田島照久さんインタビュー | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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スポットインタビュー 浜田省吾とともに駆け抜けてきた30年の記憶 横浜・赤レンガ倉庫「浜田島」THE HAMADA ISLAND 田島照久さん(Thesedays)に聞く

2009年7月3日(金)~15日(水)に横浜・赤レンガ倉庫で開催される「浜田島」。ロックアーティスト・浜田省吾と、30年間つねに彼を支え続けてきたアートディレクター・田島照久による企画展だ。写真、デジタルアート、油彩、映像から立体作品まで、浜田省吾をテーマとしたあらゆるビジュアル作品をみることができる。開港150年でにぎわう横浜の地で開かれる、稀少なロックの展覧会。開催間近で準備に追われる田島照久さんにお話をうかがった。

「浜田島」 THE HAMADA ISLAND
The Exhibition of Shogo Hamada by Teruhisa Tajima
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館2Fスペース
神奈川県横浜市中区新港一丁目1番1号
会期:2009年7月3日(金)~7月15日(水)
時間:13:00~20:00(平日)/11:00~20:00(土・日)
料金:500円(税込)当日会場販売のみ
オフィシャルサイト:http://shogo.r-s.co.jp/hamadajima/
浜田島 The Hamada Island


浜田省吾がたっぷり味わえる“ロックのテーマパーク”

──まず「浜田島」を始めることになったいきさつをお聞かせください。

田島●今から3年ぐらい前ですかね、浜田と田島をくっつけた“浜田島”という言葉がふと思い浮かんできて、これでなにか企画をやったら面白いんじゃないかな? って思ったんです。その時はただ漠然としていたんだけど、人に話したりしているうちになんとなく話が動き出して、という。

──肩の力の抜けた、おじさんのダジャレ的なネーミングがいいですね。

田島●そうなんですよ(笑)。だいたい僕の場合、展覧会などでは英語のタイトルを付けることが多いんですが、この日本語の響きがすごく面白いなと思って。“ON THE ROAD展”とかではなく、「島」というのがちょっと演歌っぽいでしょう?(笑)

ひとりのアーティストと30年間ずっと同じ関係で仕事をしてきたというのは、デザイナーでもなかなかないことだと思うんですね。浜田さんとは、6枚目のアルバム『Home Bound』から一緒に仕事をやっていますから。彼がデビューして3、4年後ですね。写真も撮ってきたし、デザインもしてきたし、いろんな立場で浜田省吾と関わってきた30年が、この「浜田島」という言葉と一緒になって、何か、僕の場合は展覧会ができるんじゃないかなと考えたんですよ。

(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.
(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.

──具体的にはどのような形で進んだのでしょうか。

田島●浜田さんに「100%田島さんにまかせるよ」と言っていただいたので、僕の主導で中身を考えていきました。まず、この30年の間には、未発表のもの、ボツになったアイデア、種々雑多な作品のストックがあったんですね。それを使うだけでも面白いことができそうだなという気がしたので、3年かけてコツコツ作品を掘り出しては手を加え、といった作業を繰り返しました。手で描いた絵もあれば、ただのモノクロの写真を大きく伸ばしているものもあります。でも8割は新たにデジタルで作ったもの。そういう意味ではもうまったくリニューアルされたものになりますね。アップグレードというのかな?

田島照久さん。作品制作の追い込み期間にお話をうかがった
田島照久さん。作品制作の追い込み期間にお話をうかがった。オフィスの壁には試作品がたくさん張られていた

──浜田さんと田島さんの30年の歩み、「古いけれど新しい」という感じですね。

田島●そうです。で、言うなればこれはロックの展覧会ですから、当然その趣旨に合った場所を、となるわけです。そこでたまたま行ったこの横浜の赤レンガ倉庫を見て、ロックの雰囲気とか僕が今考えている「浜田島」の企画がすごくぴったり合うなと思いました。浜田省吾のスケール感とか、この建物が持っている雰囲気、いろんなことが直結して「ここしかない!」と。今、横浜は開港150周年記念でとんでもなく人気の場所なので押さえるのは大変でしたが、でも他の場所は考えられなかった。来てもらえれば、ここでなければならない理由がわかっていただけると思います。

会場となる横浜・赤レンガ倉庫
会場となる横浜・赤レンガ倉庫

──作品の数はどれぐらいに?

田島●平面作品なら100点以上で、大きさも1mから5mと等身大に近い浜田省吾が感じられるスケールになっています。また新しい映像作品も上映します。作品は、基本的には歌詞やアルバムのイメージからインスパイアされていますね。アップテンポのロックをイメージした作品もあれば、「もうひとつの土曜日」などに代表されるバラード調の静かな感じの絵もあります。

(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.
(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.

──具体的な展示内容を教えてください。

田島●横浜赤レンガ倉庫の2Fスペースは部屋がA・B・Cと3つに分かれていて、間はちょっとした通路でつながっています。その3部屋を3つのテーマで分けました。最初のスペースが「RE-MASTERED」、2番目が「MAGIC IN THE DARK」、3番目の部屋が 「THINK ROCK!」です。

1つめは音楽用語でもある「RE-MASTERED」。ここでは過去の作品を「リマスタードするとこうなる」という展示をします。たとえば『Born in 1952』というアルバムのジャケットの赤い車。オリジナルでは誰もいない座席があるだけですが、リマスタードでは浜田省吾が乗っている──そんな形でいろいろなリマスター作品を展示します。ここで違った発見をしてもらえればと思っています。

2番目の部屋「MAGIC IN THE DARK」は、その名の通り「夜」をイメージしたスペース。暗闇のなかで、動画、CG、モーショングラフィックスの新作映像を上映します。もちろん平面の作品もたくさん出てきます。暗闇の中にハイビジョン映像で現れる、音と映像による等身大の浜田省吾を体感できるような仕掛けを楽しんでもらえればと思います。

3番目は「THINK ROCK!」。「ロックを考えろ!」という意味ですが、これは、浜田省吾という現役のアーティストが、現在から未来へ向かって挑もうとするロックスターの境地みたいなものを、僕なりに解釈していろいろなテーマを決めて表現するものです。「J.BOY」という曲がサラリーマン賛歌であったり、「I am a father」が働くお父さんの応援歌であったりと、浜田さんはとても社会性がある方なので、そういう要素を盛り込んだものになると思います。

(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.
(C) 2009 The Hamada Island, Road and Sky, Thesedays, all rights reserved.

──いろいろな仕掛けがあってとても楽しみです。

田島●“ロックのテーマパーク”のつもりで遊びに来てもらえればと思います。あえて乱暴な感じとかも出してありますし、すごくストリート感覚。ロックの空間をたっぷり味わっていただけるんじゃないでしょうか。実際、浜田省吾という、なかなかチケットが取れないといわれたりしているアーティストで、「コンサートに行きたいんだけど1回も行ってない」というような人には、まさにコンサート以上に近づいた感覚で楽しんでもらえると思います。それから、実は最後に「4番目のスペシャルルーム」も用意しています。どんな展示内容かは、ぜひ会場で確かめてください!


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