使う傾向があります。サーバ機の選択にあたっては、できれば最新のマルチコアCPUを採用したもので、メモリ増設に対応したものが理想ですね。ただ、高性能な新型マシンに置き換えるより、複数台構成にした方が良いケースもありますから、まずはホスティング会社に相談してみてください」


データ転送量の制限を確認するには
データ転送量の制限に関しては、上記の簡単なシミュレーションで算出できる。ただし各ホスティング会社とも、かなり余裕をもった設定になっているため、データ転送量の制限によりサーバ移転を余儀なくされるケースは少ないとのこと

同社がオプションで提供するサーバリソース監視サービスの管理画面。CPU使用率やメモリ使用量などサーバ負荷の監視ができる。専用サーバサービスの場合、マシンのアップグレードや増設のコストが高くつくため、データベースやWebアプリケーションの最適化を行った方が効率が良いことも



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