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オープンデータやその活用に取り組む「アーバンデータチャレンジ2014」ファイナルステージ開催

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オープンデータやその活用に取り組む「アーバンデータチャレンジ2014」ファイナルステージ開催


オープンデータやその活用に取り組む「アーバンデータチャレンジ2014」ファイナルステージ開催

2015年03月02日
TEXT:片岡義明


会場となった東大駒場第2キャンパス
会場となった東大駒場第2キャンパス

地域の課題解決や魅力創出を目指して、オープンデータやその活用ツール、アイデアなどの創出に取り組むプロジェクト「アーバンデータチャレンジ2014」のファイナルステージが2月28日、東京・駒場の東京大学駒場第2キャンパスにて開催された。

同イベントは、地方自治体発のオープンデータや社会インフラに関する情報の収集・配信環境を整備し、これらのデータを使ったツールやアイデアなどを、ワークショップなどを通じて市民発の作品として仕上げるプロジェクトで、社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)と東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)「次世代社会基盤情報」寄付研究部門、土木学会土木情報学委員会の三者が主催している。

今回のファイナルステージは、1年間を通して継続的なチャレンジを行ってきた同プロジェクトを締めくくるもので、各地域拠点でのこれまでの活動を振り返るとともに、これまで実施してきたワークショップなどを通じて最終的に応募された76作品の中から最終審査会を開催し、優秀作品を決定した。

全国10拠点で活動
全国10拠点で活動

実行委員長の関本氏
実行委員長の関本氏

午前中は実行委員長の関本義秀氏(東京大学生産技術研究所准教授)のビデオメッセージによる挨拶が行われたあと、基調講演として、オープンデータやその活用に関する3つの講演が行われた。最初に登壇したのは、内閣官房IT総合戦略室の田雑征治氏(企画調査官)。田雑氏は、政府のオープンデータへの取り組みの推進状況について解説し、2014年10月に開設した、公共データの横断検索機能をもつデータカタログサイト「DATA.GO.JP」を紹介。地方におけるオープンデータの意義としては、「地域の課題を解決する」ことが重要であり、地方創世にも貢献が期待できると語った。さらに、地方公共団体の取り組みの参考となるようにガイドラインを策定・公開したうえで、「オープンデータをはじめよう」という手引書も提供していることを紹介した。また、自由に使用可能なオープンデータのロゴマークを公開していることも紹介。「ロゴの絵が缶になっているのは“官”を意味していて、この“官”から色々なデータが出てきて世界を照らすという意味になっています」と語った。

オープンデータのロゴマーク
オープンデータのロゴマーク

続いて、水戸市の情報政策課の北條佳孝氏が、水戸市のオープンデータへの取り組みについて紹介。2013年6月にアーバンデータチャレンジのシンポジウムに参加した水戸市は、2014年にはUDCと連携して街歩きイベントを3回開催した。また、シビックテックコミュニティ「Code for Ibaraki(コード・フォー・イバラキ)」のスタッフとの協力関係を築いたほか、「オープンデータ推進フォーラムin水戸」などのイベントの開催や「インターナショナルオープンデータデイ2015in茨城」の後援も行った。このような取り組みで見えてきた課題として、「オープンデータ公開を継続的に行うための体制整備」「データ公開に向けた判断基準の確立」「利用ルールの整理」「成功事例の蓄積」などを挙げた。

3人目の登壇者は、一般財団法人日本情報経済流通推進協会(JIPDEC)の郡司哲也氏。同氏は同協会が開催した「ビジネスマッチング」というイベントを紹介。同イベントは、オープンデータを活用したアプリケーションやサービスをもつ出展者と、ビジネス的な視点でコメントする人とのマッチングイベントで、企業との活動連携や金銭発生タイミングの作成、サービスの安定化、人と人とをつなぐことなどを狙いとしている。同イベントの役割は「継続的な活動を続けたい、という主体をうまく創りだす」「アイデア出しの場であるだけではなく、既存団体との『つなぎ』の役割を担う」ことであり、また、行政としてできることとしては、「長い目で見守ってあげる」「Webページに掲載していないデータを公開する」ことなどを提案として挙げた。

ビジネスマッチングの来場者リスト
ビジネスマッチングの来場者リスト

午後は全国各地の拠点からの活動報告が行われた。北海道ブロックからは室蘭市の丸田之人氏(企画財政部企画部)が登壇。同市ではUDCのイベント「“まち”をもっと良くするアイデアワークショップ」をきっかけに「室蘭LocalWiki」がオープンしたほか、シビックテック組織「Code for Muroran」が立ち上がったことなどを紹介した。また、ESRI社のオープンデータポータルサイト構築キット「ArcGIS Open Data」を日本で初めて公式に採用したことなども報告した。

室蘭市の取り組み
室蘭市の取り組み

石川ブロックからは、シビックテックコミュニティ「Code for Kanazawa(コード・フォー・カナザワ)」の福島健一郎氏(代表理事)が発表。2013年5月に日本で初めての“Code forコミュニティ”として設立されたCode for Kanazawaは、2014年2月28日に一般社団法人化し、現在は61名のプロジェクトメンバーが登録されている。同組織はゴミを出す日がわかるアプリ「5374.jp」を開発したことでも知られており、UDCにも同アプリを含めて9本エントリーし、ファイナルステージに3本が残っている。同組織はUDCとの連携イベントとして、アイデアソン&ハッカソンをこれまで4回開催し、環境や防災、観光などをテーマにして課題解決に取り組んだ。このほかに大阪ブロックや島根ブロック、福岡ブロックなどのUDCの活動を紹介した。

また、オープンデータに興味をもっていてUDCとの連携を検討している組織によるプレゼンテーションも実施。ここでは一関工業高等専門学校(一関高専)の管隆寿氏が登壇した。同校は東大と連携して、橋の利用状況を取得するセンサーの開発を行うコンテストの実施を計画している。また、福島県会津若松市の伊藤文徳氏も登壇し、同氏が住民基本台帳をポイント化して日々更新しており、そのデータを活用して空き家の抽出などを実施していることなどを紹介した。

続いて、UDC2014の一次審査通過作品のプレゼンテーションが行われた。今年度は「ソリューション部門」「アイデア部門」「データ部門」「アプリケーション部門」の4部門が用意されており、一次審査を通過したのは16作品。これらの作品に対して、参加者からの投票が行われ、この投票結果および審査員による評価をもとに優秀作品が選出された。各部門の優秀作品は以下の通り。

■ソリューション部門
「5374(ゴミナシ).jp」
シビックテックコミュニティ「Code for Kanazawa」が開発したゴミの収集日や種別が簡単にわかるアプリ。GitHubにてソースコードを公開しており、現在65都市以上に展開している。英語版のWebサイトもつくっており、アプリ自身も他言語化が進められている。

「室蘭LocalWiki」
誰もが自由に地域の情報を記事として記述し、地図や画像を添えられる「ローカルWiki」を活用して地域の観光資源の掘り起こしと情報発信を行う取り組みで、現在、室蘭では307人のメンバーがライターとして活動している。

5374.jp
5374.jp

室蘭LocalWiki
室蘭LocalWiki

■アイデア部門
[金賞]「じじばばウォッチ」
川崎市宮前区の課題解決をテーマにしたアイデアソン/ハッカソンで生まれたアイデア。子どもたちと高齢者世代との交流を生み出すゲームアプリで、高齢者に“妖怪”(見守り隊)になってもらって、子どもたちは街で出会った見守り隊のベストに付けたQRコードやNFCにアクセスすることで妖怪を集められる。ゲットした“妖怪”は図鑑画面で確認することが可能で、どの場所で友だちになったのかも確認できる。高齢者の位置を把握できるマップ&レーダー機能も実装。

[銀賞]「ムロタクシェア」
室蘭工業大学学生のためのタクシーシェア支援アプリ。「バスの本数は少ないが、タクシーはひとりで乗るには高い」という学生同士が気軽にタクシーの相乗りを実現できる。出発地と行き先を選択するとタクシーの募集画面となる。募集画面ではタクシーの到着予定や、募集の呼びかけ、チャットなどが行える。利用するデータは同大学の学籍番号や、時間帯・場所別のタクシーの停車数/配車数、バスの時刻表など。タクシー会社と連携することにより、効率的な配車を実現する。

[銅賞]「イベントコンシェルジェ」
スマートフォンで地域のイベントを確認できるアプリ。イベント主催者がみずからデータを入力することが可能で、個人でも登録可能。各種イベント主催者や祭典実行委員会、教室やセミナー主催者、一般店舗の店主などを情報発信者として想定している。ユーザーの利用履歴をもとに、統計データからの趣向を判断して情報をプッシュ配信する機能も搭載。

じじばばウォッチ
じじばばウォッチ

ムロタクシェア
ムロタクシェア

イベントコンシェルジェ
イベントコンシェルジェ

■データ部門
[金賞](なし)
[銀賞]「水戸中心商店街マップ オープンデータ化」
これまで紙地図として配布されていた中心商店街マップをデジタル化し、オープンデータとして公開した。元データはアウトライン化されたIllustrator形式のファイルのため、テキストが取り出せず、緯度・経度のジオコーディング情報もないため、手動でのデータ入力に大変な手間がかかった。

[銅賞]「地域資源データセット」
地域の資源を集めたデータセットで、全国で3万2000件を収録。「農林水産品」「鉱工業品」「観光資源」の3カテゴリに分けて収録する。このデータセットを使用したWebアプリケーション「地域資源研究所」も開設しており、資源や自治体の名前を入れると、そのキーワードに関する地域資源を調べられる。

水戸中心商店街マップ オープンデータ化
水戸中心商店街マップ オープンデータ化

地域資源データセット
地域資源データセット

■アプリケーション部門
[金賞]「さっぽろ保育園マップ」
保育園探しを支援するマップアプリ。札幌市内の幼稚園と保育園の位置を地図上で確認することが可能で、「24時間保育」「空きのある認可保育園」などさまざまな条件で検索できるほか、小中学区も調べられる。一時的に預かってくれる保育園を探すこともできる。

[銀賞]「How Will My City Affect Me?」
自治体の都市の将来像を市民にわかりやすく提示する汎用的なシミュレーションツール。地図上から情報を知りたいエリアや年代を指定すると、その条件下に伴う住環境の変化を表す15項目を表示できるほか、項目ごとの遷移グラフなども確認できる。都市計画に関して住民にアンケートを採ることも可能。

[銅賞]
「金沢区/減災クエスト」
PCやスマートフォンのブラウザ上で動作するインストール不要の減災支援アプリ。ロールプレイングゲーム風のUIを採用したハザードマップになっているため、大人から子どもまで親しみやすい。避難所の確認や津波発生時の危険区域の確認など、ゲーム感覚で避難シミュレーションを行える。

「まちの灯りを見てみよう!」
石川県野々市市の市内に設置している街路灯の位置や種別をデータ化し、市全体の灯りの現状を把握できるアプリ。地図上でエリアを指定すると、範囲内の灯りの個数を算出する。灯りの個数を把握することにより、市民が安全なルートを確認できる。

「ソーシェルジェ」
Facebookにおけるコンシェルジェサービス。Facebook上で交わす会話の内容を解析して、それに関連したデータを表示する。たとえば「子どもが熱を出した」という会話が流れると、救急医療機関のリストが出てくる。会話に割り込んで情報を提示するのが特徴で、救急対応や公共施設の利用促進、防災など応用性が広い。

「金沢すきま旅」
短時間での観光を支援するガイドアプリ。ターゲットが出張客であることが特徴で、「今」から何時まで空いているのかを入力するだけで、滞在時間や距離、天気などを考慮してその時間内で行ける観光名所を案内する。検索結果からは各スポットの移動時間やおすすめ度が確認できる。

さっぽろ保育園マップ
さっぽろ保育園マップ

How Will My City Affect Me?
How Will My City Affect Me?

金沢区/減災クエスト
金沢区/減災クエスト

まちの灯りを見てみよう!
まちの灯りを見てみよう!

ソーシェルジェ
ソーシェルジェ

金沢すきま旅
金沢すきま旅

このほかに水戸市や室蘭市から特別賞も贈られた。UDC2014運営事務局の瀬戸寿一氏(東京大学CSIS特任助教)は締めくくりとして、「今年は地方拠点として北海道から福岡ブロックまで、全10拠点に参加していただきましたが、UDC2015もぜひやりたいと考えていて、来年度はさらに10拠点を追加したいと思っています」と語った。来年度については4月頃に募集を開始する予定だ。

瀬戸寿一
瀬戸寿一

アーバンデータチャレンジ2014
URL:http://aigid.jp/?page_id=421
2015/03/02

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