“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!
第7回 株式会社グローバルメディアソリューション 濱 剛志さんの場合
株式会社グローバルメディアソリューションのアートディレクター、濱 剛志さん。子どもの頃から音楽が大好きで、プロのドラマーへの道をひたむきに目指していた濱さんに、思わぬ転機が訪れたのは、短大2年の時。椎間板ヘルニアを患い、プロとして演奏をすることが難しくなった彼が次に選んだのは、音楽と同じくらい打ち込めるクリエイティブ職だった。スタートは広告制作会社の営業、その後、制作の道へと突き進み、フリーランスから大手広告代理店の出向など、実にさまざまな経験を積むこととなる。2回目の転機は、何気なく話を聞きに行った株式会社グローバルメディアソリューション。社長との面接で心を動かされ、初めてITの会社への入社を決意することに……。29歳という若さで豊富な経験を持つ濱さんに、これまでの軌跡と現在の仕事についてお伺いしました。
[プロフィール] はま・たけし●熊本生まれ、東京育ちの29歳。尚美学園短期大学の音楽学科を卒業後、広告制作会社に就職する。クリエイティヴ職を目指していたが、最初は営業部に配属される。そのため営業の業務終了後に制作のアシスタントを夜間に行うというモーレツぶり。朝9時出社・夜中の3時に退社といった生活を経たのち、フリーランスとして独立。C.I.制作、飲食店のビジュアルプロデュース等の経験を積む。その後、一社を経てCM制作のスタッフとして大手広告代理店への出向も経験。2006年春、グローバルメディアソリューションに入社する。現在は同社のアートディレクターとして、インターネットサービス「nendo」のデザインや、自社のC.I.製作をはじめとするヴィジュアル管理に携わる。 http://www.gms2.net/ |
第1話 20歳。広告業界に足を踏み入れる。
──もともとミュージシャン志望だったと伺いました。
濱●そうですね。子どもの頃からずっとプロのドラマーの道に進みたいと思っていて、そのために音楽専門の短大に進学していたのですが……実は短大2年の時に、重い椎間板ヘルニアを患ってしまい、手術をすることになったんですね。それで演奏することができなくなってしまったんです。そんなわけで就職先を「どうしようかな」と……。それで、術後半年くらいだったもので「デスクワークならできるかも」と思いまして。
──「デスクワーク」とは、またえらく範疇が広いですね(笑)。
濱●ずっとドラマーになることしか考えてませんから、何にもわからないわけです。それで、音楽と同じくらい絵を描くことが好きだったのを思い出して、広告の制作だったらおもしろいかなと。何か「物を創る」ということであれば、熱意を持って打ち込めると思ったんですね。とはいえ、デザイナーの使うソフトなどもさわったことがありませんでしたし、どうやって創るのかもわからない状態で、広告制作会社を受けることになりまして。
──それはまたかなり無謀な……。
濱●ですが、その受けたいと思った広告制作会社が4年生大学卒しか採用しないところだったんです。それで「短大卒ではあるけれども受けさせてほしい」と、人事の方に電話でお願いをしまして……面接だけはしてもらえることになりました。そのときに「当日は作品集を持参でお願いします」と言われたんですが、作品集も何もないわけで。
──美術の学校ご出身じゃないですからね。どうされたんですか?
濱●よく「デザインの基礎はデッサン」と言われますよね。ということは、デッサンを持って行ったらいいのかなということで、デッサンを描いて10枚ほど持って行きました(笑)。それで、運良く採用されました。
──それはデッサンが良かったからなのか、人柄を気に入られたからなのか……。
濱●どっちでしょうね(笑)。若くて使いやすいと思ったんじゃないですかね。他はみんな四年制大学卒なので、20歳の自分はグループ会社全体の中でも、いちばん若かったですから。
──なるほど。それで、すぐに制作のセクションに配属されたのでしょうか。
濱●いや、そんなに世の中は甘くなくて、まずは営業でした。飛び込み営業もやりましたし、「一日に名刺50枚集めてこい」というようなこともやりましたね。でも「クリエイティヴ職に就きたい」という気持ちはずっと強くあったので、一日の営業の業務が終わってから、制作セクションに行って業務の手伝いをやってましたね。自分の席にマシンがなかったので、さわってみたかったということもあって。当時は9時に出勤して夜中の3時に退社、その後4時からドラムの練習に行って……その後に2時間くらい寝てから、翌朝9時に出社という……今考えたら信じられないような生活をしていましたね。しかも、その広告制作会社が、もともと展示会やイベント等の施工も行っている会社だったので、週末は施工にも借り出されて……。
──若いとはいえ、かなりのハードスケジュール。
濱●当時は止まってる暇がないくらいの感じだったんですよ。あまり止まってちゃいけないようなポジションだったので、寝る暇もなく……動いていたかったというか。そんな中で、少しずつ制作をやらせてもらえるようになって。初めて手がけたのは、あるアパレルブランドの販促ツールでした。
(取材・文:草野恵子 撮影:栗栖誠紀)
株式会社グローバルメディアソリューション
http://www.gms2.net/
もっと「おもしろい」をコンセプトに、より直感的でわかりやすいリッチインターネットメディアを展開する、株式会社グローバルメディアソリューション。もともと広告代理業をメインとしていた同社だが、昨年、インターネット事業部門を設立。その最初のサービスとして、Flashのインターフェースを採用したパーソナライズドホームページ「nendo」をスタートさせる(現在、テスト・α2版としてサービスを提供中)。また、学生特化メディアとしてWebマガジン「GANBARUZINE!」をこの夏に創刊。大学生の「発信したい」を形にするメディアとして、各方面から注目を集めている。
次週は「第2話 フリーランスとして独立」についてお届けします。
──もともとミュージシャン志望だったと伺いました。
濱●そうですね。子どもの頃からずっとプロのドラマーの道に進みたいと思っていて、そのために音楽専門の短大に進学していたのですが……実は短大2年の時に、重い椎間板ヘルニアを患ってしまい、手術をすることになったんですね。それで演奏することができなくなってしまったんです。そんなわけで就職先を「どうしようかな」と……。それで、術後半年くらいだったもので「デスクワークならできるかも」と思いまして。
──「デスクワーク」とは、またえらく範疇が広いですね(笑)。
濱●ずっとドラマーになることしか考えてませんから、何にもわからないわけです。それで、音楽と同じくらい絵を描くことが好きだったのを思い出して、広告の制作だったらおもしろいかなと。何か「物を創る」ということであれば、熱意を持って打ち込めると思ったんですね。とはいえ、デザイナーの使うソフトなどもさわったことがありませんでしたし、どうやって創るのかもわからない状態で、広告制作会社を受けることになりまして。
──それはまたかなり無謀な……。
濱●ですが、その受けたいと思った広告制作会社が4年生大学卒しか採用しないところだったんです。それで「短大卒ではあるけれども受けさせてほしい」と、人事の方に電話でお願いをしまして……面接だけはしてもらえることになりました。そのときに「当日は作品集を持参でお願いします」と言われたんですが、作品集も何もないわけで。
──美術の学校ご出身じゃないですからね。どうされたんですか?
濱●よく「デザインの基礎はデッサン」と言われますよね。ということは、デッサンを持って行ったらいいのかなということで、デッサンを描いて10枚ほど持って行きました(笑)。それで、運良く採用されました。
──それはデッサンが良かったからなのか、人柄を気に入られたからなのか……。
濱●どっちでしょうね(笑)。若くて使いやすいと思ったんじゃないですかね。他はみんな四年制大学卒なので、20歳の自分はグループ会社全体の中でも、いちばん若かったですから。
──なるほど。それで、すぐに制作のセクションに配属されたのでしょうか。
濱●いや、そんなに世の中は甘くなくて、まずは営業でした。飛び込み営業もやりましたし、「一日に名刺50枚集めてこい」というようなこともやりましたね。でも「クリエイティヴ職に就きたい」という気持ちはずっと強くあったので、一日の営業の業務が終わってから、制作セクションに行って業務の手伝いをやってましたね。自分の席にマシンがなかったので、さわってみたかったということもあって。当時は9時に出勤して夜中の3時に退社、その後4時からドラムの練習に行って……その後に2時間くらい寝てから、翌朝9時に出社という……今考えたら信じられないような生活をしていましたね。しかも、その広告制作会社が、もともと展示会やイベント等の施工も行っている会社だったので、週末は施工にも借り出されて……。
──若いとはいえ、かなりのハードスケジュール。
濱●当時は止まってる暇がないくらいの感じだったんですよ。あまり止まってちゃいけないようなポジションだったので、寝る暇もなく……動いていたかったというか。そんな中で、少しずつ制作をやらせてもらえるようになって。初めて手がけたのは、あるアパレルブランドの販促ツールでした。
(取材・文:草野恵子 撮影:栗栖誠紀)
株式会社グローバルメディアソリューション
http://www.gms2.net/
もっと「おもしろい」をコンセプトに、より直感的でわかりやすいリッチインターネットメディアを展開する、株式会社グローバルメディアソリューション。もともと広告代理業をメインとしていた同社だが、昨年、インターネット事業部門を設立。その最初のサービスとして、Flashのインターフェースを採用したパーソナライズドホームページ「nendo」をスタートさせる(現在、テスト・α2版としてサービスを提供中)。また、学生特化メディアとしてWebマガジン「GANBARUZINE!」をこの夏に創刊。大学生の「発信したい」を形にするメディアとして、各方面から注目を集めている。
次週は「第2話 フリーランスとして独立」についてお届けします。