絶好調のInstagramを襲う複雑化の罠
絶好調のInstagramを襲う複雑化の罠
2014年12月15日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
InstagramのMAUが3億人を超えた。DAUは7000万人という。Twitterが数週間前にMAU2億8400万人以上という発表をしていたから、InstagramはTwitterを凌駕したことになる。少なくとも瞬間風速では、TwitterがInstagramにかなりの遅れを取っている状況といえるだろう。
Twitterはソーシャルサービスのトレンドが動画にあるとみて、いち早くVineを買収して取り込んだが、Instagramが間髪入れずに同様の短尺のループ動画投稿サービスを取り入れたことで失速した。Twitterとしては、本来はInstagramではなく、その親であるFacebookをライバルとしてきたはずが、その背を追うことさえままならない現状に焦りを隠せないところだろう。日本においてはTwitterは若年層を中心に勢力を保っているが、はたして今後はどうなるか、たいへん見ものである。
モバイル上では、PCの世界以上に、そのソーシャルサービスをみても似たり寄ったりのUIに落ち着きはじめている。スマートフォン上では小さい画面のうえに、大抵は縦長の状態での閲覧がほとんどであるから、最適化しようとすればどうしても誰もが似たようなデザインをつくらざるを得ないからだ。しかも、消費されるコンテンツを全面に出せば、画像や動画をできるだけ大きく表示せざるを得ないから、見た目の差異を出すことが難しい。
Twitterはソーシャルサービスのトレンドが動画にあるとみて、いち早くVineを買収して取り込んだが、Instagramが間髪入れずに同様の短尺のループ動画投稿サービスを取り入れたことで失速した。Twitterとしては、本来はInstagramではなく、その親であるFacebookをライバルとしてきたはずが、その背を追うことさえままならない現状に焦りを隠せないところだろう。日本においてはTwitterは若年層を中心に勢力を保っているが、はたして今後はどうなるか、たいへん見ものである。
モバイル上では、PCの世界以上に、そのソーシャルサービスをみても似たり寄ったりのUIに落ち着きはじめている。スマートフォン上では小さい画面のうえに、大抵は縦長の状態での閲覧がほとんどであるから、最適化しようとすればどうしても誰もが似たようなデザインをつくらざるを得ないからだ。しかも、消費されるコンテンツを全面に出せば、画像や動画をできるだけ大きく表示せざるを得ないから、見た目の差異を出すことが難しい。
画像と動画をシェアするというコンセプトにおいては、現時点ではInstagramが市場リーダーとしてのポジションを不動のものにしそうだが、はたしてこのまま順調にユーザー数を伸ばしていけるだろうか? Instagramは若年層を中心としたファッションメディアとして人気を博しているが、LINEやSnapChatなどのメッセージング系サービスもまた、クローズドな少人数コミュニケーションから開かれた不特定多数への情報公開を可能にするブログ的サービスへのシフトを行いはじめている。
その結果、画像と動画をシェア、ということであれば、どれもこれも変わらない。どちらがスティッキーな(粘着性のある)サービスであるかという勝負になる。
逆にInstagramがクローズドなメッセージング機能を強化していけば、サービスとしては複雑化していく。FacebookやTwitterが陥った罠と同じで、高機能化が災いとなり、複雑すぎることによって若年層や初心者層に敬遠されることになる。新規加入者にとって、そのサービスをはじめる際のハードルが高くなるからだ。
InstagramはVine対抗のサービス導入には成功したが、次も新機能の投入に成功するとは限らない。徐々にシンプルさを失い複雑化するという罠は、どんなサービスでも逃れられないものだ。Instagramが10億ユーザーを獲得するのが早いか、複雑化の罠にはまり、新規ユーザー獲得において失速するのが早いか、2015年にこそその見極めができることだろう。
その結果、画像と動画をシェア、ということであれば、どれもこれも変わらない。どちらがスティッキーな(粘着性のある)サービスであるかという勝負になる。
逆にInstagramがクローズドなメッセージング機能を強化していけば、サービスとしては複雑化していく。FacebookやTwitterが陥った罠と同じで、高機能化が災いとなり、複雑すぎることによって若年層や初心者層に敬遠されることになる。新規加入者にとって、そのサービスをはじめる際のハードルが高くなるからだ。
InstagramはVine対抗のサービス導入には成功したが、次も新機能の投入に成功するとは限らない。徐々にシンプルさを失い複雑化するという罠は、どんなサービスでも逃れられないものだ。Instagramが10億ユーザーを獲得するのが早いか、複雑化の罠にはまり、新規ユーザー獲得において失速するのが早いか、2015年にこそその見極めができることだろう。
■著者の最近の記事
サービス・プロダクト制作者にとって必要な3つの視点(後編)
サービス・プロダクト制作者にとって必要な3つの視点(前編)
サービス・プロダクト制作者にとって必要な3つの視点(前編)
インターネットの先祖返りともいえるキュレーションメディア
クリエイティブなオフィスづくりに必要な5つのこと
アンディ・ルービンがGoogle退職、Chrome OSの台頭に注目
Apple製品ラインアップの複雑化は失速への予兆
メディア革命を率先するプラティシャーモデルの参加条件(後編)
[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro