モバイルオンリー世代には「PCサイト≒ブラウン管TV」?
モバイルオンリー世代には「PCサイト≒ブラウン管TV」?
2014年07月14日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
日本経済新聞が2014年1月に公表した記事によると、2017年にはアジア全域でのアクティブなスマートフォンの回線利用数が20億を超えるという。
もちろん過半数を中国とインドが占めるわけだが、それでも東南アジアにおいても4億人近いスマートフォンユーザーが生まれる。日本と合わせると2017年時点で北米を超える大きな市場になるだろう。
さらに別の統計がある。インターネットの利用にPCを使わないモバイルのみのユーザーが急増しており、国別に多少のばらつきはあるものの、若年層を中心に20~40%を占めはじめている。インドではすでに過半数という。彼らはモバイルファースト(=モバイルを主、PCを従としているユーザー)でさえない。モバイルオンリー世代だ。しかもアジア圏の国民の平均年齢は若く、25歳以下が国の半分を占めているケースも多い。つまり、モバイルオンリーのユーザーが、ふつうのインターネットユーザーの姿なのである。
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
日本経済新聞が2014年1月に公表した記事によると、2017年にはアジア全域でのアクティブなスマートフォンの回線利用数が20億を超えるという。
もちろん過半数を中国とインドが占めるわけだが、それでも東南アジアにおいても4億人近いスマートフォンユーザーが生まれる。日本と合わせると2017年時点で北米を超える大きな市場になるだろう。
さらに別の統計がある。インターネットの利用にPCを使わないモバイルのみのユーザーが急増しており、国別に多少のばらつきはあるものの、若年層を中心に20~40%を占めはじめている。インドではすでに過半数という。彼らはモバイルファースト(=モバイルを主、PCを従としているユーザー)でさえない。モバイルオンリー世代だ。しかもアジア圏の国民の平均年齢は若く、25歳以下が国の半分を占めているケースも多い。つまり、モバイルオンリーのユーザーが、ふつうのインターネットユーザーの姿なのである。
本コラムではたびたび、従来のWebデザインの死が近づいていることを指摘している。なぜなら、インターネットにおける情報の多くはHTMLで書かれているものの、個々の記事は発信元のWebサイトよりFacebookやTwitterといったソーシャルネットワークのモバイルアプリなどで見られていることが多い。つまり、記事を配信しているWebサイトのトップページのデザインに凝る意味は薄く、インターネット全体に細分化(フラグメンテーション)していく情報のひとつひとつにパーマリンクがあり、その表示自体は、表示しているアプリケーションの仕様に即した形に変えられるからだ。
逆に言うと、Webデザインに凝るよりは、正しいOGP(Open Graph Protocol。FacebookやTwitterなどのSNSで使われている共通の仕様)に正しく合わせて書き出すことを重視すべきだし、そこで表示された際になるべく精彩で人目を引く画像を用意することを考えるべきだ。
モバイル時代において、ユーザーは縦長の長方形または正方形の画像に慣れている。横長の画像は、スマートフォンの幅に対して合わせると画像が小さくなるし、わざわざ画面を横にしてみなければならない不便さは、わずかな動作であってもじつにめんどうなことなのである。
最近の国内市場では、画像加工を簡便化するサービスを打ち出すスタートアップがよく見られるようになってきた。これも、モバイル時代へ機敏に反応する起業家が多くなってきたあらわれであろう。
アジア市場のスマートフォンユーザー拡大の話に戻ろう。モバイルオンリー世代がアジア全体に拡大していくと、PCサイトを見たことがないユーザーも珍しくなくなる。指で広げれば大きくして見られるとはいっても、スマートフォンに対応していないPCサイトをスマートフォンで見た彼らは、そのWebサイトをバグか不良品であるかのように感じるだろう。現代の少年がブラウン管のTVを見たら、その不格好さに顔をしかめるはずだ。スマートフォンでみるPC専用サイトは、それくらい不細工だ。
また、WordPressで配布されている典型的なテンプレートでは、蛇腹あるいはアコーディオンのようなメニュー構造をしているものが多いが、いまはある程度コンテンツ――特に写真が最初に見えるデザインにユーザーは慣れている。スマートフォンユーザーは縦方向にスクロールすることにはあまり苦痛を感じない。Facebookなどのアプリを見てもそれは明らかだ。逆に、蛇腹式で開閉を必要とするデザインのほうがめんどう臭さを感じるようだ。
このように、PCサイトにおける文法をなんとかスマートフォンに適用しようと努力しているスマートフォンサイトは多く見られるが、そのほとんどは非常に使いづらい。スマートフォンでの閲覧に特化したデザインを最初からつくる必要がある。
つまり、モバイルオンリー世代の台頭には、すべての情報デザインを、まずスマートフォン上で行なう必要性が生まれ、次にPCに対して最適化するかどうかを考えるべき状況になっているのである。
逆に言うと、Webデザインに凝るよりは、正しいOGP(Open Graph Protocol。FacebookやTwitterなどのSNSで使われている共通の仕様)に正しく合わせて書き出すことを重視すべきだし、そこで表示された際になるべく精彩で人目を引く画像を用意することを考えるべきだ。
モバイル時代において、ユーザーは縦長の長方形または正方形の画像に慣れている。横長の画像は、スマートフォンの幅に対して合わせると画像が小さくなるし、わざわざ画面を横にしてみなければならない不便さは、わずかな動作であってもじつにめんどうなことなのである。
最近の国内市場では、画像加工を簡便化するサービスを打ち出すスタートアップがよく見られるようになってきた。これも、モバイル時代へ機敏に反応する起業家が多くなってきたあらわれであろう。
アジア市場のスマートフォンユーザー拡大の話に戻ろう。モバイルオンリー世代がアジア全体に拡大していくと、PCサイトを見たことがないユーザーも珍しくなくなる。指で広げれば大きくして見られるとはいっても、スマートフォンに対応していないPCサイトをスマートフォンで見た彼らは、そのWebサイトをバグか不良品であるかのように感じるだろう。現代の少年がブラウン管のTVを見たら、その不格好さに顔をしかめるはずだ。スマートフォンでみるPC専用サイトは、それくらい不細工だ。
また、WordPressで配布されている典型的なテンプレートでは、蛇腹あるいはアコーディオンのようなメニュー構造をしているものが多いが、いまはある程度コンテンツ――特に写真が最初に見えるデザインにユーザーは慣れている。スマートフォンユーザーは縦方向にスクロールすることにはあまり苦痛を感じない。Facebookなどのアプリを見てもそれは明らかだ。逆に、蛇腹式で開閉を必要とするデザインのほうがめんどう臭さを感じるようだ。
このように、PCサイトにおける文法をなんとかスマートフォンに適用しようと努力しているスマートフォンサイトは多く見られるが、そのほとんどは非常に使いづらい。スマートフォンでの閲覧に特化したデザインを最初からつくる必要がある。
つまり、モバイルオンリー世代の台頭には、すべての情報デザインを、まずスマートフォン上で行なう必要性が生まれ、次にPCに対して最適化するかどうかを考えるべき状況になっているのである。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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