第4話 自分がやりたいことを最重要視する | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第11回 株式会社 カヤック 大塚雅和さんの場合


株式会社カヤックのプログラマー・大塚雅和さんは、子どもの頃から「何かを作りたい」とつねに思っていた理系少年。大学を卒業し大手電機メーカーに就職したのも、そんな思いが原動力にあったからだ。あるとき今までと違う分野に配置転換されたのがきっかけでネットに興味を持つようになり、2006年11月、カヤックに転職を果たす。現在は新規事業開発を使命とするラボチーム「BM11」に所属し、数多くのサービスの企画・開発にたずさわる日々。中でも、自らが企画・開発した、声で遊ぶコミュニティサイト「こえ部」はリリースから1年でユーザ—数2万5千人を超えるサービスへと急成長を遂げている。そんな彼に、これまでの軌跡、そして現在、未来の仕事について、詳しくお話を伺ってみました。


第4話 自分がやりたいことを最重要視する

──カヤックに応募した直接のきっかけは何だったんでしょうか。
大塚●Webには採用フォームがあって、いつでも受けられたと思うんですけど、僕はきっかけを待っているようなところがあって……あるときカヤックからのメールマガジンに「会社を見に来たい方、いつでも歓迎」と書いてあって、それにピンときて。見学に出かけたんです。

──それは呼ばれたような感じでしょうか。
大塚●まさにそうです。カヤックでも「何か機会があったらそれに乗っかれ、変化することを恐れるな」というような話がよく出るのですが、要は「強く求めていれば、機会は必ず訪れる」、割とそういったことを僕は信じているんですよ。たとえば誰かと「会いたい」と思っていると、必ず会うというようなことですね。僕も「転職したい」とずっと思っていたから、気づくきっかけがあったような気がします。

──それで会社見学に行って。
大塚●もう受ける気だったんですよね。会社見学からそのまま人事の面接になって、今から考えるとけっこう僕は挑戦的で「自分が作ったこのサービスをカヤックと一緒にやりたいです」とか言ってましたね(笑)。

──大手電機メーカーとカヤックの違い。ギャップを感じることはなかったですか。
大塚●最初は悩んだんですけどね、規模も売上も全然違いますし。でも、やっぱり子どもの頃から好きなこと、遊びの中から何かを創って来た経験があるので、心から楽しいと思うこと、自分のやりたいことをやりたかったんです。

──カヤックに入社された時期は?
大塚●2006年の11月に入社したんですが、入った頃は技術者も数えるほどで5〜6人、会社全体で20人くらいでした。今は技術部だけで20人以上、会社全体で80人います。

──所属されているラボチーム「BM11(ぶっこみイレブン)」のスタートはいつだったんでしょうか。
大塚●僕が入ってすぐ、2007年1月からですね。「BM11」は、2007年に77個のサービス、2008年に88個の新しいサービスを達成しました。2009年は99個が目標です。

──年々増えてますね! 入社して最初に手がけたプロジェクトはなんだったんでしょう。
大塚●ブレインストーミングの支援ツール「babooo」 です。ブレストは子どもの頃から知っていて、アメリカでは普通によくやってました。どんどんアイデアを出していく、誰かが言ったことを否定せずにやる——そんな思想が好きでしたね。「babooo」はどんどんアイデアを出していくときに自分がひとつ前に発言したことに関連したことが、次の発言につながることが多いから、その発想を促すような情報を提供するサービス。けっこう好評を博しました。

──その後、Yahoo! JAPAN WEB APIコンテストでグランプリを受賞されて。
大塚●パソコンで利用するファイルを携帯電話で閲覧するためのツール「ToMobile」で受賞したんですが、その頃にマッシュアップが得意ということで「マッシュ君」というあだ名が社内で定着しました。僕としては不本意なんですが(笑)。

──「こえ部」と「wonderfl」も大塚さんの発案・制作だそうですね。
大塚●そうです。現在、両方のサイト運営もやっています。

──どんどん作るのはもちろんですが、運営していくのも大変ですよね。
大塚●そうですね。大変だけど楽しい——その両方ですね。最近思っていることがあって……優秀な技術者は自分のミッションを意識している人が多いそうなんです。技術者として「何のために新しいものを作るのか」という話。「人は何のために生きてるのか」というような話に近いんですけど……あるプログラマーの方は「自分がプログラミングしてオープンソースにすることによって、プログラマーがもっと増えたらいいな」と思っていると。そう考えてみると、技術を知らない人にとっては難しいことが世の中にはけっこうあるんですよね。その難しいところを自分が何かを作ることによって簡単にできる。できないことができるようになる——それが僕のミッションじゃないかなと思うようになって。そういう風に考えると、今まで作って来たものが全部つながってくるんですよ。

──なるほど、深い話ですね。
大塚●「こえ部」は音声を投稿するサービスなんですけど、今まで一般の人にとっては、専用の録音ソフトが必要で音声を投稿すること自体が難しかった。それを裏側の技術を頑張って作ることによって、専用のソフトを使わなくてもできるようにしたんです。「wonderfl」も同じ。Flashのツールは価格も高いし普通の人にとっては敷居が高いんですけど、裏側の技術を頑張れば難しかったことが簡単になる。そんな風に一般の人にとって難しかったことが簡単になるようなサービスを作っていきたいし、それで多くの人に喜んでもらえるようになれたらいいなと思っています。

──最後に、現在転職について悩んでいる人にアドバイスするとしたら、どんなことでしょう。
大塚●(しばし考えたのち)「自分を信じる」ことですね。やっぱり自分がやりたいことを最重要視すべきだし、そのためには技術力もついてくると思うんですよ。それ以外のことはなんとでもなる。もし今やりたくないことをやっている人がいたら、すぐ転職した方がいいとアドバイスします。重要なのは「やれると思うこと」ですね。

──重みのある言葉ですね。本日はありがとうございました。

(取材・文:草野恵子 撮影:谷本 夏)


株式会社カヤック
http://www.kayac.com/
1998年の合資会社カヤック設立をスタートとし、2005年に株式会社化。創業当初より「面白法人 カヤック」と自らを称し、つねに新しいサービス、新しい会社の在り方を求め、次々とユニークな試みを加速度的に展開している。カヤックの経営理念は「つくる人を増やす。」——その理念を体現するかのように、驚異的な数のサービスを毎年リリース、数多くの賞を受賞している。




面白法人カヤック

http://www.kayac.com/

今回で大塚雅和さんの記事は終わりです。次回をお楽しみに!



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