第1話 街を表現する「表参道ヒルズ」 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
旬のアートディレクターをお迎えして、デザインする際の思考のプロセスと、創作のスタンスに迫るこのコーナー。第33回目はタイクーングラフィックスの宮師雄一氏と鈴木直之氏。第1話では表参道ヒルズの3周年を記念して制作されたビジュアルを紹介する。


第1話
街を表現する「表参道ヒルズ」



表参道のキャラクターを探す



 2006年のオープン以来、表参道の新たなランドマークとして定着してきた表参道ヒルズ。そのシンボルマークの制作をはじめ、タイクーングラフィックスはオープン当初から、このプロジェクトに深く関わってきた。

「今回のビジュアルはオープン3周年を記念したもの。 出店ブランドが入れ替わってきたこともあり、さらに次の何年か先に向けてのイメージを考えてほしいとの依頼でした」(鈴木)

OMOTESANDO HILLS / logo design / AD + D / 2006 / MORI BUILDING CO.,LTD.
「このプロジェクトでは、当初から一貫して表参道ヒルズを表参道の顔にしたいとの想いがありました。もちろん今回のビジュアルも、そのコンセプトをベースにしています。世界に名だたるハイブランド・ストリートとして認知されている中で、いかに独自性を伝えるかに配慮しました」(宮師)

それでは両氏が考える表参道のオリジナリティとは何か。それは単なるおしゃれな街ではない。クリエイティブな側面も持ったこだわりの街だ。

OMOTESANDO HILLS / logo design / AD + D / 2006 / MORI BUILDING CO.,LTD.
「同潤会アパートを中心に、ギャラリーや出版関係のオフィスがあったりと、もともと表参道は文化の発信地として機能してきました。その イメージをさらに強くしたいと考えました」(鈴木)
「それらアート性のほかに、独特な和洋折衷も表参道の魅力です。ここには世界中のハイブランドが集まっていますし、クリスマスにはライティングもされます。けれども、その坂を登りきると明治神宮がある。これは表参道ならではのユニークな部分です」(宮師)


目指すべき方向を表現



OMOTESANDO HILLS / THE 3rd ANNIVERSARY / AD + D / 2009 / MORI BUILDING CO.,LTD.
 前述のような印象を踏まえてアウトプットされたのは、象徴的なシンボルとして活用されている表参道のシンボルマークに、さまざまな動物たちが引き寄せられてくるビジュアル。よく見れば、動物たちの柄には色々なパターンがあるが、これは宮師氏曰く「色んなこだわりを持つ人たち」を暗喩する。

「街やランドマークをブランディングする際には、そのエリア固有の匂いを訴求することが大切だと思います。たとえば、同じ森ビルが手がけた施設であっても、表参道ヒルズとラフォーレ原宿とでは、明らかに求められる表現は異なるでしょう。売り場の構成などにも深く関係があります。すると年月を経るごとに若干の軌道修正も必要とされてきます。街は常に変化する生き物ですからね」(宮師)

OMOTESANDO HILLS / THE 3rd ANNIVERSARY / AD + D / 2009 / MORI BUILDING CO.,LTD.OMOTESANDO HILLS / THE 3rd ANNIVERSARY / AD + D / 2009 / MORI BUILDING CO.,LTD.
「街の現状を追いかけるのみならず、目指すべき方向性をしっかりと 表すことも大切です。その表現と商品などのイメージがうまく結びつけば、より良い結果に繋がりますが、実際の商品の現状と乖離していては訪れた人たちはガッカリさせられますからね」(鈴木)
(取材・文:佐々木剛士 人物写真:谷本夏)


次週、第2話は「人間と社会との潤滑油」について伺います。こうご期待。





●タイクーングラフィックス
1991年、宮師雄一、鈴木直之により設立。企業CIやブランディングにおけるクリエイティブディレクションをはじめ、音楽、ファッション、建築、映像、広告など幅広い分野で活躍。主な仕事には、表参道ヒルズや堂島ホテルのロゴデザイン、サイン計画、ユナイテッド・シネマ豊洲および浦和のサイン計画、国土交通省新宿駅南口地区の壁面グラフィック「新宿サザンビートプロジェクト」、テイ・トウワ、中島美嘉、PUFFYなどのCDジャケットデザイン、家電ブランド「amadana」製品のアートディレクションなど。

twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在