様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴を辿るシリーズ、第4回はいよいよWeb編。国内最大級の屋内レイヴ「WIRE」や「リキッドルーム恵比寿」の他、多くのアーティストのサイトを手がけている伊東優氏に話をうかがい、Webクリエイティブの黎明期から現在までのワーク・スタイルを振り返ってみよう。
第1話 編集者からWebの世界へ
編集プロダクションへの就職
――そもそも、デザイナー志望だったのですか?
伊東●いいえ。大学の専攻は、デザインとまったく関係ない文学部英文学科でした。なので、デザインやビジュアルの勉強を専門にやったことはありません。多少の興味はありましたが趣味程度で、掘り下げてみようと思ったことはなかったです。
――では、どうしてこの道に?
伊東●大学生の頃、ちょうどMacが流行り始めたんです。自分も手頃な価格のパフォーマを買って、最初はPhotoshopやIllustratorをいじるのが楽しいって感じでした。そのうち、友達のパーティのフライヤーを作ったりするようになったんです。
――クラブのですか?
伊東●はい。いまもDJの活動をしている大学の同級生たちが、大阪のクラブ「ロケッツ」でパーティを開いていたんです。テクノが盛り上がり始めた頃で、毎週末になるとクラブで遊んでました。
――卒業後のビジョンは?
伊東●本が好きだったので、編集者になろうと思ってました。実は就職のアテがあったのですが、それがダメになってしまって……結局、上京してから2?3ヵ月求職して編集プロダクションに入ったんです。そこでは大手出版社の歌舞伎やオペラのムックなど、わりと堅い仕事をしてましたね。
――Webへの転機は?
伊東●入社した95年当時、各方面でインターネットのHP制作が始まった頃でした。その編プロにもデザイン部門があったので、HPの制作業務をやろうということになったんです。もともと編集者志望で入社したのですが、次第にWeb部門の仕事をするようになって……それがいまの仕事に至る最初のきっかけです。
伊東●いいえ。大学の専攻は、デザインとまったく関係ない文学部英文学科でした。なので、デザインやビジュアルの勉強を専門にやったことはありません。多少の興味はありましたが趣味程度で、掘り下げてみようと思ったことはなかったです。
――では、どうしてこの道に?
伊東●大学生の頃、ちょうどMacが流行り始めたんです。自分も手頃な価格のパフォーマを買って、最初はPhotoshopやIllustratorをいじるのが楽しいって感じでした。そのうち、友達のパーティのフライヤーを作ったりするようになったんです。
――クラブのですか?
伊東●はい。いまもDJの活動をしている大学の同級生たちが、大阪のクラブ「ロケッツ」でパーティを開いていたんです。テクノが盛り上がり始めた頃で、毎週末になるとクラブで遊んでました。
――卒業後のビジョンは?
伊東●本が好きだったので、編集者になろうと思ってました。実は就職のアテがあったのですが、それがダメになってしまって……結局、上京してから2?3ヵ月求職して編集プロダクションに入ったんです。そこでは大手出版社の歌舞伎やオペラのムックなど、わりと堅い仕事をしてましたね。
――Webへの転機は?
伊東●入社した95年当時、各方面でインターネットのHP制作が始まった頃でした。その編プロにもデザイン部門があったので、HPの制作業務をやろうということになったんです。もともと編集者志望で入社したのですが、次第にWeb部門の仕事をするようになって……それがいまの仕事に至る最初のきっかけです。
1999年のスタート以来、伊東氏が手がけている「WIRE」のサイト。毎回「更新し続ける」をモットーに掲げる巨大パーティの性質同様、サイトの構築、デザイン、コンテンツなども年々パワーアップしたものになっている(写真は9月2日に開催された、WIRE06のトップページ)
ベースにある編集者的観点
――ネットの世界には興味があったのですか?
伊東●そうですね。個人的にも関心を持っていたのですが、当時はほんとに黎明期で、制作の現場は未知の世界。純粋な好奇心として、すごく興味深いと思いました。で、最初はディレクターっぽい業務をしていたんです。原稿をまとめて、掲載する情報を整理してディレクトリを作ったり。
――編集者の仕事と意識は変わらなかった?
伊東●はい。でも段々、デザイン作業を見ているうちに自分でも触りたくなって。もともとMacでグラフィックも作っていたから、やってみたいと思ったんです。当時は、まだDreamweaverのような制作ソフトはなかったので、普通のテキストエディタでHTMLを書いてましたが。
――そこで原点的なスキルを学んだのですか?
伊東●そうですね。思ったほど、理系の知識はそんなに必要なかったですし。プログラムというほどのものでもなく、書き方さえ憶えてしまえば誰でも一から身につけられるものだと感じました。
――当時のクライアントは?
伊東●会社で請け負っていたところは、やはりメーカーや出版社などの堅い企業。いま振り返るとすごく簡素なものでしたが、かくあるべしみたいなフォーマットも決まってなかったし、そのぶん自由にできました。同時に、いろんなアイデアを出す人が次から次に現れてきて、トレンドみたいなものが動いていた時期でしたね。
――常に様変わりする世界ですが、その頃ちょうどドラスティックな変化があって。
伊東●そうですね。そういう面白さに惹かれた部分は大きいです。
――最初に経験した編集者的な観点が、その後のWeb制作に役立ったと思いますか?
伊東●それは大いにあると思います。単純にデザインだけするわけではなく、クライアントが情報をどのように伝えたいのか、それをどのように分類して、どういうふうに並べたら見やすくて伝わりやすいのか……いまも、それはすごく考えます。結構、そういうことを考えるのが楽しい性格でもあるんですよ。
次週、第2話は「自分の興味を特化する」についてうかがいます。
(取材・文:増渕俊之 写真:栗栖誠紀)
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[プロフィール] いとう・まさる●1973年大阪府生まれ。大学卒業後、編集プロダクションに就職。4年間の勤務を経て独立、以降Webデザイナーとして田中フミヤ、石野卓球、中島美嘉などのアーティストHPや「WIRE」「リキッドルーム恵比寿」などのサイトを手がけている。 |