RSSの黄昏――Googleリーダーがサービスを中止
RSSの黄昏――Googleリーダーがサービスを中止
2013年03月18日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
すでに読者の方々はご承知だと思うが、GoogleがGoogleリーダー、すなわちGoogleブランドのRSSリーダーのサービス提供をやめるという。RSSやAtomといったXMLベースのデータフィードの普及に努めてきた僕にとっては、じつに感慨深い出来事である。
RSS/Atomという規格は、結局世の中の主流になることができなかった。しかし、データをフィードとして、たとえばWebサイトのような格納している場所で読むのではなく、自分が好きなアプリや場所で読むという流れは浸透した。たとえばFacebookで友人の最新情報を読む場所は、その友達のウォールではなく自分のニュースフィードだ。現在のインターネットは限りなくフィード的である。だから僕はフィードという考え方は、やはり正しかったと確信しているのだが、RSS/Atomというデータ形式を特殊なRSSリーダーというツールで読む、という行為自体はマニアックな手法にすぎず、一般的な習慣にはならなかったことは認めざるを得ない。
2005年12月、僕はサンフランシスコで行なわれたSyndicateというイベントに参加していた。全体を支えるテーマはRSSやタグ、APIによって複数のWebサイトやデータベースがつながっていき(Syndicateされ)、巨大なネットワークが生成されていく、という世界観だった。
僕はこのイベントに触発されて『Web2.0Book』を書き、さらに当時COOを務めていたフィードパス(Feedpath。当時はサイボウズの戦略子会社で現在はヤフーの100%子会社)から日本初の本格的Web型フィードリーダーをリリースした。
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
すでに読者の方々はご承知だと思うが、GoogleがGoogleリーダー、すなわちGoogleブランドのRSSリーダーのサービス提供をやめるという。RSSやAtomといったXMLベースのデータフィードの普及に努めてきた僕にとっては、じつに感慨深い出来事である。
RSS/Atomという規格は、結局世の中の主流になることができなかった。しかし、データをフィードとして、たとえばWebサイトのような格納している場所で読むのではなく、自分が好きなアプリや場所で読むという流れは浸透した。たとえばFacebookで友人の最新情報を読む場所は、その友達のウォールではなく自分のニュースフィードだ。現在のインターネットは限りなくフィード的である。だから僕はフィードという考え方は、やはり正しかったと確信しているのだが、RSS/Atomというデータ形式を特殊なRSSリーダーというツールで読む、という行為自体はマニアックな手法にすぎず、一般的な習慣にはならなかったことは認めざるを得ない。
2005年12月、僕はサンフランシスコで行なわれたSyndicateというイベントに参加していた。全体を支えるテーマはRSSやタグ、APIによって複数のWebサイトやデータベースがつながっていき(Syndicateされ)、巨大なネットワークが生成されていく、という世界観だった。
僕はこのイベントに触発されて『Web2.0Book』を書き、さらに当時COOを務めていたフィードパス(Feedpath。当時はサイボウズの戦略子会社で現在はヤフーの100%子会社)から日本初の本格的Web型フィードリーダーをリリースした。
そもそもフィードパスという社名・サービス名は、インターネットの主流がHMTLによるWebから、RSS/AtomなどのXMLで構成されたフィードへと変遷すると考え、そのフィード(Feed)によるパス(Path。すなわち小径)をつくろうと思ったからだった。フィードパスはたんなるRSSリーダーではなく、フィードを収集して閲覧させる機能に加え、書いたテキストや画像つきテキストを直接RSSとして吐き出すフィードエディタだった。つまり、自分の近況をRSSで書き出し、それをRSSリーダーで読む・読んでもらうということができる。
これはFacebookに買収されたFriendFeedにかなり近い発想だったし、Twitterにも似ている。FriendFeed買収後のFacebookのニュースフィードもまた、同じ考え方に基づくアプリだ。
つまり、フィードパスは2010年代にこそ居場所があるサービスだったと思う。残念ながら、このコンセプトを押し通して開発を続けることを、当時の開発チームや経営陣に理解してもらうことができず、僕はフィードパスを去った。
もしも、という言葉を人生で使うことは若干ルーザーの気分であるが、もしもフィードパスが正しい進化を遂げ、最後までコンセプト通りのサービスをつくることができたとしたら、ニュースフィードはFriendFeedではなくFeedpathベースであったかもしれないし、RSSをベースにしたソーシャルサービスが普及していたかもしれない。
Googleリーダーのサービス中止は、僕にそんな感傷を起こさせてくれるのである。
これはFacebookに買収されたFriendFeedにかなり近い発想だったし、Twitterにも似ている。FriendFeed買収後のFacebookのニュースフィードもまた、同じ考え方に基づくアプリだ。
つまり、フィードパスは2010年代にこそ居場所があるサービスだったと思う。残念ながら、このコンセプトを押し通して開発を続けることを、当時の開発チームや経営陣に理解してもらうことができず、僕はフィードパスを去った。
もしも、という言葉を人生で使うことは若干ルーザーの気分であるが、もしもフィードパスが正しい進化を遂げ、最後までコンセプト通りのサービスをつくることができたとしたら、ニュースフィードはFriendFeedではなくFeedpathベースであったかもしれないし、RSSをベースにしたソーシャルサービスが普及していたかもしれない。
Googleリーダーのサービス中止は、僕にそんな感傷を起こさせてくれるのである。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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